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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
ドリュアス森林編
32/126

#32〜聖なる果実〜

黒騎士が放った魔弾を弾き返しその中から現れたベルゼブブは、

不敵な笑みを浮かべながら地上へ降り立つとゆっくりと黒騎士の元へと足を運ぶ。

黒騎士は大剣を握りしめベルゼブブを警戒するが、先程力を使いすぎた影響で少し息が上がっていた。



「まさか覚醒した『Ω』の力を抑え込むとは…貴方…何者ですか?」


「…」


「まぁいいでしょう。」



ベルゼブブはそう言うと黒騎士に向けて闇の魔弾を放ち自分の分身体から黒騎士を遠ざける。そして自分の分身体が持っていたシルバーとゴールドのグラデーションの輝きを放つリゴスの実を手に取ると、分身体に向けて闇の炎を放ち分身体を跡形もなく消し去った。



「自分の部下を…!? それに手に持っているそれは…まさか!?」


「おや?これをご存知とは…貴方もしや…。」


「なぜ”それ”がここにある!!」


「今は我が主人のため…とだけ言っておきましょう。」


「それをサタンの元に持って行かせる訳には行かない!!」



黒騎士は残りの力を振り絞りベルゼブブへと斬りかかるが、繰り出される連撃をいとも簡単にベルゼブブは避けて行った。



「どうやら先ほどの戦いでかなり体力と魔力を消費した様ですね。かなり息が上がっていますよ?」


「くっ…」



ベルゼブブは反撃する事も無く魔法陣を展開し黒騎士に向けてこう言った。



「今は貴方の相手をしている暇はありません。申し訳ありませんが私の玩具で我慢して下さい。」



そう言うと展開した魔法陣の中から禍々しい巨大な門を出現させる。

そして門が開くとその中から現れたのは牛の頭を持ち強靭な肉体を有したミノタウロスだった。首には首輪が付いており、目は血眼で強靭な肉体からは血管が浮かび上がり黒騎士に向けて殺意を向けていた。



「行きなさいミノタウロス!!」



ミノタウロスは咆哮をあげると黒騎士目掛けて勢いよく走り出し手にしていた巨大な斧で黒騎士に斬りかかった。



「ウオォォォォォォ!!!!」


「くそっ…!!」



黒騎士はミノタウロスが振りかざした攻撃を手にしていた大剣で応戦するが、

想像以上の一撃に受け止めた瞬間地面にまで衝撃が走り足が地面にのめり込んだ行った。

ベルゼブブはその姿を見ると周囲に闇の霧を発生させて黒騎士に向けてこう言った。


「それでは…私はこれで失礼します。」



そしてその言葉と共にベルゼブブは不敵な笑みを浮かべながら闇の中へと消えて行った。



「くそ…待てっ!!」



その言葉がベルゼブブに届く事は無く周囲を覆っていた闇の霧は徐々に晴れていった。



「オマエ…オレドノダダカイニ…シュウチュウジロ!!」



自分との戦いに集中していない黒騎士にミノタウロスは怒りをあらわにしていた。

怒りが頂点に達して興奮しているのか口から発する言葉は呂律が回っておらず、

身体全身の血管が更に浮き上がっており黒騎士目掛けて巨大な斧を連続で叩きこむ。



「オレドノ!!ダダカイニ!!シュウチュウジロォォォォォォーーーーー!!!!」



黒騎士はミノタウロスから繰り出される攻撃を大剣で防ぎながら片方の手に魔力を集中させると、先ほどベルゼブブに放った時よりも強力な魔弾をミノタウロスの腹部目掛けて撃ち込む。



「グワァァァァァ!!!」



魔弾を撃ち込まれたミノタウロスは体勢を崩しながら後方へと吹き飛ぶと、近くにあった巨大な岩に激突しその場に倒れ込んだ。



「グウウウッ…」



ミノタウロスは倒れた身体を起こすと自身の首に付けていた首輪を外すした。

すると首輪を付けていた部分に赤い紋章が浮かび上がると、次第にその紋章は身体全身に広がって行きミノタウロスの身体の形状が禍々しく変貌していった。

変貌した姿はミノタウロスの形状を留めておらずその見た目は完全に悪魔と化していた。



「オデハ…ジュヨイ!!オマエ…コロスウゥゥ!!!!!」



悪魔と化したミノタウロスは咆哮を上げると獲物を捕らえた獣の様に黒騎士の元へと駆け出した。



「ウオォォォォォォ!!!!」


「哀れな…」



黒騎士は片足を後ろの方に伸ばして腰を据えると、残された魔力を七色に輝く大剣へと注ぎ込み強く握りしめると向かってくるミノタウロスに向けて構えた。



「ジネェェェェイッ!!!!!!!」



ミノタウロスが黒騎士の間合いに入った瞬間、

黒騎士は光の速さで近付くと魔力を注ぎ込んだ七色の大剣をミノタウロス目掛けて振りかざした。



「黒閃!!」



その言葉と共に黒騎士は見にも止まらぬ速さでミノタウロスの身体を一瞬で両断したのだった。



======



<堕天使サタンが率いるリベリオン軍の本拠地 理想郷エリシュオン玉座の間にて>



「我が主人様、今戻りました。」


「ご苦労様ベルゼブブ。ハルト君の調子はどうだった?」


「どうやらハルト様が『Ω』の力を引き出したようです…。」



外を眺めていたサタンはベルゼブブのその言葉を聞くとまるで子供の様な笑顔を見せてベルゼブブの方を振り返った。



「それは本当かい!?」


「はい。しかしまだ力を制御出来ていない様子でした。」


「そっか〜…でも思ったよりも早く覚醒出来てみたいで嬉しいな〜!!ハルト君には早く力を制御できる様になってもらわないとね〜♪」



サタンは何かを待ち焦がれ様に再び外を眺めると空に浮かぶ”黒い球体”に目をやった。



「早くハルト君と一緒に行きたいなぁ〜」


「そうなる日も意外と早いかもしれません。」


「そうなの?」


「はい。ハルト様が『Ω』の力を覚醒して暴走した時、それを止める為にとある人物がやってきました。その者は漆黒の鎧を纏っており七色に輝く大剣を所持しており、”黒騎士”と名乗っておりました。」


「黒騎士…まさか!?」


「そのまさかの可能性が高いかと。」


「そっか…”彼”がハルト君の元に…役者は揃いつつある様だね。」


「はい。それとこれを我が主人に…。」



ベルゼブブはそう言うとシルバーとゴールドのグラデショーンの輝きを放っているリゴスの実を取り出すとサタンに渡した。



「これは!!」


「ついに”聖なる果実”を生成する事に成功しました。」


「凄い!凄いよ本当に!!ベルゼブブありがとう!!!」


「いえ、私は我が主人に命に従ったまででございます。それとこちらもご確認して頂ければと思います。」



ベルゼブブは魔法陣を床に展開するとその中から1人の少女を召喚した。

サタンはその少女を見ると何かを察した様な表情を見せて再び外を眺めた。



「我が主人様、この者を”器”にして例の計画を進めたいと思います。」


「そっか…ついに”器”を…。」


「はい…。」


「あまり手荒な真似はしないようにね? 」


「御意。」



サタンは手に取った”聖なる果実”を空に浮かぶ黒い球体に重ね合わせると空に向けてこう呟いた。



「もう少しで会いに行くからね…”ゼエデュ・リヴ・ゼウス”…」

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