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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
ヴァラマ帝国編
117/126

#117〜舞い降りた女神〜

「それはどういう意味ですかアライアスさん?」



Vの問いかけにアライアスは少し心を痛めたような悲しい表情を見せると、なぜ能力が覚醒した事で双子の運命が大きく動き出し二人の仲が引き裂かれてしまったのかその理由を話し始めた。



「詳しい理由は私にも分かりませんが、双子の能力が覚醒したと同時に太陽神へーリオスの元に翼の生えた一人の女神が突如天空から姿を現したそうです。そして姿を現したその女神は、太陽神へーリオスにこう告げたと聞いています。『漆黒の瞳を持ち荒んだ神の紋章を持つ者は災いの種となる。』と…。」


「太陽神へーリオスの前に現れたその女神というのは一体…?」


「それが私達一族にもその女神が一体誰だったのか明かされていないんです…。ただーーー。」


「ただ?」


「その女神を見た者の話によると、その女神は澄んだ星空のような瞳をし腰まで伸びた長い髪は月光のように輝いていたそうです。」


「澄んだ星空のような瞳に月光のように輝く腰まで伸びた長い髪…。」



太陽神へーリオスの元に訪れたその女神の特徴を聞いた黒騎士は、その人物に心当たりがあるのか少し反応した様子を見せると片手を顎に乗せ深く考え込み始め、その様子を見ていたアライアスはその人物に心当たりがあるのか黒騎士に訪ねた。



「黒騎士様、もしやその人物に心当たりがおありなのでしょうか?」


「はっきりとは断言できませんが、太陽神へーリオスと双子の前に現れたその女神に心当たりはあります…。しかしアライアス殿には申し訳ありませんが、その女神が何者なのか今お教えする事はできません。」


「その理由をお伺いしてもよろしいですか?」


「アライアス殿や一族の方を守る為です。下手にこれ以上関わってしまえば、今度はアライアス殿や他の一族の方達の命が危険に晒される可能性があります…。ここまで話を聞いておいた私が言うのもなんですが、これ以上太陽神へーリオスや陽黒の双子について話す事は控えた方がいいでしょう…。」



事の重大さに気付いた黒騎士は、太陽神へーリオスの血筋を引いたアライアスの身を案じてこの件に関してこれ以上口外する事を控えるよう促した。



「なるほど…。黒騎士様の話を聞いて、なぜこの書斎に傍受の結界を張ったのかその理由が分かりました。」


「お気付きになられていたのですか!?」


「えぇ…。最初はなぜ?と疑問に思っていましたが、コルア様の名が黒騎士様の口から出た瞬間にある程度の事は…。まさかこの一件が自分自身や一族の命に関わる程のものだとは思ってもみませんでした。」


「まだ確信を得た訳ではありませんが、話を聞く限りおそらく私の推測は当たっているかと…。」


「分かりました。黒騎士様の仰る通り、この件に関しては今後口外しないとお約束します。」


「ご理解して頂き感謝致します、アライアス殿。」



黒騎士は自分の話を理解し、その件に関して口外しないと約束してくれたアライアスに安堵した様子をみせた。



「ですがよろしかったのでしょうか黒騎士様?」


「というと?」


「黒騎士様とV様はコルア様に関して何かしらの情報を欲していのでしょう?ですが、話はまだ途中で肝心な部分に関してはお伝えできていないものですから…。」


「それはご心配なく。詳細な事までは分かりませんが、アライアス殿が話をしてくれた内容である程度の事は理解しました。」


「それならばいいのですが…。」



話しが途中だったからなのか、それとも何か黒騎士やVに伝えたい事があったからなのかアライアスは少し浮かない表情をしていた。

だがアライアスは例え自身の命が脅かされる危険性があると知りながら、それでも何か黒騎士に伝えようとした瞬間、お茶の片付けに書斎を出ていたフローリアとノーリスがタイミングよく書斎へ戻って来ると、アライアスは伸ばしかけた手を悟られないようにそっと戻した。



「ただいま戻りましたアライアス様。」


「後片付けまでご苦労だったね、ノーリス。それとフローリアも手伝ってくれてありがとうね。」


「いえ!!これくらいなんて事ないですよアライアス様!!!」



フローリアの天真爛漫な笑顔に先程まで浮かない表情をしていたアライアスの表情に少し笑顔が戻り、それと同時に書斎の雰囲気もシリアスな雰囲気から明るい雰囲気へと変わった。



「さて、明日の任務もあるので私達はこれで失礼するとしよう。」


「そうね。」



その意見にフローリアも賛同し黒騎士とVの二人は席を立った。



「アライアス殿、今回は急な申し出にも関わらず研究施設の視察の許可及び、こうしてお話しする時間を設けてくれた事、改めて感謝致します。落ち着いたらまたお伺いしますのでその時にでも話の続きを…。」


「私の方こそ伝説の四騎士の一人である黒騎士様とお会いする事ができて光栄でした。またいつでも気軽にお尋ね下さい、その時にでもお話の続きを致しましょう。」


「えぇ。もちろんです。それとノーリスも研究施設の案内やおもてなし感謝する。」


「いえ!!私は自分の責務を全うしただけです!!」


「これからもアライアス殿をサポートしてあげてくれ。」


「はい!!」


「うむ。では私達はこれで失礼する…。」



そう言うと黒騎士、V、フローリアの三人はアライアスとノーリスに深く頭を下げると薬剤研究施設を後にし、フローリアの案内でキャメロット城へと戻ったのだった。



<ヴァラマ帝国キャメロット城内にある来客用の客間にて>



アーサー王の計らいで用意してもらった客間で明日の準備をしている黒騎士の元に、部屋のノック音が鳴り黒騎士はドアを開くと、そこには仮面以外の装備を外したVの姿があった。



「少しいいかしら?」


「構わんが…。こんな夜遅くにどうしたんだV?」


「どうしても気になった事があってね…。」



黒騎士はVが気になっている事が何なのかある程察し、その事についてかどうかVにき聞き返した。



「太陽神へーリオスと双子の前に現れた女神についてか?」


「えぇ…。」


「やはり気になるか。」


「あそこまで聞いておいて気にならない方がおかしいでしょ?」


「そうだな…。」



黒騎士はVに少し待つよう伝えると、万が一に備えてアライアスの書斎を訪れた時と同じ傍受の結界を部屋の中に張るとVを部屋へと招き入れた。



「これでいいだろう。」


「ここでも結界を張る程に警戒すべき人物なの?」


「あぁ…。」


「それで…その女神の正体は一体誰なの?」


「あくまでアライアス殿の話を聞いた上での私の推測だが、太陽神へーリオスと双子の前に舞い降りた女神というのは、おそらく”原初の神コスモス”だ。」



黒騎士からその名を聞いた瞬間、Vは動揺し言葉を失った。



「まだ確実に断言する事はできないが、その特徴的な瞳の色や姿からしてほぼ間違いないだろう…。」


「まさか原初の神がこの一件に絡んでいたなんて…。」


「何の目的があって太陽神へーリオスと双子の前に現れたのかは分からないが、きっと何かしらの目的があって姿を現したに違いない。だとすればここから先は慎重に事を進めなければ、最悪の場合アライアス殿や他の末裔達の身が危うくなる可能性もある…。ともあれ、今の私達が優先すべき事は教団に攫われたハルトとエレナの救出する事だ。それにいずれコルアとは何処かで相まみえるはずだ、その時にでも本人から直接何かしらの情報を聞き出すさ。」


「そうね。確かに黒騎士の言う通り、今は二人の救出に専念しましょう。」


「あぁ。もう夜も遅い、明日の出発に備えてお前も早く寝るんだな。」


「そうさせてもらうわ。それと……、あの時は感情的になってすまなかったわ…。」



突然のVからの謝罪に黒騎士は一瞬思考が停止したが、Vからの素直な謝罪を受け入れ自分自身も言葉を選ばずストレートに言い過ぎてしまった事を謝罪し和解すると、二人は明日の出発に向けてそれぞれ部屋で身体を休めたのだった。

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