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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
ドリュアス森林編
38/126

#38〜引出された力〜

僕の精神世界に突如響きわたった優しさに満ちた神様の声。

僕は周囲を見渡して神様の姿を探すが、どこを見渡してもそこにあるのは真っ白な空間と神様に似た青色に輝く像だけだった。



「すみません、少し混乱させてしまいましたね。ハルトさんが精神世界で私が付与した『Ω』の力の一部を解放した事で、具現化された私の像を通して少しですが会話をする事が出来るようになったんです。もちろんこの像を通してハルトさんの姿を見る事も出来ますよ。」


「そうだったんですか…てっきり幻聴でも聞こえたのかと少し焦ってしまいました。それに神様だけ僕の姿が見えるってズルいじゃないですか!」


「神様の特権です!それにちゃんとした私の声なので幻聴の心配はありません!なので安心して下さい。」



どうやら幻聴では無くちゃんとした神様の声のようだ。

それにしても終焉の神オメガこと神様とこうやって会話をするのは転生以来になる…。

まさかこうやって神様ともう一度話せる日が来るとは…。



「改めてお久しぶりですね、ハルトさん。」


「ご無沙汰しています神様。神様も元気そうで何よりです!」


「はい!私はいつでも元気一杯ですよ!!」



何か神様のテンションが転生前に会った時よりも高くなったような…。気のせいだろうか?



「こうやって神様とまた話す事が出来て嬉しいです。」


「私もです。それにしてもハルトさんも転生前に比べてだいぶ成長したみたいですね。逞しくなりましたよ。」


「いえ、僕なんてまだまだです。でもこの世界で多くの方に出会い、お世話になり色んな経験をしたおかげで今の僕があります。」


「良い方達と出会えたんですね。」


「はい!」



それからは僕がこの世界に転生してからの出来事や経験した事について話した。姿こそ見る事は出来ないが神様は僕の話しを楽しそうに聞いてくれた。そして僕の話しが終わりしばらくすると、今度は神様が口を開き僕に付与した『Ω』の力について話し始めた。



「ハルトさん…私が付与した『Ω』の力の事ですが…」



発せられた神様の声はどこか弱々しく感じた。



「私がハルトさんに『Ω』の力を付与した事によって私達の間には繋がりが出来ました。ですのでハルトさんが”負”の感情に飲まれ無意識に『Ω』の力を解放し、それに引き寄せられた『α』の力がハルトさんの精神に干渉し力の暴走を引き起こした事は繋がりを通して私も感じ取っていました。繋がりがあるとはいえ、私の今の状態では力を付与する事は出来ても干渉する事は出来ません。ですので、力が暴走したと分かっていても止める事は出来ませんでした…。力になる事が出来ず申し訳ありません…。」


「いえ!そんな謝らないで下さい神様!!僕が未熟だったからこそ招いてしまった結果です…。」



そう今回の一件は僕の未熟さが招いた結果だ。

ジャバルさんの元で修行し知識を身に付けた事で自分が強くなったと過信しすぎていたに違いない。

もし黒騎士さんがいなければ今頃どうなっていたか…考えたくも無い…。



「いえ…。それに『α』の力がここまで強くなっているとは私も予想外でした…。ですがこうやって精神世界で私が付与した力の一部を具現化したという事は、『α』の力がハルトさんに干渉する心配はしばらくはありませんね。こうやってハルトさんと話す時間も残り僅かしかありません。今から私が言う事を良く聞いて下さい。」



神様はそう言うと付与された力について説明を続けた。



「ハルトさんの目の前にある私の像に翼が生えているのは分かりますか?」


「はい。」


「転生前にも一度見せた事もあるとは思いますが、私には本来6枚の翼が生えています。ですがこの像に生えている翼は現在1枚です。つまり現在のハルトさんの実力で扱える事の出来る『Ω』の力はこの翼1枚分の力という事です。そして『Ω』の力を解放している時だけハルトさんにも”魔力”と”オーラ”が使用する事が出来ます。」


「僕が魔力を!?それにオーラっていうのは…?」


「転生前にも説明した通り、本来であれば”魔力”はこの世界に住む住人しか使用する事が出来ません。ですが神の力を持つ者に力を付与され者は、その力を使用した場合のみ”神が有する魔力”を使用する事が出来ます。次に”オーラ”についてですが、神の力を持つ者に力を付与された事でその2人の間には”繋がり”が生まれます。”繋がり”が出来た者には神の”加護”が付与され、この”加護”を別名”オーラ”と呼んでいます。そしてこの”オーラ”を用いる事によって力を付与した神が持つ”神の力”を扱う事が出来るのです。」


「神の力…」


「”魔力”と”オーラ”はそれぞれ単体だけでも使用する事も出来ますが、その2つを組み合わせる事でより強力な力…”神器”を使用する事が出来ます。もしこの先ハルトさんが実力を付けこの像に生えている翼が6枚になった時、ハルトさんも”神器”を召喚し使用する事が出来るでしょう…。ですが忘れないで下さい…この力は”大切な人や場所を守る為の力”だという事を……私は……信じています…ハルトさん……」



徐々に神様の声が小さくなり近くで聞こえていた声が遠のいて行く。



「神様!?」


「さぁ…その像に触れて下さい………また…………る時がっ……………れば……………すっ……。」


「神様!神様!!まだ聞きたい事が!!!神様!!!!」



その言葉を最後に神様の声は聞こえなくなりこの空間は静寂に包まれた。

久々に聞いた神様の声…姿こそ見る事は出来なかったが声を聞けただけでも嬉しかった。

”誕生の神アルファ”の事や色々聞きたい事はあったけれど、神様とはまた話す事が出来るような気がする。今は神様に言われた通り、目の前に浮遊しているこの像に触れてみる事にしよう。僕は片手をかざし宙に浮遊している神様の像に触れた。



「!?」



像に触れた瞬間、その像から強力な”力”が身体全身体を駆け巡って行く。

そして身体の中を駆け巡っていた力が次第に額へと集まって行くのを感じ、僕は額に集まる”力”を解き放つように力強く叫んだ



「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」



力強く叫ぶと同時に額から優しさに満ちた青い光が輝きを放つと、その青い光はこの空間全てを飲み込んで行き僕の意識も次第に遠のいて行った。



……


………


…………



意識が戻り目を開けると、そこはさっきまで居た精神世界の中では無く現実の世界へと戻っていた。



「どうやら上手く力を引き出す事に成功したようだな。」


「えっ?」



声の方に視線を向けると黒騎士さんが立ってこちらを見ていた。

そして僕の前へと移動し右手に魔法陣を展開すると僕にこう言った。



「力を引き出した今の自分の姿を見てみるといい。”ミラーウォール”」



すると目の前に大きな鏡の壁が出現し、そこには力を引き出した自分の姿が映し出されていた。



「これが…力を引き出した僕の姿……。」



力を引き出した今の僕の姿は身体全身に青いオーラを纏い背中には1枚の翼が生えおり、額には『Ω』の文字が輝きを放ちながら浮かび上がっていた。性別こそ違うがその姿はまるで転生前に会った神様の姿に酷似していた。

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