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「ここまでが、今年流行のデザインでございます」
「まあ、こちらも大変お似合いですね~、お嬢様」
メイドのマリーは朝から大興奮でドレスの試着を色々すすめてくる。
「ど、どうですか? その……似合い……ますか? ……うぅシドさん、恥ずかしい……」
恥ずかしそうに顔を赤らめるミナヅキ。感覚がいつまでたっても庶民なので貴族的な結婚式で、過分な扱いと自分の知っている花嫁の立ち位置の誤差にいつまでも戸惑いを隠せず、来るべき日の為に色々なデザインのドレスをまずは試着してみようとするも、ひたすらにこのざまで、傍目から見たらリア充爆発しろよと、いわれるのではないかと思われる。
「……とても可憐だ」
どれを着ても、見せる方も見る方も耳まで真っ赤の茹でダコになってしまう。
「うぅ……まだ着るんですか? あぁー!」
お針子さんと、メイドさん達に連行されてパーティ-ションの奥に消えていく。
「お嬢様、次で終わりでございますよ。頑張ってくださいまし! お坊っちゃまはもう少ししゃんとして下さいまし。さっきから鼻の下が伸びっぱなしでございますよ? マリーは恥ずかしゅうごさいます」
「マリー、そんな事を言っても、どのドレスもミナヅキに似合いすぎるから仕方ないのだぞ!?」
「こんな姿、旦那様や奥様がいらっしゃらなくて本当に良かったですよ」
「父上と母上はお忙しいのか?」
マリーは先程使ったアクセサリーを専用のジュエリーケースに片付けながら難しそうな顔を隠しもしない。
「お二人と御客様、皆様もう目の回るような忙しさです。本日もお帰りの予定はわかりません」
「そうなんですね」
「むー、あたしにはどれも素敵すぎて選べそうにないので、シドさんの一番好きなヤツを教えて下さいね。それに決めますから♪」
「お坊っちゃま、お嬢様も相手に丸投げしないで真剣にドレスを選んで下さいまし!」
「責任重大だな……むぅ……」
「もしお望みなら、あたしとシドさんが衣装を交換してウェディングドレスを着てもらっても大丈夫ですよ~♪」
「! ……やめて。本当にやめて……、今俺凄い気持ち悪いの想像したから!」
「あははは……。あたし的には悪くないと思うんですけどね。ふふ」
「こちらで最後でございます」
「……!」
その目に飛び込んで来たのは、オフショルダーなプリンセスラインの上品な純白のドレス。ごてごてとした余計な飾りを一切省き、隅々まで丁寧に刺された刺繍とレースが彼女の髪と相まって上品さを醸し出している。
シドは視線を外すことも出来ずに釘付けになる。まるで時を刻むのを忘れた様に止まったまま背景の雑音が一切邪魔することがない二人だけが刻む時間……。
それでいてお互いの鼓動だけは手に取るように伝わるのが不思議だ。
シドの熱い視線がミナヅキを絡めとり交わりいつまでも離すことはない。
お針子さんもその他のメイドさんも微笑ましく見守っている。
「まあまあ……お二人ったらもう……、はいはい、こちらで決まりでございますね。それではそのようにいたしましょう……」




