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「ただいま!」
『ただいまー! ただいまー! めしー!』
ハレルヤが昼寝から起きたのか寝床から叫び声がし始めてる。
「うわ! 起きた!」
「起きたのか。いい子だぞ。ハレルヤ!」
『ハレルヤいい子! いい子!』
じゃがいもとリンゴの入った籠をもってマーヤさんがやってきた。
「あら、お帰りなさいミナヅキちゃん。今お帰りなのね♪ ハレルヤは……起きたみたいね。……そうね、とてもいい子だったわよ」
『いい子! いい子! これやる!』
ハレルヤが抜け落ちた羽根を一本あたしに差し出してくれた。
「わぁー、綺麗だね! ありがとうハレルヤ!」
『ハレルヤえらい! かしこーい! どやー』
「えらーい! ハレルヤ最高!」
羽根を受け取るとご機嫌なハレルヤを、いっぱいなでなでしてあげました。
「マーヤさん、先に兵長に報告に行ってきてもいいですか?」
「ええ、よくってよ?」
マーヤさんが、にこやかにじゃがいもをハレルヤに投げる。
『じゃがじゃがー、がりごりー!』
コンコン
「かえりましたー!」
「おーそろそろかと思っていたが帰ったかのぅ……」
まわりを見渡すもジェネッタお姉さんの姿はなく兵長が一人でのんびりしていた。
「珍しいですね、ジェネッタお姉さんがいないとか……」
「あー、それは何だ……砦の新人女性職員の部屋で盗難事件があってのぅ、疑わしい男がおるのだが厚かましくも未だに否認しておるのでジェネッタが助っ人として出向いておるのだよ」
「……あー、ブレないですね。あのなんとかっていうシドさんの同僚の人ですか?」
「そうそう、それじゃのー。きゃつの部屋から盗まれた女物の下着も押収されておるというのにな」
「うわー……気持ち悪いですね」
手に持っていた書類を机に置いて飲み物の入ったカップを口にする。えっ……何処かで見覚えのある魔道具がキラッと輝いたのを見逃さなかった。
「兵長……もしかしてですけど兵長のその指輪ってお義父様とお揃い……ですか?お二人は所謂蜜月の仲って言うやつです?」
ぶはっ!
「げほげほげほ……気色悪い事を申すでないぞ……」
兵長がぞわぞわしながら珈琲を吹き出した。
「……気持ち悪い……」
「よくおいでになりました! ミナヅキ様」
「こんにちは、バーミラさん」
いざという時の為に、とにかくどんな分野でもいいから魔法を伸ばす為に教会に向かい治療院にお手伝いをさせて貰おうと出向くことにしたあたし。
「まあ、ミナヅキ様は回復魔法をお使いになられるようになったのですね。」
「そうですね。でも変な騒ぎになるのも嫌ですし、あたしがやったのを内緒にして頂きたいのです」
「まあ、ミナヅキ様は控えめで慎ましやかな方ですのね。かしこまりました。この地域は魔物が減って平和になった分、冒険者様も減ってしまい他の地域に比べ圧倒的に回復魔法の使い手様がいらっしゃらないので、私共の祈りだけでは到底すべての患者さんをフォローしきれないのが現状ですから是非ともそれでお願い致します」
聞くところによると軽症の人はあっという間に完治していくけれども、自然治癒力が難しい弱った人達がずっと入院しているという。




