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僕は異世界の君に恋をした。  作者: リアラフ
ヴァラマ帝国編
110/126

#110〜理想郷へ〜

ヘラから堕風の守護者シェハザムを連れてくるよう頼まれた執事のガングレティは、コルアが作り出した結界の外へ出ると、結界周辺の警護の役割ロールを与えられているシェハザムの姿を探すもその姿は見当たらずにいた。



「まったく…。主様がお呼びだというのにシェハザムは何処にいるのやら…。」



普段は冷静沈着で必要最低限の事しか喋る事のないガングレティは、ヘラから頼まれたその役割ロールを速やかに遂行したいのか、それとも堕天使サタンが率いるリベリオン軍、失楽の守護者の一人である堕風の守護者シェハザムの事をあまり良く思っていないのか、普段決して出す事ない自身の感情を吐き出すように口にすると、シェハザムの姿を探し出す為に結界周辺を散策し始めた。それからしばらく結界周辺を散策していると、シェハザム同様にヘラから役割ロールを与えられた”破壊デストロイ”の称号を持つ”アレス”の姿を見つけると、ガングレティは声を掛けた。



「アレス、結界周辺の様子はどうですか?」


「お前かガングレティ…。結界周辺の様子に関しては今のところ特に変わった様子は無い。」


「そうですか。コルアの作った結界が正常に機能しているおかげですね。」


「あぁ。それより何か用があってここに来たのではないのか?」


「えぇ。実は主様に頼まれてシェハザムを探しているのですが…。」


「奴なら上空だ。」



アレスの言葉を聞いてガングレティは上空を見上げると、そこには空中で浮遊しながらガングレティとアレスの方を見ているシェハザムの姿があり、その姿を見たガングレティは自分が見下されているように感じたのか少し苛立ちをみせていた。



「奴は仮にも天使エンジェルだからな。空中を自由に行動できる利点を活かして結界の上空で監視してもらっている。」


「そうでしたか。教えて頂きありがとうございますアレス。」



ガングラティはアレスに礼を言うと、浮遊魔法で自身の身体を浮かせ上空に居るシェハザムの元へと向かうと、自分がここに来た理由とヘラが女王の間で待っている事をシェハザムに伝えた。



「そういったわけですのでシェハザム、私と共に主人様の元へ来て頂けませんか?」


「私に新しい役割ロールですか…。了解しましたでし。」



無表情で淡々とした口調かつ独特の語尾で喋るシェハザムは、まるで言われた事を聞くだけの操り人形かのようにガングラティの話を聞いたそばから早々に上空から下へ降りると、ガングラティを待たずに一人先に結界の中へと入っていった。



「ちっ…。これだからリベリオン軍の連中は…。」



誰にも聴かれぬよう小さく愚痴をこぼしたガングラティはシェハザムの後を追うように下へ降りると、事の経緯をアレスに伝え周辺の警護をシェハザムを除いたアレスとモルドレッドに頼むと、自身も結界の中へと入りヘラの待つ女王の間へと向かった。


二人が女王の間へと到着すると、そこには玉座に深く腰を下ろし女王の間に到着した二人を見ているヘラの姿があった。

ヘラは到着した二人の姿を見るなり呼び出しに応じてくれたシェハザムと、シェハザムを女王の間へと連れて来てくれたガングレティに感謝の気持ちを伝えると、この場所に二人を呼び出した理由を話し始めた。



「さて、今回二人を呼び出した理由は、二人には今から堕天使サタンの本拠地でもある 理想郷エリシュオンへと向かい、サタンに私からの伝言メッセージを伝えて欲しいのだ。」


「主様からの伝言メッセージでございますか?」


「あぁ。今回の計画も既に最終局面へと入っているのは二人も知っているな?」



ヘラの問い掛けにガングレティとシェハザムの二人は静かに首を縦に振り頷く。



「白騎士、マイン、デュラハン、ガングレトが導きてとして全力を尽くしてくれているおかげで、転生者ハルトが真の冥王として復活する日もそう遠くない。それにハイブリットエルフのエレナの持つ膨大な魔力を魔導装置を用いる事でその力を極限まで増幅させ、その極限まで高めた魔力を媒介にしメーディアの持つ神動術の力を更に高めた事により、この死者の国(ヘルヘイム)と地上界の境目も消えつつあり順調に事が進んでいるのだが…、ここに来て一つある問題が生じてな…。」


「…っと言いますと?」


「ガングレティは既に知ってるが、転生者ハルトの仲間である黒騎士がVと名乗る人物と共に、この教団や転生者ハルトの居場所について嗅ぎ回っているようでな。その二人の監視の役割ロールを与えたナゴミとアルファルの報告によれば、二人は現在、ヴァラマ帝国で真円卓の騎士団のメンバーでもあり伝説の四騎士の一人でもある青騎士と接触しているようだ…。」



伝説の四騎士の一人である青騎士の名にを聞いた瞬間、普段は抜け殻の人形のように何事にも興味を示す事のないシェハザムが驚いた様子を見せていた。



「なぜ黒騎士達がヴァラマ帝国へ向かったのかその詳細は不明だが、伝説の四騎士の二人がもし仮に手を組む事になったとすれば厄介な事になりかねない…。それに青騎士は”智慧の魔導騎士”の異名を持っており、”至高の魔術師”と肩を並べる程の智慧と魔術の持ち主…。いくらこの場所が外から感知できぬ次元ディメンションに存在し結界で守っていたとしても、青騎士と黒騎士が手を組んで力を合わさればこの死者の国(ヘルヘイム)のある次元ディメンションを見つけ出す可能性もある…。」


「もし…そうなった場合ーーーー」


「ヴァラマ帝国は全勢力を投入して一気にこの場所へ攻め込み、私の首を取りに来るだろうな…。念には念を入れて、ヴァラマ帝国の監視を命じたエキドナ、そして黒騎士の監視を命じたナゴミとアルファルの三人には合流するよう指示し、その三人の部下達にはタイミングを見計らって帝国の国境外にある”霞の谷”に待機するよう命じてある。現状、まだ黒騎士や帝国側には見つかっていないが、もし仮に見つかってしまった場合は大きな戦いに発展する可能性もある…。そこでガングレティには死者の国(ヘルヘイム)から出られぬ私に代わり、シェハザムと共に先程話した現状の報告、もし仮に戦へと発展した場合にサタン側へ軍事支援の交渉、そして”鍵”を手に入れるチャンスかもしれないとサタンに伝えてくれぬか?」


「御意。」


「了解しましたでし。」


「うむ。ではガングレティ、シェハザム、その役割ロール頼んだぞ。」



ガングレティとシェハザムの二人は深く頷くと、女王の間を後にしサタンの居る理想郷エリシュオンへと向かったのだった。

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