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「あんたのしおまねきじゃなかったの?」

「……違いますね。リボンついてないでしょ?」

「ふぉっふぉっ、ジェネッタ君はまだまだだのぅ……」

 ミナヅキのしおまねきはミナヅキの使っていた赤いリボンが付いてる。でもこの保護されたしおまねきには付いてなかった。

「あー、そう言えばそうかも? あ、丁度いいタイミングでこんな所に兵長が……これは運命かしら?」


「それでは皆さんごきげんよう♪」

 兵長を捕まえると引きずるように退出していく。

「相変わらずだのぅ……」




「この子ってカニエール君のお友達?」

 カニエール君にベッドのしおまねきを見せるとハサミをフリフリ知らないとアピール。

 足の早さもさることながら得られる経験値が半端ないので過去に乱獲され今ではその姿を見ることも出来ないレアモンスターしおまねき。


「カニエール君、この子連れて帰るからそれまで寂しくないように一緒にいてあげてね。」







「で、リンクス……トオルは自分の従魔でもない新たなしおまねきを連れ帰ってきたと?」

 とても微笑ましいスマイルでグランが執務室で振り向く。とそのタイミングでリンクスがお茶を差し出す。


「そうで御座います」



「ただでさえレアで経験値ザクザクなしおまねきが、誰のものでもない状態で保護されて家にいる。もしも外に飛び出しでもしたらこの領内は冒険者も数多く在籍しているというのに……危ないな……トオルはテイムしないのか?」


「そのようです」

 飼い主のいないしおまねきは誰の所有物にもならない。もし討伐されても文句の言えない状態にあるし止められるモノでもない。その討伐で得られる経験値は冒険者なら喉から手が出る程欲しいものであるはずだから……。


「そもそも、我々の認識からしたら、しおまねきってテイムできたんだね? って所からなのだが、ランクアップをしたいがあまり、無謀にも飼い主のいる状態ででも危害を加えられる可能性も無いとも言い切れないじゃないか」



「試しにテイムを試みてみましたが私めでは話にもならないようでして……」

 

「えー、Sランク冒険者であったお前でも駄目なのか。それじゃあ、ほとんどの一般人には無理って話じゃないか? テイムの条件に親密度が関係するのかなぁ? トオルはどうやってテイムしたのかなぁ、あの子は規格外だから?」

 グランは唇に手をあてて、思い付く限りテイムできそうな身内を考える。

「リンクスで無理なら使用人は全滅でしょ? ルディオ様はいけるだろうけど、狙われやすいレアモンスターには大分危ない環境だよね?それならレオナルド……は、まだ引き継ぎでそれどころじゃないし……」

 リンクスが目の前にもいた全属性持ちで魔力お化けの規格外な存在にふと気がついた。

「あー、旦那様ならいかがでしょう?」



「えーーーー、ボク? やだなぁ、フラれたらチョー格好悪いし、プライドずたぼろじゃないか?」


「そこをなんとか! ……せっかく若奥様が助けられた命ですし!」


 二人の間に緊張が走る。




「じゃあさ、この前から言ってるエマと楽しい隠居生活! 是非とも前倒しで予定組んでよ? それなら土下座してでもテイムしてみせるけど?」




「そっそれはシドニール様の頑張り次第で御座います!」


 グランが微笑む。


「なら決定! ちょっとしおまねきの所行ってくる! ……まあ、あれにもできる限りのサポートはしてやるつもりではいるけどね」




 押しも押されぬ大貴族の公爵閣下が小一時間かけ挑戦し……しまいには土下座してしおまねきをテイムしたのは他の誰も知らない事である。


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