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「こちらがミナヅキ様のお部屋でございます」

 リンクスが案内していく。


「あー、とても立派なお部屋ですね……」

 思いっきり落ち着かない華美な部屋にドキドキするミナヅキ。遠くない未来にこの部屋の主になる実感が全く持てない。

「うん、確かに砦の自室よりは立派だね……」

「うぐっ、さすが貴族のお坊っちゃまですね、シドさん…」


 ミュースラントの本家に二人の居住空間を用意して貰ったのでそれを内見(ないけん)する。広々とした亨の部屋とシドの部屋、寝室も各々用意してあった。二人の寝室にはドアがありお互いが行き来出来るようになっている。


「これは……、問題は部屋のある場所だと思うけどね」

 ぼそりと小声でつぶやくもミナヅキには聞こえてない。ここは元々領主である父と母の部屋があったフロアだった。チラリと側用人に目をやる。笑顔を返してくる。



 リンクス曰くドレスも靴も全てが準備され、いつからこちらに住んでもいいようにしてあるとの事。

「ミナヅキ様、マーヤからお式のご希望を承りました。ご希望通り式は小規模に、その(のち)こちらのガーデンを使った御披露目をなさる……でよろしいですね?」

「……」

「ミナヅキ様は、王命が御座いますので、他領の者と直接触れ合わないように配慮いたします」

「……はあ、それだと派手な式は無しにするとか……?」




「こほん」

「うっ……じゃあそれでお願いします」

 リンクスの圧が凄い……。

「畏まりました」


 自室の確認から此方に来たシドがミナヅキのしょぼくれた顔に気がつく。

「ん? ミナヅキどうした?」

「いえ、何でもないですよ?」



 二人の寝室に入ると

「この後、父上の部屋に寄るように言われているんだよね」

「お義父様の?」

 シドはミナヅキを、抱き締めると父の執務室をイメージして瞬間移動すると二人の存在が虚ろになって消えた。



「うっぷ……」

「ふふ……シドさん、いつまでも慣れないんですね」

 自分で移動しておきながらいつまでも気持ち悪そうにしている。どんなものにも向き不向きがある様だ。



「お義父様、こんにちは!」

「やあ、トオル! 久しぶりだね。シドニールは……元気無さそう? 今日はトオルに紹介したい子達がいるんだ。ティア、ティナ出ておいで」


 お義父様と話してたらその後ろから二人の女の子がでてきた。

「この子達はエマの親戚の子供なんだけど、親が構わない癖にやたらと過保護でね、変な虫が付かないように(かご)の鳥どころか檻の鳥だったんだ。たまには外の空気もいいかと連れ出してみたんだけど。ふふふ。ボクって悪いおじさんなんだ♪ いいだろう?」

 どことなく楽しそうに話すグラン。これでも普段は堅物言われていると聞いてもミナヅキだけは信じない訳だ。


「ちっ違うわ! わたし達が頼んだの! グランは悪くないの」

「……そうなの。グランを責めないで……!」

 金髪と銀髪の二人が必死にそれを否定する。グランはそんな二人を抱き締めてハグする。

「どうだ可愛いだろう? トオルよりは少し年下だけれど、周りが大人ばっかりで友達も作れないんだ。是非とも仲良くしてやってよ」


「水無月亨よ。あたしの事はトオルって呼んでね」


「……ティアです」

「ティナです、よろしく!」

 金髪の子がティアで銀髪の子がティナ、その双子は恥ずかしそうにはにかみながら挨拶する。




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