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「我が家でそのまま寛いでいて頂きたいのは山々なのだけれども。今は戻るといいわ」

 

「シドニール! トオルをしっかり守るのですよ。早く南方の砦にお戻りなさい。多少のネズミはいるけれど、あそこは安全だから……」

「母上、当然ですよ。ミナヅキの安全は俺が守るから」



「奥様、本日お約束のお客様がおいでです」

「まあマリー、もうなの? わかったわ。参ります。では、あなた達はくれぐれも外で誰にも会わないように気を付けてお帰りなさい……ね」




 エマ義母様が足早に部屋を後にするとリンクスさんがエマ義母様が難しい顔をしていた理由のようなものをおしえてくれた。


 なんでも国王数日前に王宮から文書が届いて、その内容がこれまでかって位、権力を発揮して、異世界人は国際法の取り決め通り、入国を認め保護するが、その移動には制限と、禁止期間までを設けてきた。その範囲は王都含め他領に侵入、一切の接触禁止。当初の保護先、そして嫁ぎ先の領内でのみ自由な生活を許す。この措置は緩やかにこの国に慣れるようにとの思い以外なにものでもない。と、これの移動禁止期間はおよそ百年! その期間が終了後は自由に行き来してよいとなっている事をおしえてくれた。

 ……ん? 王様、この世界にゆっくり慣れたらいいよって言い方だけど、はなからあたしを自由に歩かせるつもりはないみたい? これは怒ってもいいレベルなんじゃ?


 続けて聞いてたらその、底意地の悪そうな王様、今体の調子が悪いみたいで王妃様が付きっきりらしいよ。人に意地悪なことするからバチも当たるよね。



 まあ、ダメだと言われても、一度来て場所を覚えたらどこにだって馬なしで飛べるんだけどね。ってことでよくない?




「ミナヅキちゃんおかえり! 向こうはどうだった?」

 部屋で夏休みの友以上に厄介な本の山脈とにらみ合いをしていたら、マーヤさんが覗きにきてくれた。

「マーヤさん! ただいまです♪」

「あ、エマ義母様もとても良い方で、シドさんは凄いお坊っちゃまでした~」

「それは良かったわね。じゃあ心置きなくこの課題と向き合える頃なんじゃないかしら?」


「うぐっ……ソウデスネ……」

「ふふふ……」




「ミナヅキさんこんにちは。聞いたわよ? ご結婚が決まったのですって?」

「ミヌエット先生、今日もよろしくお願いします!」

 とても可愛らしい笑顔のミヌエット先生が来たとき、何故か前と違う魔法の感覚がした。

「あれ? 先生に……割りと強めの状態異常の無効が、新たに付いて無いです……か?」

 自分にかけた状態異常超無効がミヌエット先生にかかってる。不思議~。

「え、ああ、この前父がわたくしと娘にかけていったものかしら。お父さんたらいつまでも過保護で困ってしまうわ」


「あー。兵長、家族ラブでしたよね♪ それは納得です!」


 兵長色々凄そうだから、家族の為に出来る事ならなんでもやるよね。


「我が家は、母を早くに亡くしてるから、そのせいもあってか、気が付けば父があんなになってて……ミナヅキさんにご迷惑をかけてないかしら?」

 先生がおろおろしている。

「いえいえ! 全然大丈夫です。心強くていつも助けられています。素敵なお父様で良いですね! うちの父は学校の先生だったのですが、無口でそんなに構ってくれない人でしたから羨ましいです」

「あら、そうなの?」

「でも、その分母とおじいちゃんがあたしを構いたくて仕方なくて、そっちは困りました。今も元気にしててくれたら嬉しいです」


「そうね。今は異世界だものね。それは寂しくて悲しくなると思うわ」

「いえいえ、今あたしには、新しい家族が出来ましたから。シドさんがいてくれたらあたしは大丈夫です。ちょっと遠くにお嫁に来たと思えば楽勝ですよ♪ 先生は、そんな悲しい顔しないで下さい!」


「ミナヅキさんは優しくて強いのね」


「父もそうだと思うけれど、わたくしも困った時にはあなた達の力になるわね! 遠慮無く声をかえてくださいね♪」



 いつか、家族の皆や花菜にシドさんや皆を紹介したいな。そのためにも強くならなきゃだわ! がんばろう。



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