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 じっとしてても肩が凝るから兵士さん達の屋外の稽古場に遊びにいった。


 シドさんとその同僚さんが居残りで剣の稽古をしている。その他の人達は近くの農村や村々で収穫期の手伝いをしにいっているみたい。

 どこの世界も若者が職を求めて都会に出ていってしまい、田舎ほど、じわりじわりと過疎化がすすんでいるらしい。でも普通に物かお金で税金も納めないといけないし。

 で、困り果てていた村々を見かねたバーマン兵長がここ三百年位平和な南方の砦から騎士やら兵士やらを総動員して泊まりがけで近くの農村の収穫にあたらせているという。収穫が終われば収穫祭もそれぞれの村であるみたいでお手伝いした人達は大歓迎されて帰ってくるから結果Win-Winみたい。ってマーヤさんや他の人達が教えてくれたんだ。



 二人の様子を眺めていたら、何だろう……胸の辺りが切ない。

「……みんな元気かな」


 ちくちくしてきた。






「うりゃあ!!」


「なんの!!」


 打ち合う二人、次第にアップテンポになってきた。そんな時間がしばらく続くかと思われた頃……

「あぶな!」


 同僚さんの剣をシドさんが弾いて弧を描くように、宙を舞う、飛んでいくラインが手に取るように見える。

「こっち!?」

 こっちに向かってくる。タイミングを合わせて……今!


 パシッ!




 同僚さんが意外なものを見た顔。

「すまない! ミナヅキ」

「ミナヅキちゃんごめーーん!」

 剣を受け取りに来たシドさんが私に向かって歩みをすすめる。あ、なんだか数日ぶりにちゃんと顔を見た気がする。

 そこから少し離れたところでこっちに手を振っていた同僚さんがニタリとほくそ笑んでこっそり何かを後ろ手に隠したような?


「無事でよかった!」

「もう……誰かに刺さったらどうするんですか。気を付けて下さい…」

「そこだ~~隙ありー! てえーい!!」


 いきなり自分の背後から、何事かを大声で叫びながら無作法に上段から振り下ろしてくる一太刀を、真横に体を回すように横移動した。

 くるん♪

「ぬぁ!」

 ゴロゴロゴローー!

「うわああああーー!」

 勢い余って抜けていった♪


 ドンガラガッシャーーン!


 ふっ



「あんな大声で、予告しながらの不意打ちなんてちっとも不意に打ててないないから!」

 自然に体が動くし、子供でも余裕で避けるに決まってる。


 うちの師匠(おじいちゃん)、剣聖(最近知った)なんだぞ! なめんな。




 つかつかつか……


「ないから! 隙なんて」


 

 ちょっぴり威圧的になっちゃった。が…ダメよ亨! アタシ、か弱い異世界人なの!

 この人達に保護されてないとお腹がすいてすぐ死んじゃうの。だめよ笑顔よ、スマイルよ! はい、いいお顔で♪

にっこーーーー。



「ひっ……!」



 この時同僚さんは愚かにも寸止めして驚かしてやろうと企んだらしい。大体ちっとも止まれてなかったけどね。


「はい。シドさん」

 クルッとまわしてグリップの部分を持たせるように手渡す


「おおう」



「……すげーな。異世界……」

「ディモニー……お前というやつは……」

「ちょ! なにマジ切れしてんだよ! 冗談だよ! 冗談! ちゃんと寸止めするつもりだったろ?俺!」

「ちっとも止まれてなかっただろうが!!」

「もう、許さん! 貴様切る!」

「うぎゃー!!」




「ディモニー! シド! ちょっと手伝って!」


「マーヤ、なにかあったのか?」

「ミナヅキちゃん俺たちちょっくらいってくるねー♪」

 ひらひらお手々でいってしまった。あの人は、まったくもって鍛練が足りないからもっと時間を割いて頑張るべきだと思う。おじいちゃんの特訓(ブートキャンプ)に入れてもらったらいいんじゃないかしら?


 隅っこにある芝生の上に腰かけて、えい! っと寝っ転がって背伸びしてみたら、指先に葉っぱが触れる感触……あれ?ここ確かに屋外だけど、建物に囲まれた中庭。稽古場のこんな所に、種でも飛ばされて来たのか、ポツンと中庭にに似つかわしくない可愛らしい野花が生えている。少し萎れてる。




 今の自分の状況とかぶって見えて切なくなる。


 スッと手をかざし目をとじる。

「ぞうさんジョウロ!」

 掌からぞうさんのジョウロから出るくらいの水が吹き出る。

 シャワワワー

「そうそう、これよ、コレコレ」


 ふんふーん




「ねえ」


「一人はさみしいよね……」

 名もない花に話しかけるけど当然返事は無かった。








「ほほーー」

兵長とジェネッタが兵長の部屋のバルコニーから眺めている。

「ディモニー……あれでも王立学園の後輩なんですが」


「ふふふ。なんだか愉快な子がきたもんだね」


「君、さっきのできる?」


「? ディモニーなら余裕なんじゃないですかね? 私も兵長に比べたらまだまだですけれど」


「そうかそうか……」


「お茶いれてくれるかね?」


「はい。ただいま~~」






「そうかそうか。属性ないのに水がでるのね……」


「司祭は嘘はついて無かったって言うし、無から水だしちゃうか……そうかそうか」

 趣味で備え付けた簡易湯沸かし室でジェネッタがお湯を沸かしている。

「ん? 兵長なにかおっしゃいまして?」





「んー。いい香りがしてきたね」


「今日はマーヤの一押しミュースラント産の茶葉ですって」

「そいつは楽しみだ」




平日はペースが落ちまする。


 ヽ(*´∀`)ノ♪



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