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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
ノルズの街編
12/126

#12〜旅立ち〜

商業都市イスタリアムに向けて僕たちは歩き始めた。

”他種族国家トリミニオ”のあった跡地から抜けると、そこには広大な大地がどこまでも続いていた。



「すごいな、こんな景色今まで見た事ない…どこまで続いてるんだろ?」



その圧倒的な景色を目の前に僕の心は静かに胸が躍っていた。

これがゲームの世界ならオープニング曲が流れているに違いない…。

オープニングの曲名は”始まりの平原”とでも言ったところだろうか。我ながら良きネーミングセンスだ。そしてオープニング曲を聞いた瞬間にこれから冒険が始まるのだと実感する。



「この辺りは”ドリュアス平原”と呼ばれており、この先を更に進んだ場所に”ドリュアス森林”、またの名を”帰らずの森”と呼ばれる巨大な森があります。」


「帰らずの森…?」


「このドリュアス平原を含め、ここら一帯は”木の精霊ドライアド”によって管理されています。その管理者であるドライアドは、昔ある事が原因で人間に対して物凄く警戒するようになってしまったんです。」



”木の精霊ドライアド”アニメやゲームでもよく耳にする名前だ。

その名の通り”木の精霊”で、自然を傷つけたりする事を嫌うとか…確かそんな設定だった気がする。



「その原因っていうのは?」


「ドリュアスの森の中には貴重な植物や鉱石などの資源があるのですが、その貴重な資源を己の欲を満たさんが為に、人間達は森に入って無断で植物の伐採や鉱石を採取して生態系を変化させてしまったんです。管理者ドライアドは人間達に対して忠告をしたのですが、人間達はその忠告に耳を傾ける事は無く、更にこの森を自分達の領土にしようと侵攻を開始しました。」


「そんな事が?」


「はい。その結果、管理者ドライアドは人間を忌み嫌うようになってしまったのです…。侵攻した人間達はその後帰ってくる事は無く、それ以来”帰らずの森”と呼ばれるようになりました。」



自分の欲望だけを考えてしまった故の結果という事だろう。

自分の管理している大事な場所に勝手に上がり込まれた上に、貴重な資源を持って行かれたとなれば怒るのも当然だ。

それに管理者ドライアドさんは人間達にちゃんと忠告もしている。その忠告を無視して自分達の欲望に飲まれた結果がこれだ。帰って来れなかった人達には申し訳無いが弁解の予知が無い。自業自得だ。



「私達が目標としている”商業都市イスタリアム”に向かうには、その”ドリュアス森林”を抜けなければ行けません。幸いにも私は管理者ドライアドと面識がありますので襲われる心配は無いかと思います。」



圧倒的なフラグが立った気がするのは僕だけだろうか?

こういう場合、何かしらの展開がこの先に待ち受けているのが鉄板だ。

これは用心しておいた方が良さそうだ…。それに面識があるって言ってたけど、マーガレットが最後に管理者ドライアドさんに会ったのはいつだろうか?

この質問の返答によっては覚悟を決める必要がある。



「あの〜マーガレットさん?最後に管理者ドライアドなる木の精霊さんに会ったのはいつ頃何でしょうか…?」


「最後に会ったのですか?確か………100年くらい前だったと思います。」



100年前…。あまりの月日の長さに言葉を失ってしまった。

その100年の間に何も問題が起きて無ければいいのだが……。これは覚悟を決めるしか無い。フラグが立った気もするがマーガレットも面識があるって言っていたし、とりあえず行ってみるとしよう。



「ちょっと不安な気もするけど、とりあえずドリュアスの森に行ってみようか」


「はい!何かあれば私がハルト様をお守りするのでご安心下さい!!」



何と頼もしい言葉なんだ。それを聞いて少し安心した。



「ドリュアス森林まではここからどれくらい?」


「そうですね、ノンストップで歩き続ければ2〜3日と言ったところでしょうか」



思ったより結構距離があるな。

途中で休憩したりする事を考えれば5日…下手すれば1週間掛かるかもしれない。



「そうなると何か移動手段が必要だな。」


「移動手段ですか?」


「うん。ずっと歩き続ける訳には行かないし、ちょっと準備するから待ってて。」



あまり目立たずに、この広大な大地を快適に移動する手段と言えばもちろん…



自転車だ!!



前回クリエイティブで具現化した自転車、別名”ハルトカスタム”はマーガレットとの戦いで廃車になってしまったが…。

そんな訳で、この機会に少し改良して新しい自転車をクリエイティブしようという訳だ。

早速脳内で新しくクリエイティブする自転車をイメージしてマナを流し込み、自転車の持ち手から徐々に具現化していく。



「よし!!無事にクリエイティブ出来た!」


「ハルト様!これって…」


「そう!これは自転車!!またの名を”ハルトカスタムver.2人乗り”!!!」



今回は後ろの荷台部分を低反発性のクッションに変更した。

後ろには背もたれ、肘掛もプラスして快適さを追求した自転車となっている!

更にこの荷台部分は回転式となっており、自分の乗りやすいように座る向きを変更する事も可能!!そして今回の1番のポイントは、肘掛にドリンクホルダー付きなところだ!!我ながらナイスアイディアとしか言いようがない!!!



「こっ…これって…これって…」



ん?

マーガレットの方を見てみると、具現化した自転車を見るなり急に顔を赤くして慌て始める。



「あぁぁぁぁぁぁ!!!その節は申し訳ありませんでした!!これってあれですよね?私が聖堂で破壊してしまったやつですよね???????ハルト様の大事な物を壊してしまって……私…………私………」



思ってた以上に気にしていたらしい。

マーガレットは顔を真っ赤にして涙ながらに必死に謝罪して来た。

顔を赤くし涙を浮かべながら必死に謝る姿に、不覚にも”可愛い”と思ってしまった事は内緒だ。



「大丈夫!!気にしてないから!!そんなに謝らないで? ね?それに僕の能力クリエイティブを使えば直ぐに具現化して呼び出せるからさ。何も心配いらないよ!!」


「ウゥゥゥ、、、」



必死に謝る姿も可愛かったが、せっかくの綺麗な顔が涙で隠れてしまっている。

僕はハンカチをクリエイティブしマーガレットの涙を拭った。



「ハルト様…」


「せっかくの綺麗な顔が涙で台無しだぞ〜。本当に気にして無いからさ、元気出してよマーガレット」



少しキザに決めすぎただろうか?マーガレットは顔を下に向けてしまった。

そして柄にも無い事をした自分にとても恥ずかしくなってしまう。



「本当、貴方って人はずるいですね、まったく…。」


「えっ?」



そう言うとマーガレットは顔を上げて僕に笑顔を見せてくれた。

どうやら気持ちが落ち着いたらしい。



「それにしてもさっきの台詞、ハルト様らしくないですね!」



案の定バレていたらしい。

マーガレットの一言で今度は自分の顔が真っ赤になってしまった。

あまりの恥ずかしさに顔を背け見られないように隠した。



「さぁハルト様!行きますよ!!」



恥ずかしながらもマーガレットの方に目をやると、彼女は自転車の荷台に乗っていた。

どうやら準備万端らしい。



「あぁ、行こう!マーガレット!!」


「安全運転でお願いしますねハルト様!!」


「お任せあれ!!」



そして僕とマーガレットは、新たに改良した”ハルトカスタムver.2人乗り”でドリュアス森林へと出発したのだった。

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