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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
ヴァラマ帝国編
122/126

#122〜目覚めし精霊〜

ベルゼブブ、ガングレティ、シェハザムの三人が理想郷エリシュオンの地下にある研究施設を後にし三人の足音が聞こえなくなると、そのタイミングを見計らってアインシュタインは駄々を捏ねるのを止め、地面に横たわりながら上階へと続く巨大な扉を静かに見ていた。



「どうやら行ったようじゃのぉ…。」



そう言うとアインシュタインは地面からゆっくり起き上がり、地面で駄々を捏ねていた際に付いた汚れを綺麗に手で払った。



「駄々っ子設定というには随分と疲れるもんじゃ…。」



白衣に付いた汚れを綺麗に落としたアインシュタインは両手を宙に翳し背伸びをすると、研究施設内にいる素顔を歪な仮面で隠した研究員達を自分の元へ呼び集めた。

研究員達を呼び集めたアインシュタインは白衣のポケットの中から携帯機器を取り出し、その携帯機器の画面を操作し始めた。するとアインシュタインの元に集まった研究員達は、次から次に電源が切れた人形のようにその場に項垂れるように静止し始め、携帯機器の操作が終わる頃には集まった全ての研究員達が抜け殻のようにその場で静止していた。



「さて…。後は外の機獣兵ビーストギアだけじゃな。」



そう言うとアインシュタインは上階へと続く巨大な扉へと向かい外へと出た。

そして先程使用した携帯機器を取り出し、同じように操作し外で警護していた機獣兵ビーストギアVer.ゴーレムの動きを止めると、アインシュタインは動きを止めた二体の機獣兵ビーストギアの元へ向かい胸部のパーツを開いた。

胸部内の中央には、機械でできた人の心臓に限りなく近い構造をした機獣兵ビーストギアの動力源があり、その動力源は脈を打つように歪に動き赤く光り輝いていた。


アインシュタインは白衣のポケットから携帯機器とは別の掌サイズの小型機器を二つ取り出すと、それぞれの機獣兵ビーストギアの動力源に組み込んだ。

そして再び携帯機器を操作すると、先程まで赤く輝いていた機獣兵ビーストギアの動力源は赤から青に変わり、動きを静止していた二体の機獣兵ビーストギアは再び動き出した。



「よし。これで二体の機獣兵ビーストギアの制御は完了じゃな。お主ら、改めてこの場所の警護を任せたぞ。わしの許可が無い限り、誰一人この扉から先に通さぬようにな。」



二体の機獣兵ビーストギアはアイシュタインの言葉に頷くと再び警護体制に入り、アインシュタインはそれを見届けると自身も研究施設内へと戻って行った。

研究施設内に戻ったアインシュタインは生命の樹(セフィロトの樹)模造品レプリカの元へ向かうと、それに繋がれた巨大な機械装置を操作し始めた。



「ここまで来るのに随分と時間を費やしてしまったのぉ…。だが、これでやっとお前を自由にしてやれる…。」



生命の樹(セフィロトの樹)模造品レプリカを取り囲むように設置され、繋がれた巨大な機械装置がアインシュタインの操作により順番に樹から外されていき、最後の繋がれた装置が外されると樹全体から発せられていた輝きは次第に樹の中央へと集まり、徐々にその輝きは人の姿へと形を変えていくと同時に輝きは更に増し研究施設内を包み込んでいった。

そして次第に輝きが収まっていくと、アインシュタインの視線の先には鮮やかで透き通った青磁色の長い髪に、緑を基調に茶色と組み合わされた服に身を包んだ一人の女性が姿を現した。


そして輝きの中から姿を現した透き通ったその女性は、透き通った青磁色の髪を靡かせながらゆっくりとアインシュタインがいる場所まで降下し地面に足を付けると、ゆっくりと目を開き宝石のトパーズのように輝く瞳を見せた。


アインシュタインはまるでこの時を待ち焦がれていたかのように宝石のトパーズのように輝く瞳を持つ女性の元へ近付くと、その女性の名を口にした。



「ドライアド…。」



アインシュタインの呼び掛けにその女性は少し反応した様子を見せた。



「アイン…シュタイン……?」


「どうやら、わしの見てくれが変わった事は覚えているようじゃな。」


「えっと…。私は……一体………?」



ドライアドは目覚めたばかりなのか、それとも記憶が混乱しているだけなのか分からないが、なぜ自分がこの場所に居るのかその理由が分からず少し頭を抱えていた。



「今は無理に思い出そうとしなくてよい…。長い眠りから目覚めたばかりで、少しばかり記憶が混乱し身体の感覚にも慣れていないだけじゃ。とにかく、今は少しゆっくりと休めドライアド。」



そう言うとアインシュタインは近くにあった椅子をドライアドの元へ持ってくると、その持って来た椅子にドライアドを座らせ自身が羽織っていた白衣を被せると、目覚めたばかりのドライアドの心身が少し安定するまで束の間の時を過ごしたのだった。

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