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 いつものようにお散歩に大森林まできている。今日はシドさんと一緒に魔法について考える日。

「カニエール君、ハレルヤを宜しくな?」

『だーいぼーけーん! ハレルヤかっくいー!』

「さあ、いっておいで」

 カニエール君が足元でハサミをクイクイ。弟分を引き連れて森の中に消えていく。


「ふふふ……あの子達ホントに元気ですね」

「そうだな。ミナヅキの周りはあたたかくて素晴らしいね。ミナヅキが仲間を笑顔にしているからだと俺は思う。さあ、いこうか」

 スッと出された手を繋ぐと森の奥に足をすすめる。通いなれた道だ。


 魔法について考える日なので二人きりがベストなのだ。

「シードさん」

 左右からシドに抱きつくミナヅキ達。突如として訪れた感触に戸惑いを隠せない。

「! おおぅ。どうしたんだ?」

「「なんでもなぁーいでーす!」」


「そうか……」


 その表情はこまっているのにちょっと嬉しそうに見えるのは気のせいではない。






「さて、今日はシドさんの不思議なポケット作成とその他、新たな魔法の考察でしょうかね」

「おおう。今日こそ作ってみせるぞ! ん?」


 二人のミナヅキから一つづつの小さな包みを渡される。

「……これは??」

「頑張るシドさんにご褒美! こっそり作った手作りクッキーのプレゼントなんです!」



「……それは、俄……然やる気が……出てきたよミナヅキ! 俺はやるぞぉ! 食ってたまるかこの野郎!!」



「え?」

「なんでもないよ! ミナヅキの気のせいではないかな?」

 心なしかシドが過剰な程の武者震いをして額から異常な量の汗が滲んでいる気もするが、ミナヅキにそれは伝わらない。ここからシドの生死を分けた戦いがはじまったのである。

「うおおおおおおーーー! 俺はやりきる! ミナヅキの思いを無駄にするものか!」


「やっぱりシドさんは頼もしい!」


 ミナヅキ達は、鼻歌交じりに花畑で花冠作りを始めた。

「あれ? あたし、それ花冠じゃないような?」

「あるぇー? なんだか藁人形みたいに、なっちゃったよ! あはははは……」


「凄い個性的!」

「斬新じゃない?」


「いーねー! どんどん作ろ?」

「きゃはは、これってまるでお盆におじいちゃんと作った精霊馬(しょうりょううま)? やだー!」

 小一時間で藁人形ならぬ、シロツメクサ人形と馬形の馬ツメクサ人形がちょっとした小山になっていた。その頃には念まで込めたシロツメクサ人形作り職人なんじゃ? と思う程の手際であった。

「ふーっ、シドさんのご様子はどうかな?」

「あたし見てくる! 任せて」

「ありがとうあたし!」



「どうですかぁー?」

「なんとかいけそうな? 気もしてきたぞ!」


 汗にまみれて両手に一個づつクッキーの包みを持っている。

「これを……」

「……これを??」


「こうだーーー!!!」

 ズボ!!

 自らの胸に叩きつける様にした瞬間に(くだん)の包みが消えていた。

「おおー! 凄い!」




「何これ!? こっちも凄いよ! 見て! 見て!」

 一人残って精霊馬を作っていたミナヅキが大声でよんでいる!


「え?」

「どうした!?」


 振り向くとミナヅキの足元に何かがピョンピョンしている。

「!!」



「この子達動くのー!」




 ミナヅキの周りに精霊馬に乗ったシロツメクサ人形がピョンピョン跳ねている。


「何だ!? これは!」

「私達、暇だったから花冠作ろうとしてたんですよ?」


 シドが急ぎで花冠を作成するとそれ等とこれを見比べる。

「これが……それ?」


「はい!」

「創作意欲が湧いたんですかね? しっかり念も込めておきました!」

「だよねー、あたしもそうだもの。ちょっと頑張り過ぎちゃったのです!」


 とりあえず、ミナヅキの前で整列して貰った。全部で五十体(組)……

「みんないい? 人に迷惑かけるのは禁止だよ? 森から出ちゃ駄目よ? こっそり暮らすのよ? ここに来たら遊ぼうね!」


 皆でワイワイしている。

「じゃあ、分かった人から解散!」



 森の中にはイタズラ好きな小さな妖精が潜んでいるようだと周辺の村で噂が立った。


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