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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
ヴァラマ帝国編
123/126

#123〜R〜

それからしばらくして落ち着きを取り戻したドライアドは、なぜ自分がこの場所にいるのか、そしてアインシュタインと自分がこの場所で何をしようとしているのかを徐々に思い出していた。



「どうやら少しは落ち着いたようじゃな。」


「えぇ、少しはね…。」



落ち着いて受け答えをするドライアドの様子を見て少し安心したアインシュタインは腰掛けていた椅子から立ち上がると、ドライアドに『すぐに戻る』と一言伝え研究所の奥にある自身のラボの方へと向かった。

ドライアドは自身のラボへと向かうアインシュタインの後ろ姿を見送ると、目覚めるまで自分が同化していた生命の樹(セフィロトの樹)模造品レプリカの方へと視線を移しそれを眺めていた。


それからしばらくして、手に二つのマグカップを持ちながらラボから戻って来たアインシュタインは、持っていたマグカップのうち一つをドライアドへと渡した。



「これはわしが再現したコーヒーじゃ。」


「コーヒー…?それって確か彼が……。」


「あやつの好物じゃ。一緒に旅をしていた時は再現できなくて、あやつに飲ませる事が出来無かったがのぉ…。あれからかなり時間は掛かってしまったが、ようやくあやつが求めるコーヒーをわしなりに再現する事ができたんじゃ…。」


「そう…。きっとあなたが再現したこのコーヒーを飲んだら彼も喜ぶはずよ。」


「そう願いたいものじゃ…。もしその時が来たらコーヒーを再現した礼にこれでもかと言うくらいあやつをこき使ってやるわい!!」


「ふふっ、そうね。」



二人はかつて一緒に旅をしていた仲間の一人の事を思い出しながら、アインシュタインが再現したコーヒーを口にしたのだった。



「アインシュタイン、それで…”あの子”は今どこに?」


「彼女は…今もあやつの跡を追っている…。」


「そう…。」


「これまで色々とコンタクトを取ろうとしたが、現時点であやつに関する有力な情報はこれといって何も得られておらんのじゃ…。」


「彼の方が一枚上手って事ね。」


「うむ…。あくまでこれは可能性の話しじゃが、これ程あやつの痕跡を追って有力な情報を得られないとなれば、何者かがあやつに協力してわしらを近付けさせぬようにしているのかもしれんのぉ…。」


「協力者?」


「あくまで可能性の話しじゃがな…。」



そう言うとアインシュタインはマグカップに入っている残りのコーヒーを一気に飲み干し、輝きを失った生命の樹(セフィロトの樹)模造品レプリカの方へと向かい巨大な機械装置を操作し始めた。

巨大な機械装置を操作するアインシュタインにドライアドは、アインシュタインが先ほど口にした協力者について気になったのか、その協力者について思い当たる人物がいるのかを尋ねた。



「アインシュタイン…、あなた彼に協力している人物に心当たりがあるんじゃないの?」


「………。」



その質問に対してアインシュタインは何か返答をするわけでもなく、そのまま無言で機械装置を操作し続け研究施設内には機械の操作音だけが静かに鳴り響いていた。

それからしばらくして巨大な機械装置に繋がれている巨大なアームが起動すると、生命の樹(セフィロトの樹)模造品レプリカの上部へと向かって行き、その巨大なアームは生命の樹(セフィロトの樹)模造品レプリカに実っている巨大な果実を二つ収穫するとそのままアインシュタインの元へとゆっくり降下して行った。



「お主がこの模造品レプリカと同化してくれたおかげで、”汚れなき純粋な器”を作り出す事ができた…。」


「”汚れなき純粋な器”…?」


「うむ。それが今収穫したこの巨大な果実、”人形<ドール>”じゃ。」


「”人形<ドール>”…。」



アインシュタインは静かに頷くと、アームが運んできた光り輝く巨大な果実に右手を翳した。

すると、翳されたアインシュタインの右手に二つの巨大な果実が共鳴するかのように光り輝き始めた。そして次第にその輝きは増していき、それと同時に二つの巨大な果実の実が開くとその中から人の形を模様した二体の人形が姿を現したのだった。



「あくまでこれは魂の入っていないただの器じゃ。後はこの”汚れなき純粋な器”に”あの二人の魂”を同化させる事ができれば、ようやくあの二人を呪われたこの呪縛から解放させる事ができるはずじゃ…。」


「アインシュタイン…。」



そう話すアインシュタインの声はドライアドには少し震えているかのように聞こえていた。



「さて、時は満ちた…。この研究施設ともおさらばして、わしらもこの場所を出るとするかのぉ。」


「出るってどこへ?」


「もちろん、あやつら二人のとこへじゃ!」


「二人の元へ向かうって言っても何も手掛かりが無いんじゃ…」


「まぁ、そう悲観的になるでないドライアドよ。なにもあやつら二人を後を追っているのがわしらだけじゃないぞ?」


「それって…。」



アインシュタインの言葉に何かを悟ったかのような表情を浮かべたドライアドに、アインシュタインは何やら得意げな表情を見せると、片手を翳し空間を歪ませると、その歪んだ空間を切り裂き亜空間を出現させその中から歪な仮面を身に付けた一人の人物が姿を現した。



「久しぶりだなアインシュタイン…。それにドライアドも…。」


「その声はまさか…!!”R”!?」



驚きを隠せないドライアドに、歪な仮面を被った人物は静かに頷いてみせたのだった。

読者の皆様、お久しぶりでございます。

前回の投稿から約半年ぶりの投稿になり申し訳ありません。。。

本日より、マイペースではございますが投稿を再開したいと思いますのでよろしくお願い致します!!

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