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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
ヴァラマ帝国編
119/126

#119〜生命の樹〜

玉座の間を後にしたガングレティとシェハザムの二人は、サタンから軍事支援を承諾した事をヘラに報告するべく死者の国(ヘルヘイム)に戻ろうとしたが、ベルゼブブは死者の国(ヘルヘイム)に戻る前にガングレティとシェハザムの二人に協力して欲しい事があると伝えると、そのまま二人を理想郷エリシュオンの地下にある自身の研究施設へと向かった。


地下にある研究施設へと続く螺旋状の階段を降りる最中、ガングレティはベルゼブブが自分達に協力して欲しい事が何なのかをベルゼブブに尋ねようとするが、それよりも先に先頭で静かに階段を降りているベルゼブブがガングレティへと声を掛けた。



「協定を結んだ際にお渡した人形ドール…。あれは上手く活用できていますか?」



ベルゼブブからの唐突な質問にガングレティは少し驚いた反応を見せつつも、その様子を悟られないよう静かに息を整えるとベルゼブブからの質問に答えた。



「えぇ。あなた方から提供して頂いた人形ドールは我々が思ってる以上の成果を出してくれました。そのおかげもあって我々の計画も大きく前進し、我が主様も喜んでおられます。」


「そうですか…。それは何よりです。」



ガングレティから人形ドールが上手く活用されている事を聞いたベルゼブブは、それが余程嬉しかったのか不敵な笑みを浮かべており、ベルゼブブの不敵に笑うその姿を見たガングレティはそのあまりの不気味さに背筋が凍る感覚に襲われると同時にベルゼブブに質問するタイミングを完全に逃し、ガングレティはそのままベルゼブブの後に続いて地下にある研究施設に向かって静かに螺旋状の階段を降りて行った。


それからしばらく螺旋状の階段を降りて行くと、三人の視線の先に前に見えて来たのは研究施設へと続く厳重に管理された巨大な扉と、この時代背景からは想像できない高度な技術を用いられて作られた二体の巨人型兵器の姿があった。



「これは…ゴーレム?それにしてもこの姿はまるで……。」


「これは古の機械文明時代にホムンクルスが神や天使エンジェルなど、自分達よりも脅威となる存在に対抗する為に造られた古代兵器オーパーツの一つです。」


古代兵器オーパーツ!?まさか古の機械文明の産物を復元したと言うのですか!?」


「えぇ。ですが復元と言ってもそのままの姿を復元した訳じゃありません。この巨人型兵器の残骸を発見した時には、その大半が大きく破損して使える状態ではありませんでした…。なので使える部分パーツだけを再利用し、あらゆる生物と組み合わせて私自ら作り上げたのがこの巨人型兵器、通称”機獣兵ビーストギアVer.ゴーレム”というわけです!!」



ベルゼブブの圧倒的な技術力を目の当たりにたガングレティは、堕天使サタンが率いるリベリオン軍の技術力が自分達よりも遥かに優れている事を思い知らされると同時に、堕天使サタン及びリベリオン軍の存在が自分達にとって脅威になり得る存在だという事を改めて実感した。



「まさかこれ程までの技術力を有しているとは…。」


「これも全て我が主人様の為…。主人様がお望みになられる事なら、それがどのような無理難題だったとしてもそれを可能にし成し遂げるのが守護者としての責務…。貴方も主に仕える者ならお分かりになるのでは?」


「それはもちろん…。」



ガングレティの返答を聞いたベルゼブブは不敵にまた微笑んで見せると、そのまま二体の巨人型兵器である機獣兵ビーストギアVer.ゴーレムの間を抜け厳重に管理された扉へと進むと、ベルゼブブは右手を翳し魔法陣を展開し巨大な扉の施錠を解除する為に詠唱を唱え始めた。



「これ程までに厳重に施錠をしているとは…。一体この巨大な扉の向こうで何を研究されているのですか?」


「ふふふっ。焦らずとも直ぐに分かりますよ。」



それから程なくして厳重に管理された巨大な扉の施錠が解除されると、解除された事を伝えるかのように勢いよく蒸気が噴き出し、それを合図に巨大な扉が開き始め徐々に中の全貌が明らかになっていった。

徐々に開かれる扉の先から見えて来たのは、大地の恵を現したかのような暖かな緑色に光り輝く巨大な一本の樹と、その巨大な樹に隣接するように設置され繋がれた幾つかの巨大な機械装置だった。



「こっ…これは一体……?」



ガングレティは扉の先から見える巨大な樹と、その樹に隣接するように設置され繋がれた幾つかの巨大な機械の装置が何を意味しベルゼブブがこれらを使って何を研究しているのかが全く検討がつかず、ガングレティは扉の前で立ち尽くしながら困惑した表情を浮かべていた。

ベルゼブブは困惑し扉の前で立ち尽くしているガングレティの肩にそっと手を置き『中へどうぞ』と一言声を掛けると、立ち尽くしていたガングレティはふと我に返り、先に扉の中へと入って行った二人の後を追うように自身も扉の中へと入って行った。


巨大な扉の中へと入ると、そこは巨大な扉から想像できるよりも遥かに巨大な研究施設となっており、中ではベルゼブブ直属の部下なのか白衣を身に纏い歪な仮面で素顔を隠した研究員達の姿があり、その異様な研究員達の姿といい研究施設内は独特な雰囲気が漂っていた。



「改めて我が研究施設へとようこそ…。今回は死者の国(ヘルヘイム)の方々に軍事的支援を行うにあたって、死を司る女神ヘラ様に仕えるガングレティ及び、失落の守護者にして今や神聖教団の十三騎兵の一員となったシェハザムの二人に少々私の実験に協力して頂きたいと思いましてね…。」


「実験…ですか?」


「まぁ実験といっても名ばかりで、あなた方二人に協力して欲しい事はただ一つ…。それは二人の血液サンプルを少しばかり採取させて欲しいだけです。」


「血液の採取……ですか…?」


「えぇ。それも少量で構いません。それに協力さえして頂ければ、何か問題が発生した際には必ずこの私がお力になると我が主人様の名にかけてお約束致しましょう…。」



実験の内容がどういったものなのか明かされていないが故にガングレティの中で少しの戸惑いはあったものの、自分の血液を少量ベルゼブブに提供するだけで軍事的支援を行なってもらう事ができ計画が遂行できるのなら、ガングレティにとって血液を提供する事は安いものだった。



「分かりました…。私の血液を提供するだけで軍事的支援と主人様の計画が遂行できるのであれば、安いものです……。」


「私も構わないでし。」


「お二人共ご協力感謝致します。となれば早速血液の採取に取り掛かりましょうか。」



そう言うとベルゼブブは近くに居た研究員の一人に声を掛けると、血液を採取するための道具を持ってくるように指示を出した。

研究員が血液採取の道具を持って来るまでの間、ガングレティは情報収集も兼ねてベルゼブブにあの光り輝く巨大な樹とそれに繋がれた巨大な機械装置が何なのか、またこの研究施設で何を研究し実験を行なっているのかを質問した。



「ベルゼブブ…。幾つか質問してもよろしいいでしょうか?」


「えぇ、もちろん。遠慮なさらずに何でもお聞き下さい。」


「では遠慮なく…。まずはあの光り輝く巨大な樹についてですが、あの巨大な樹木は一体何なのですか?」


「あの樹木がですか…。そうですねぇーーーーー。」



ベルゼブブは質問に答える前に光り輝く巨大な樹を見上げ、少しだけ魔を置いた後ガングレティからの質問に返答した。



「強いて言うなら、あの光り輝く巨大な樹は”生命の樹(セフィロトの樹)”とでも言いましょうか。」


「なっ…!?そんなまさか!!あの巨大な樹が、生命の樹(セフィロトの樹)……だと…!?」



目の前にある光り輝く巨大な樹の正体が生命の樹(セフィロトの樹)だと知らされたガングレティは、そのあまりの衝撃の事実に言葉を失い生命の樹(セフィロトの樹)を見上げたままその場で立ち尽くし、ベルゼブブはそんなガングレティの姿を見てニヤリと不敵な笑みを浮かべたのだった。

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