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 こうなったら新しく出来た親友を砦にご招待してやろうと思った。


「ピクシー、今から一緒に帰るから少しだけ目を閉じて? ちょっぴり気持ち悪くなるかもだけど、多分すぐに着くから」

「ええ、トオルこう……かしら? なにをなさるの?」

「シドさん一旦あたしのベッドにお願いします」

「了解した」

 

 この魔力激減の最中に、頭が揺れる。




「……うぇ……気持ち悪い……」


「うっぷ。俺は一回兵長の様子を伺ってくる! 待ってて」

「ふぁい……」


 あー気持ち悪い。じゃなかった!

「ピクシー! 大丈夫? ピクシー! しっかりして!」

 念のために寝室にしておいて良かったわ。ベッドに着地した状態でヘタレる女二人。


「……これは……クるわね。トオル、わたくしちょっと動くのに時間がかかりそうよ」

「だよね。あたしも魔力激減してたから、正直……酷いわ。でも一応ここは、あたしの部屋」

「……そうなの? おじゃましているわぁ~」

 二人でヘロヘロになってる、もうちょっとこれは何とかならないのかしら。





「ただいま!ミナヅキ」

 暫くしたらあたしの部屋のドアをあけ、シドさんが兵長を連れてきた。

「あ、シドさん。おかえりなさい」


「なんのようだね? 急用と聞いて、いても立っても居られずに仕事を投げ出してやってきたぞ! とうとう子でも出来たのか? それはいささか肝が冷えるな……!」

 なんなのこの人、いきなり来て凄く楽しそう(笑)


「そんなんじゃないですって! もう!」

「ふぉっふぉっふぉっ……」

 あたしをからかおうと意欲満々でいる兵長みたいだった。


「早くグランに孫を抱かせてやるとよいぞ。あやつ首を長くしておったからのぅ……ん?」

 ピクシーの目が大きく開かれ刮目(かつもく)し、勢いよく兵長の脇腹に飛び付いて兵長ごと倒れちゃった!

「ちょっと! しっかりして!」

「兵長!」


「ミナヅキよ、これは一体何の……」

「レオナルド……」

 ピクシーが瞳を潤ませて幸せそうに微笑んでいる。

「ぬ?」

 普段はとても上品な淑女のピクシーが、まるであたしみたいに張り付いて離れない所を見ると、顔を合わせるのはかなり? ご無沙汰なのかもしれないと思った。

「レオナルドったらいつの間にか、すこし老けたのね……わたくし、貴方と一緒に年を取りたかったわ」

「ピクシー。とうとうわしを迎えにきてくれたのか? 愛しい妻よ」

「ダメよ、ダメ! 折角また会えたのに、まだまだ逝かせないわ。レオナルド!」

「え?」

 兵長はあまりの事で絶句していた。





 音を立てずにシドさんを引っ張って部屋を後にすると二人で手を繋ぎ、臨時の門番のアルバイトをしてみた。

「積もる話もあるかもですよね?」

「そうだな、兵長は早くに婦人を亡くしていて、それでも変わらず一筋で有名だしな」



「で、さっき詳しく聞いてなかったけど、どういう、経緯なんだ?」

「……そうでした♪」


 あたしは、大まかな流れを説明してみた。


 大森林でガーデニングを楽しんでいたら大切な物を探していた外交官でワーキングマザーのピクシーと会い、一緒にお茶を楽しみ雑談したら意気投合して友達を通り越えて一気に親友となったが、任務のために家族の元を離れる彼女の為に何かしてあげたくて守りの魔法と、ひとつだけの奇跡を願って贈ったら、あたしの背中から羽根のエフェクトが出て、ピクシーが夫と共にもう一度生きたいと願って、瞬時にごっそり魔力が抜き取られる感覚がして倒れて膝枕してもらっていた……と。


「ふー。なんだか分からない用語がいくつか出てきたが、とりあえずピクシーさんはミナヅキの親友なんだね?」

「えへへ……。そうです。こちらに来て一番最初に出来た親友なのです。」

「友達は人生を彩り豊かにしてくれる素晴らしい存在だ。ミナヅキは善き出会いをしたのだね」

「……はい♪」

 ドアを背にお互いに頭をこつんと(もた)れかからせている所を、兵長を探していたジェネッタお姉さんに見付かってグチグチと絡まれては時間が過ぎていった。


 すこし覗いてみたら、二人して窓の外を眺めながら肩寄せ合ってたのに、気が付いたら仲良く帰宅したらしく部屋はもぬけの殻になっていた。

 今頃、兵長のお家はそれはもう大変な騒ぎになってる事だろうね。




 今夜は夜半に今年の初雪を観測したみたいだったけど、今日は南方の砦は夏じゃない? ってくらい凄く暑かった。


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