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シドさんが、寝室のベッドまで連れていってくれて優しく寝かせてくれた。
「ミナヅキ……後でまた覗きに来るけれど、ちゃんと横になっておくのだぞ」
ぐったりしているあたしの頭を撫でてくれる。頬に触れる指がどこまでも優しくてひんやり気持ちいい。
「……うん」
彼はすぐに中庭に戻っていった。撫でられた感覚があたしを安心させてくれる。
コンコン……
余りの具合の悪さに何も出来ずにぐったりしていると、兵長さんが部屋まで来てくれて様子を見舞ってくれる。
「ミナヅキ、具合はどうだね?」
「頭がくらくらします……」
私の手をとって何かを確認したのか兵長さんが口を開く。
「これは所謂魔力切れというものだな。昨日と比べて君の魔力が、かな~り薄くなっておる。若いからといって余り無茶をするのは感心せんよ」
「……すみません……」
「お嬢様よろしかったらこちらをどうぞ」
「……貴方はどなた?」
「私、さるお屋敷で側用人をさせていただいておりますリンクスと申します。お見知りおきを……」
兵長と一緒にきた長身のインテリメガネの紳士が、お花の形のとても可愛い匂い袋をあたしの手に握らせてくれた。
「我が屋敷の庭で取れたハーブを乾燥させて詰めたものでございます。癒しの香りでリラックスでき、睡眠を高める効果があるものになります。外側にあしらわれた魔法石も同様に癒しの効果を付与されておりますから。今のお嬢様にぴったりかと……」
「あぁ……いい香り……ありがとうございます……」
アロマの癒し効果で自然に睡魔がやってきた……眠い……
「いえいえ」
「貴女は、シド様の大切な御方ですか……ら……」
……言葉が、聞こえてるのに聞こえない……
「ゆっくりお休みくださいませ……お嬢様」
小一時間しっかり寝たら、なんだかスッキリ! これなら明日には元気になれそう?
コンコン……
「ミナヅキ?」
「あ、シドさん。お疲れ様です」
「ちゃんと寝れたかい?」
ベッドの横に置かれた椅子に腰かけるシド。
「はい。さっきまでぐっすりでした!」
おどけて答えると、心配そうにあたしの頬を撫でるシドさんが微笑む。全くもってイケメンってやつは……
「うん。血色も良くなってこれなら安心だ」
……イケメンの微笑みには、回復魔法でも含まれるんじゃないかな?
「ん……何かとてもいい香り? ハーブか何かかい?」
枕元に花型の匂い袋が……。
「そうそう……これ、兵長と一緒に来た人が、あたしにくださったんです」
「それはよかったね」
あの人の名前はなんだっけ
「確か、さるのお屋敷にお勤めの方でした。そう! 確かそんな感じで言ってたんです」
……シドさんが一生懸命考えてる。
「……猿のお屋敷? 変わった所からいらした方だったんだね」
「ほんとですねー。あはは……」
あんまりおぼえてないやー。
シドさんは優しい掌で、頭を撫でてくれる。
「夜も遅いし、俺もそろそろ部屋に戻るよ。ミナヅキいい子でお休み」
うう……こんなに甘やかされるとか、シドさんは自分がイケメンっていう自覚ないのかな。ドキドキしちゃうじゃない。
一晩ぐっすり眠ったら翌朝には全快してた♪ 癒しのアロマ最高!
魔力切れを起こした翌日なので。今日は一日お部屋でゆっくりするようにマーヤさんにすすめられたので、ジェネッタお姉さんにも声をかけて、一緒にお茶会をすることにした。
「へー! ミナヅキはこれまで彼氏が出来たことなかったんだ」
「はい、ずっと部活ばかりで、家も道場だったので、小さい頃からずっと竹刀を握りしめてた青春でした」
ジェネッタお姉さんが足を格好良く組み直してとうとう核心に触れてきた!
「それで今は、シドの背中に回す手をやたらと握りしめてるんだ? ミナヅキは……」
ぼん!
「いやいや! そんなつもりは全然ないんですけど……、最初心細くて、怖くてしがみついていたんですけど、そこに落ち着いてみたら、なんか抜群の安定感? というか心音が心地よいというか、そこに、いると安心できる? し、ずっと居られたら落ち着くなぁ……みたいな……? あの背中とても居心地がよくて。あはは」
これは! いわゆる……恋バナ突入……なの??
「否定しつつ惚気るのね。いい根性してるわ。そもそも貴女お顔が真っ赤よ? 熱でもあるんじゃない? で、向こうは?なんだって?」
「べっ別にシドさんとはそんなんじゃないというか、まだ告白したりされたりもないし! ごにょごにょ……」
「なんとも、もどかしいのね」
何度もお願いしてようやく幾分かくだけてきたマーヤさんも焦れったく思うらしく腕を組んでこっちを向いてる。
「でも、シドさんを好きかっていわれたら、そんな……えっと、あたしは……その……」
「はいはい、大好き確定~~」
「顔というか、それだとシドの体に一目惚れした事になるのかしら……、ウソ……貴女シドの体目当てなの?」
「かっ! 体目当てぇ!?」
ああうぅ……お姉さんたち、発言に一切遠慮がないし、圧が凄い!
助けて! 誰か!
その後も尋問タイムは続く…
「シドったら、凄い色々をショートカットして、とうとう家族に紹介してくれる流れみたいだけど、多分本人はプロポーズ臭い発言しておいてその事には、まだ気がついてないよね?」
「はぁ……そっちの方面だけやたらに鈍感なのは……ずるい……です……」
もう、茹でタコでいいよ! ここでは隠せないもん!
「しかし、自分で無意識に外堀を埋めていくスタイルの自由型な人、初めて聞いたわ……さすが筋金入りの童貞よね?」
お姉さんそんな事をはっきりと!!
「ディモニーの百分の一でも色恋事に敏感ならもっとスムーズに進むのに?」
マーヤさんが不意に打開策? を提示してくれたけど……
「えーー? それはないわマーヤ」
「やだ! 気持ち悪いです」
アレと混ぜる位なら、シドさんは、そのままでいい!
「……うん、ごめんなさい。今のは忘れて。私も嫌だったわ」
忙しくて出せない時は出せないので、出せるときに出して置こうという、スタイルです。
無理な時は1日に1本だせたらいい方でしょうか?でも楽しく練り上げて書き上げています♪




