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ミケランジェロ改めミケを部屋に案内する。
「ここよ、入って♪」
「お姉さん、南方の砦に住んでいるんですか? まるで異世界からの迷い人みたいですね?」
……まあ、そういう話もあったよね?
「へぇーそうなんだ。知らなかったな~」
目を泳がせたけどこの部屋でなら大丈夫。多分ミケ君はあたしの事なんか覚えておけないよ?
『ミナヅキー! おかえりー!』
『エサまだー? エサくれー!!』
きたきたー♪
「はいはい、ハレルヤただいま」
ん? やたらと静かなので横を向いたらミケ君目が点になって固まってるよ。
「お姉さんこれって! えっ? えっ? まさか!?」
「そう、あれはこの子の羽根なんだよ」
ドッキリ成功!
あたし、にへって笑っちゃった♪ 固まってるよ。可愛いね。
『ミナヅキジャナイ! これだれだ?』
「あー、ミケっていうの。仲良くしてやってね」
「僕はミケじゃないけど、これってほんとに不死鳥なの?」
『ミケ! エサくれー!』
「はい。これあげてみて?」
「喋るの? ……ひゃ!」
イタズラでほっぺにリンゴをあてたらビクッてしてるの。ミケって、まるで子供なんじゃない? まあ、そっか背だってあたしの方がずっと高いし。リンゴを持たせる。
「ほら、食べな」
おそるおそるそっと差し出すとハレルヤはそれに飛び付く。
『りんごー! かくごしろー! 今日こそ丸飲みダー!』
ガリゴリガリゴリ……
ハレルヤがいつになく興奮気味にリンゴにかじりついてて、それを見ているミケも既に興奮気味だw弟がいたらこんな感じなのかも?ふふふ。
「わぁ! 食べたよ! ミナヅキ、凄いよ! ぼっ僕、不死鳥にエサをあげたんだよ!?」
「そだねー。ありがとね」
『うまー! もっとー!!』
あたしの足元にカニエール君もすり寄ってきた。自分と同じ様な大きさの何かを差し出してきた。
「ミケー、これもくれるって」
「へ?」
カニエール君を持ち上げて本人に渡させる。
「これってしおまねき! マジか、希少種じゃないか! ええ! 脱皮した殻をくれる? いいの? 凄いよ♪」
「ミナヅキ!僕は今日という日を忘れられそうにない!!」
「どお? これから頑張れそう?」
「ああ! 誰にも負けない魔道具工房を作ってやるさ!」
やる気がこぼれる位に飛び出してる。頑張るこの子を応援したいと心から思った。
「じゃあ、この子達の素材が取れたら拾っておくからまた取りにおいでよ」
「!」
「ミナヅキ君は最高だ!」
感情の高ぶりのままに抱きつかれてた。子供は元気が一番よね。
「僕が大人になった頃、まだ君が行き遅れてたら、僕が君を……」
「ゴホン!! それは無理だな。少年よ!」
ぐいっと引っ張られシドさんに力任せに抱き締められた。
「きゃ……シドさん!」
「ミナヅキは俺のだからな!」
腕からあたしを奪われたミケは怒り心頭のようだ。
「貴様、何者だ! ミナヅキを離せ!」
「いーやーだ! ミナヅキの髪の毛一本くれてやらん!」
「なんだと!? 横から急に現れたモブめ! とっとと彼女から離れないか!」
「なんだと!?」
あははは…大人が子供と真剣に張り合ってる♪
うーけーるー。
「ミナヅキは人気者だのぅ、それで何処に嫁に行くのか決まったのかの?」
「兵長! アンタは敵なのか!?」
シドさんがくわっ! って歯を剥き出して怒ってるw
「あははは……またからかいにきちゃったんですか?」
また新たな波風がたちまくっている。兵長が楽しんでる顔してるわぁ……。
「ふぉっふぉっふぉっ……さぁて……ね、わしはミナヅキが選ぶならどちらでも構わんよ?」
「彼女から離れろ! オジサン!」
何処までも低次元な会話が繰り広げられてるから諦めてその位置から観戦者になる事にした。
「なんだとこのチビっ子め!」
「うるさい! 大人の癖になんて残念なやつなんだ!」
お義父様が瞬間移動でお迎えに来てミケ君は強制送還されていった。




