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「ふぁーーっ。むにゃむにゃシドさぁーん……」


 ゴロゴロ……



「ん……今何時なの? やば! 寝すぎた?」

 頭がずきずきする……いたーい。 


「あら、起きたのねミナヅキ」

 いやん……、寝起きのぼーっとしたとこ見られちゃった。寝言とか言ってないといいけど……。


「あ、ジェネッタお姉さんおはようございます」

 お姉さんが部屋のカーテンを開けて窓を開け放つと風が気持ちいい。

「もう、昼なのよ。……しかもミナヅキ、寝癖凄いわよ?」

「へ? やだ、寝癖? あ、髪……。」

 ワタワタしながら髪の毛を手櫛で整えると指の間から見える自分のだけど、自分のものじゃない様な見た目の白い髪の毛……。


「あんた達どこで遊べばそんな頭になるのよ? 兵長もだけど、ミナヅキは長い事もあるけど……また驚くほどに白いわね。」


「えへへ。似合いますか?」

 おどけてへらへらしていたら呆れた顔されちゃった。



「気楽なもんねーー」



 お姉さん曰く兵長も昨日夜帰ってきた時には髪の色素が抜け落ちてて、シドさんに抱かれてるあたしも例に漏れず真っ白だったそうな。


「シドが血相を変えて飛び込んできた時は皆ビックリしたのよ~? こんなに驚いたのはミナヅキがここに来た時以来じゃないかしら? あの時はびっくりして……」

「あー、それは気のせいですね♪ お姉さんきっと疲れているんじゃないですか?そう、昨日は、あたし魔力切れでぐったりでしたから……。そんな事があったんですね」


「兵長も元々の銀髪が真っ白で、それでも変わらずケロッとしてたけど、あんたまで平気なのね。驚くわ」

 お姉さんったら引き笑いしてるわ。大げさじゃない?

「えへへ。あたし的には、ああ……ここは異世界なんだなーって実感してる位ですけね」



 昨日兵長は疲労が半端なくとも執務室に戻って残りの仕事を処理したようだ。


「ミナヅキは黒から白だからその違和感たるや……、昨日はあんたの所のカニエールは大丈夫だったけど、マーヤが預かってた鳥はびっくりして逃げたっていうわね」

 おーい、ハレルヤ……。鳥だけにあの子はチキンハートなのね?


「あはは……あの子はまだ子供ですからねー」




 翌日あたしはいつも通りの日常を取り戻していて、朝には目を覚ますが、体調に大きな変化は無いけれど髪の色は抜けたまま。魔力もすこしづつ回復していっているらしい。兵長も髪が白くなっただけで変わりなかった。

「あふぅ……眠い」


『エサー!』

「はいはい。ほーら、じゃがいもだよー」



 髪が真っ白になる位魔法を使うと、しばらくはとても眠いみたい。




 こんこん


「ミナヅキ起きてるか?」

「あ、シドさんお疲れ様です。今日はもう上がりですか?」


 そう言えば、いつも遊びに来る時間帯になってた。シドさんがフルーティーな香りのする紅茶をいれてくれた。これはシドさんの好きな香りをつけた紅茶。

 隣に腰掛けたシドさんにぎゅっとして心の栄養チャージ♪

「シドさんの腕の中はあたたかいです」

「俺は、ミナヅキが柔らかくていつもドキドキしてしまうな」

 ちょっぴりお顔が火照ってしまうけれどあたしの顔の火照りも隠してくれるこのベストポジションははずせない。

「髪、戻らないな。折角綺麗な黒髪だったのにミナヅキ、正直にいうのだぞ? 他に不調とかはない? 何でも言ってほしい」

「ううん、大丈夫です……。強がりなんてしてません。ただ……」



「たくさん頑張ったから、……大好きな人に……いっぱい褒めてほしい……です」

「……そうだな」

 シドさんのあたたかい大きな手があたしの事を大事そうに撫でてくれる。髪を手櫛でとかして、その指先が耳元に触れると、触れるか触れないかの絶妙なタッチで首筋から耳元までを(なぞ)る。

「ひゃ!」

「ん、ここか?」

 シドさんがイタズラっぽくあたしの耳たぶから耳の中を探って行く様に順に追っていく。その優しい撫で方が(たま)らなくあたしを切なくさせる……。

「はにゃあ!」

 未知の感覚に背中からぞくぞくするものを感じて体が跳ねる……。

「そこやぁ……」

「……本当にだめなのか?」

 イタズラそうに何度も何度もシドさんが耳元を(もてあそ)ぶ……。

「……ん、あぁぁ……!」

 必死にこの感覚から逃れようと体をずらすと、待っていたとばかりにシドさんの両手に(から)()られてしまう。

「あぁ、恥ずかし……見ちゃ……やぁ……」

「ミナヅキは可愛いな」

 イタズラっぽく微笑むイケメンに強引に唇を奪われ、彼はあたしに情熱的な口付けをし、同時に耳元を弄っていく。


「ミナヅキ……愛している」





 あたしはこれ迄、固く握りしめて離さないでいた何かを丁寧に、(ほど)かれる様にほぐされ指先にいたる迄、シドさんの色に染められていった。





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