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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
ドリュアス森林編
24/126

#24〜堕闇の守護者〜

ドリュアス森林の中を進んでいる僕とマーガレットは、

時折襲ってくるモンスターや魔物の群れを撃退しながら順調に奥へと進んでいた。

ジャバルさんと数回この森に来て分かった事は、この森は奥に進むにつれて魔物やモンスターの強さも増し行く事と群れを成して襲って来る習性があると言う事だ。

ただ単に群れで襲って来るだけならそこまで問題は無いのだが、1つだけ厄介なのは本来なら争うはずのモンスターや魔物達が協力して襲って来るという点だ。


そして今、僕とマーガレットはオークに似た魔物”オーグエル”と狼に似たモンスター”ワーウルフ”の群れと遭遇していた。



「オーグエルにワーウルフですか…100年前にはこの森には存在していなかったはずの魔物とモンスターですね…。しかも協力して私達を倒そうとしています…」



マーガレットはそう言うと、

洞窟内で僕と戦った時に使用した巨大なランスを召喚し戦闘態勢に移った。

オーグエルとワーウルフの群れは目視で確認できるだけで20体近くいる。

マーガレットは巨大なランスで敵に詰め寄られないように距離を保ちながら戦う気だ。



「ハルト様!私が敵をなぎ払うのでその隙にトドメをお願いできますでしょうか?」


「もちろん!!」



僕はマテリアルウェポンの属性を『光』に合わせて、脳内で”ブレード”をイメージしてクリエイティブを開始する。次第に根本部分から形成し見事『光』の属性を宿した武器の具現化に成功した。



「それじゃあ…行きますよ!!」



マーガレットはそう言うと巨大なランスを大きく振りかざし、目の前にいたオーグエルとワーウルフの群れを風圧で吹き飛ばした。僕は吹き飛び体制を崩したオーグエルとワーウルフの群れの元へ走ると、クリエイティブした武器で敵の急所を狙い素早く斬り付け次々と倒して行った。

それからは同じ戦法で次々と魔物とモンスターを倒しながら進んで行き、僕達はついに森の管理者であるドライアドさんが定めた一定の場所へと到着したのだった。



「ここがドライアドさんが指定した一定の場所だよ。そしてこれがその目印。」


「これは…」



ドライアドさんが指定した一定の場所には、目印としてリゴスの実が実った木が1本生えていた。ジャバルさんの話しによるとノルズの街で提供されているリゴスの甘味水は、ノルズの街で栽培されているリゴスの実と、このリゴスの木で収穫された実を合わせて作られているのだとか。栽培する場所や地域によって味が微妙に異なり、それらを掛け合わせて作る事で味のバリエーションが豊富に存在するとジャバルさんが教えてくれた。

いつかマーガレットにも色んな味の甘味水を飲ませてあげたいものだ。



「こんなにも大きく育ったのですね…」


「大きく育った…?」


「はい。実はこの巨大なリゴスの木は私が100年前に植えた物なんです。」


「えっ?」



まさかこのリゴスの木が100年前にマーガレットが植えた物だったとは…。



「あの時植えた小さな種がこんなにも立派に育ってくれたんですね…。」



マーガレットはそう言うと立派に成長したリゴスの木にそっと触れ瞳を閉じる。

その後ろ姿が僕の目にはどこか寂しそうに写っていた…”他種族国家トリミニオ”の跡地を見ていた時のように…。


しばらくするとマーガレットはいつもの様に僕に笑顔を見せて『先に進みましょう!』と言うとリゴスの木を後にして奥へと進んで行った。





ドライアドさんが定めた一定の場所から先に進んで思った事は、

さっきまであんなにモンスターや魔物が出て来ていたのが嘘の様に出現しなくなったという事だ。それどころか奥に進むに連れて穏やかの雰囲気へと変わっていく。



「不思議ですね…てっきり奥に進むに連れて協力な魔物やモンスターが出て来ると思っていましたが、実際は全くの真逆でモンスターや魔物の気配は全く感じません。それどころか入り口付近よりも生態系が安定しています。」


「確かに…普通は奥に進むに連れて敵も強くなってどんどん襲って来そうなものだけど…」



周囲を見渡してみても特に何か変わった様子は無い…。

それならなぜこの森の管理者であるドライアドさんはリゴスの木を目印にした場所から先に入る事を許さなかったのだろか?それには何かきっと理由があるはずだ…。

僕とマーガレットは周囲を警戒しつつ更に奥へ進んで行くとそこには巨大な湖があり、その湖の中から巨大な樹木が1本生えていた。



「湖の中から巨大な木が生えてる!?あれは一体…?」


「あの樹木こそ私達が探していたこの森の管理者ドライアド本来の姿です。」


「本来の姿?」


「はい。普段は精霊の力を使い人の姿となって行動をしています。ドライアドというのは人の姿になった時に使用する名前で、本来は”精霊樹ドリュアス”と呼ばれております。」



マーガレットは眉間にシワを寄せて続けてこう言った。



「ドライアドはこの森に誰かが侵入した場合すぐに感知する事が出来ます。それに用心深いドライアドの事ですから、万が一立ち入り禁止区域に誰かが入ったなら直ぐにでも警告を出すはずです。」



以前マーガレットに聞いた話の中で人間との間に問題が発生した時、

ドライアドさんは人間達に警告を促した話を聞いた事がある。それにドライアドさんが指定した場所から先に進んで時間もだいぶ経っている。マーガレットの言う通り用心深い性格であれば禁止区域に入った瞬間に警告を出すはずだ。



「それじゃあ…」


「はい。ドライアドの身に何かあったのかもしれません。」



緑豊かで自然に囲まれた穏やかな空間が一気に凍りついた。

もし生態系が変わってしまった事とドライアドさんの姿が確認出来ない事に何らかの関係があるとしたら………。



「彼女が現れる事はもうありませんよ。」


「!?」



突然上空から見知らぬ男性の声がした。

僕とマーガレットは声のする方に視線を送ると、

そこには白い軍服に身を包み黒いマントを羽織った1人の男性の姿があった。



「お前は!!!」


「久しぶりですね…ヴァルキリー…」


「ハルト様!!下がって下さい!!!」



マーガレットはそう言うと僕の前へと勢いよく飛び出し、

巨大なランスを召喚し空中に浮遊している男性に向けてランスを構えた。



「マッ…マーガレット!!あの人は一体??」


「奴は堕天使サタンが率いるリベリオン軍、失楽の守護者の1人…”堕闇の守護者ベルゼブブ”です!!」


「ベルゼブブ!?」


「初めまして。そちらのヴァアキリーが先程ご紹介してくれた通り、私はサタン様率いるリベリオン軍失楽の守護者の1人、”堕闇の守護者ベルゼブブ”と申します。以後お見知りおきを…転生者ハルト様…。」



堕闇の守護者ベルゼブブはそう言うと不気味な笑を浮かべたのだった。

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