#27〜神器vs神器〜
こちらに向かって歩いて来るベルゼブブから感じるのは、
先程まで人を小馬鹿にしていた雰囲気で無く殺意に満ちたオーラを醸し出していた。
そして斬りつけられたレヴィアタンの背中の傷口からは大量の血が出血しており、このままの状態が続けばレヴィアタンの命が危ない…。
「マーガレット、僕がベルゼブブの相手をする。その間にレヴィアタンの動きを止めて彼女に回復魔法を!!」
「ですがベルゼブブは…」
「大丈夫、何とかしてみせる!それよりもレヴィアタンの事頼んだよ!」
「…わかりました。ハルト様、気をつけて下さいね。」
「うん。」
僕とマーガレットはそれぞれ役割を決めると、
武器を構えてこちらに向かって来るベルゼブブとレヴィアタンに向かって走り出した。
「どうやら死に急ぎたいみたいですね…。レヴィアタン!!」
「了解。」
レヴィアタンはベルゼブブの命令に応答すると僕達に向けて魔法陣を展開し始める。
「レヴィアタン!貴女の相手はこの私です!!」
マーガレットはレヴィアタンに攻撃の隙を与えないように距離を保ちながらランスで攻撃を開始した。
「距離…無駄。意味…なさない。攻撃…続行。」
レヴィアタンはマーガレットの攻撃を回避しつつ、
展開した魔法陣からマーガレット目掛けて先程放った水の刃を放出し応戦を始める。
「制裁…制裁…制裁…。」
魔法陣から放出される止む事の無い水の刃に、
マーガレットは攻撃から防御に徹し、ランスでその攻撃を防ぐ事で精一杯だった。
「このままでは反撃どころか回復すら出来ませんね…。こうなったら…」
マーガレットはそう言うと、もう片方の手にランスを召喚しすかさず地面に勢いよく叩きつけた。ランスを叩きつけた衝撃でレヴィアタンは体制を崩し辺り一面はで煙幕で覆われる。マーガレットはその隙に今まで攻撃を防いでいた方のランスをレヴィアタン目掛けて勢いよく投げつけると、辺り一面に舞っていた煙幕を一気にかき消しながらレヴィアタン目掛けて勢いよく突き進んで行った。
「…!!」
レヴィアタンは煙幕の中から突如現れたランスを確認すると、水の刃を放出していた魔法陣の展開を解き手にしている”神器リヴァイアサン”を勢いよく回転させ水の障壁を出現させるとマーガレットの一撃を受け止めた。
その隙にマーガレットはレヴィアタンから距離を取り詠唱を唱え始める
「我、誇り高きヴァルキリーの意思を継ぐ者なり。円環の定めし理をこの胸に刻みその想いをここに示そう。名も無き我にその力を与えたまえ。神器!!ワルキューレ!!」
マーガレットの背に出現した9本の光の柱がその詠唱に共鳴し、丸い球体から十字架へと形状を変えるとマーガレットはその十字架を手にし続けてこう言った。
「モードチェンジ!!”Ver.グリムゲルデ”!!!」
その言葉と共にマーガレットの神器であるワルキューレは、十字架から白を基調とした巨大な”聖なる盾”へと姿を変えた。その盾の中心には丸いクリスタルのような物が埋め込まれており、マーガレットの瞳と同じように半分は青色でもう半分が赤色に輝いていた。
「制裁対象者から”神の力”を確認…これより反撃を開始…」
レヴィアタンはマーガレットが放ったランスをなぎ払うと、
今度は”神器リヴァイアサン”を力強く握りしめてマーガレット目掛けて走り出すと、
今度は反撃に転じるべく自身の膨大な”雷”の魔力を”神器リヴァイアサン”に注ぎ込んだ。
魔力を注ぎ込まれたレヴィアタンの神器からは瑠璃色の稲妻が発せられており、次第にその稲妻は荒々しくなって行き強力な力を蓄電しているのが分かった。
「蓄電完了…」
レヴィアタンは神器リヴァイアサンに魔法陣を展開させると、
蓄電した強大な”雷”の魔力と掛け合わせて魔法陣から瑠璃色の稲妻を纏った水龍を召喚した。
「飛電水龍撃<ハイデンブロウ>」
レヴィアタンはそう言うとマーガレット目掛けて瑠璃色の稲妻を纏った水龍を放った。
その一撃は目にも止まらぬスピードでマーガレット目掛けて突き進んで行く。
「貴女のその一撃…私は受け止めます!!だから目を覚まして下さいレヴィアタン!!」
マーガレットはレヴィアタンが放った一撃を受け止めるために聖なる盾を前方に構えた。
「聖なる盾グリムゲルデよ、我に邪悪なる一撃を死守する為の力を与えたまえ…」
その言葉と共に光のオーラが聖なる盾へと集まって行くと、
中央に埋め込まれたクリスタルもマーガレットに応えるように共鳴し始める。
「聖なる絶対障壁!!!<アブソリュート・ホーリーウォール>」
マーガレットは聖なる盾に集まった光のオーラを解放すると、
レヴィアタンの一撃を受け止めるべく『神器ワルキューレ”Ver.グリムゲルデ”』の姿に似た光り輝く巨大な盾を召喚した。
「お願い!!目を覚まして!!!!」
マーガレットは必死に問いかけると、
レヴィアタンが放った一撃 ”飛電水龍撃”を”聖なる絶対障壁”で受け止めるのだった…。