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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
ドリュアス森林編
29/126

#29〜解放される力〜

”精霊樹ドリュアス”から眩い光が発せられるとその中から1つのリゴスの実が出現した。

それは僕の知っているリゴスの実では無く、色はシルバーとゴールドのグラデーションとなっており神秘的な雰囲気を醸し出して宙に浮遊していた。



「美しい…。」



ベルゼブブは神秘的な雰囲気を醸し出しているリゴスの実に見惚れており、その姿はまるで初恋の相手を見る乙女のようだった。

宙に浮遊しているリゴスの実を手に取るとベルゼブブは興奮じみた笑い声を上げながらこちらを振り返り僕の方を見た。



「クククッ…。改めて貴方達3人には感謝しています。まさかこうも簡単に上手く事が運んでしまうとは思ってもみませんでしたよ。」


「お前に感謝される筋合いは無い!!」


「クククッ…そう熱くならないで下さい。私の計画を手助けしてくれたお礼に貴方が知りたがっていた事を教えて差し上げましょう…。」



次の言葉を発しようとした瞬間、宙に浮遊していたベルゼブブの姿が消えた。

そして気付くと僕の目の前に不気味な笑みを浮かべたベルゼブブの姿が現れると、手に装備していた鉤爪で僕の腹部を貫いた。



「くはっ!!!」



ベルゼブブは腹部に鉤爪を貫いたまま僕の耳元でこう囁く。



「さっきのお返しです。私の腹部を貫いた…。」



そう囁くとベルゼブブは更に追い討ちをかけるように、

もう片方の鉤爪で僕の腹部を突き刺した。



「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」



ベルゼブブは僕の叫び声を聞くと鬼畜な笑みを浮かべ歓喜に満ちた声で叫び始めた。



「フハハハハハハハハハハハハ!!!いつ聞いても人間の叫び声っていうのは心地よいですねぇぇぇ!!!!!フォーーーーーーーーー!!!!!!!」



鉤爪で貫かれた腹部から大量の血が出血しているのが自分でも分かる。

このままの状態が続いてしまえば命が危ない…クリエイティブしようにもベルゼブブに腹部を貫かれた際にマテリアルウェポンは手から離してしまい今は地面に転がっている。

自身でクリエイティブを試みようとしても大量に出血しているせいか身体に力が入らず、徐々に視界がボヤけて来た。



「クククッ…ドライアドも貴方と同じようにもがき苦しんでいましたよ…。」


「!!」


「最後の最後まで抵抗していましたが…最後は呆気なく…ククク……ヒャハハハハハハハハハ!!!!」



ベルゼブブが言った『彼女が現れる事は無い』その意味がようやく分かった。

ドライアドさんは何らかの理由でベルゼブブに殺されたに違いない…。

目の前で人の不幸を笑いながら話すベルゼブブの姿に僕の心は徐々に黒い憎悪に染まっていく。



僕に力があれば…もっと早くドリュアス森林に向かっていれば…ドライアドさんを助ける事が出来たかもしれない。



憎い…



力が欲しい…



ベルゼブブを倒せる程の強大な力が…。



…………。





徐々に意識が戻り始める…。

どうやら私は気を失っていたようだ…。最後に覚えているのは確か…、ハルト様がレヴィアタンを抱き抱えて来て回復魔法で治療して……そこから先の記憶は覚えていない。

神器を発動してレヴィアタンの一撃を受け止める為に能力をフルに使用した上に、回復魔法にかなりの魔力を使ったおかげで身体を思ったように動かす事が出来ない。



「っ…」



私は疲弊している身体を起こして周囲を見渡すと横には子供のように寝ているレヴィアタンの姿がった。どうやら一命は取り留めたみたいだ。



「良かった…。」



しかし安心したのも束の間、私の耳にハルト様の悲鳴が響き渡った。

悲鳴がした方へ目をやるとそこにはベルゼブブの鉤爪で腹部を貫かれたハルト様の姿があった。



「ハルト様!!!」



すぐにハルト様の元へ行かないと…私はハルト様の”剣”になると誓った。

こんな所で休んでいる訳には行かないのに…足が動かない…。



動け!動け!!動け!!!動いて!!!!



このままじゃハルト様が…



私はまた…見ている事しか出来ないの…?



「おや…やっとお目覚めですか。残念ですが貴女の大事なハルト様はもう言葉も発する事も出来ません…。相変わらずか弱い生き物ですね…人間というのは…」



ベルゼブブはそう言うと貫いていた片方の鉤爪を抜くとハルト様の首に突き付けた。



「さようなら…終焉の神オメガにに選ばれし転生者…」


「やめてぇぇぇぇぇ!!!!!!」



ベルゼブブが鉤爪でハルト様の首を貫こうとした瞬間、

ハルト様の身体から青いオーラが炎のように噴き出すと次第にベルゼブブを飲み込んで行き、首に突き付けていた鉤爪と腹部を貫いていた鉤爪を一瞬で灰と化した。



「なっ!?」


「!?」



ハルト様から発せられた炎のような青いオーラは更に勢いを増して行き次第に6枚の翼へと姿を変える。



「その姿は…」



どうやらベルゼブブも気付いたようだ。

炎のような青いオーラを身に纏い背中には6枚の翼…そして額に浮かび上がる『Ω』の刻印。

その姿はまるで…かつて世界を終焉へと導いた神の姿に酷似していた。



「終焉の神オメガ!!」



ベルゼブブは身の危険を感じたのか覚醒したハルト様から距離を取ると、改めて両手に鉤爪を召喚して戦闘態勢に入った。



「………」



ハルト様は静かに目を開けるとベルゼブブに向けて口を開いた。



「お前を殺す!!!」



そう言うと全身から膨大なオーラを放出すると先程まで青いオーラだったものが、

徐々に赤色へと変わって行き最終的に漆黒の黒へと変化したのだった…。

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