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午後の昼下がり、お昼寝中のハレルヤを横目にお茶を頂きながら読書していた。シドさんの実家の側用人のリンクスさんがやってきた。
「リンクスさんこんにちは♪」
「トオルお嬢様。こちらこの時期からお使い頂ける御召し物ものをお持ちいたしました。ドレスと装飾品とお履物となります。クローゼットにお運び致しますね」
「え! あたし採寸なんてしたこと無いですよね?」
「ご安心ください。マーヤから報告を受けまして、当家の職人に申し付けご用意致しました。こちらにいらしてからのサイズ変動まで全て網羅致しております」
「え! それは!」
「あ、ご安心下さいませ。こちらの情報は、非常にプライベートなものでございますから、不埒な妄想を思い描かないように、シドニール様には一切お知らせしておりません」
「……はぁ」
違う……結果そうだけど、そうじゃない!! 乙女の三サイズが紳士含め多方面に筒抜けという事実に空いた口がふさがらなくてパクパクしている。
リンクスさんが収納袋に仕舞って恭しく大量のドレスを持ってきてくれた。ちょっと庶民の常識の範囲と違うって思うけれど、それがエマ義母様からのプレゼントだと思うと嫌とも言えない。
「それよりも、お嬢様。お勉強の進行具合が少し遅れているとの事ですが」
「あばばばば……。あたし! 頑張りますから!」
リンクスさんは不敵に微笑む。
「畏まりました」
コンコン
「ミナヅキ」
「シドさんいらっしゃい!」
現金なもので、意中の男性の登場ひとつでぱぁぁぁーっと明るくなってしまう。分かりやす過ぎる乙女心乙。
「ハレルヤもいい子で寝てるね」
「ええ、この子まだ赤ちゃんですから」
「そうだな」
シドさんはにっこり微笑むとあたしを膝の上に抱き寄せる。
「にゃ!ん……」
シドさんの人差し指があたしの唇にあたり、大きな声をシャットアウトする。
「……最近ハレルヤばっかり構ってるから……今はミナヅキを甘やかしたい。嫌かな?」
イケメンが微笑んで掌にキス。やっぱり自然と胸の鼓動は早まるし、あたしは頬をほころばせてしまう。
「ううん。やじゃない」
腕の中にすっぽり埋まってしまって、お膝の上でシドさんに撫でに撫でられまくってて、程無くお風呂上がりみたいにほこほこになって、されるがままで余は満足じゃぁ~~♪
「ミナヅキは可愛らしいな」
シドさんに抱き締められて、彼があたしの髪の毛を弄ってて、あたしは空いている方のシドさんの手を抱えて愛おしそうに頬擦り。
「……好き」
「……うん」
シドさんの鼓動を感じながらの心地よい甘い時間。
わかりあっててもたまには構って欲しいものなのです。




