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「……というわけで、この辺りを騒がせていた君のしおまねきを連れてきたわけだが」

 シドさんが早朝到着すぐに兵長に話をつけてくれて、あたしの元に連れてきてくれたらしい。


「カニエール君! 来てくれたんだ! うわぁ、美味しそて……じゃなかった懐かしいね!」

 じゅるり。


 !!



「……一瞬しおまねきの目線が野生のモノにかわったが、これは……うん、お互い様な気がするから、大丈夫だな!」


「話は通してあるので、この砦の中で、このしおまねきを襲ったり捕食しようとする輩は……まぁ、居ないと思うよ。でも、この子は希少なモンスターだから、くれぐれも気をつけるのだぞ?」


「はぁーい! ちゃんと聞いてた? わかったの? カニエール君。」


 

 ちゃちゃーん♪ (華麗なVサイン)

 カニエール君が仲間になった! (←かなり前からもう従魔)


 カニエール君もご満悦みたいだから良かった!

「でもシドさん、カニエール君て、海じゃなくても大丈夫なんですか? 海水とか? エサとか?」


「ん? それは大丈夫だ。このしおまねき、海や池でよく見られていたが元来雑食で何でも食べるし、中には全く食べなくても平気な個体もいるようだ、暑くても寒くても何でも来いで、水も何なら毒の沼地でも平気だって兵長から聞いたからミナヅキよりかなりタフな生き物みたいだぞ」



 カニエール君のタフさに、衝撃が走り、ゆ○いな活きモノ図鑑にカニエール君の詳しい情報をハガキに書いてリークしたくなったけど、一回ぐっとこらえて我慢した。


「えーー凄いなぁ! カニエール君、あたしなんてこのまま一人でどこかに置いていかれたら十日くらいで(お腹が空きすぎて)死んじゃいそうだよ……」


 想像したら、なんとなく心細く感じてシドさんの背中に張り付いてしまった。


「……ミナヅキ!! 俺がいる限りそんなことはさせないから!」

「シドさん……」

 スゴく優しい……嬉しい。


「ミナヅキ一人ぐらい幾らでも俺が養えるから安心して!」

 !

 何を想像したのかシドさんが続けざまに、あたしを養ってくれる旨を申し出てるけど! それって、とどつつまり……何の告白をされているの? 私……。すぐに私は、自分の顔がまたもや熱くなってしまっている事に気付き、しばらく彼の背中から顔を出せないでいるけれど、シドさん自身はなにも動揺がないから……シドさん、自分がどんな恥ずかしい事を言ってのけたのか、多分まだ分かってないんじゃないかな?と思う。


 うう……この背中は、あたたかくて、大きくて、嬉し恥ずかしいよぅ……


 むぎゅう!


「だから! 安心して俺に……えっ! ……あ、そっそれは! ぬぁ!」


 ようやく何かに思い当たったのか、瞬時に凄い焦って動揺し始め背中に伝わる優しい鼓動が高速運転に切り替わった! これは、あっという間に耳まで茹でダコになってるね。



 困ったあたしも真っ赤で動けない!





「シド君、ちょっといい? この書類……」


 ガチャ!


「!!」



「また! ……またなの? アンタ達わざとなのね?!」

 ジェネッタお姉さんの眉間からシワが!

「先輩、だから違う! そうじゃな…!」

「ふん!」

 ばたん!!


 またジェネッタお姉さんに変なところを見られちゃったよ!!もう仕方ないね……


 それよりもこの胸の鼓動がちっとも落ち着かないよーー!


 うぅ、とりあえずもっといっぱいむぎゅってしとこう。

 ぎゅうぅぅーー


 茹でタコが二人……





「あれはもう決まりでしょうかな。はははは」

 向かい側の建物の屋上からこっそり伺い見ている人影はバーマン兵長と、奥様に再度確認を命じられ、訪れたシドの実家の側用人リンクス……。

「……尊い。神よ! 奥様これはアタリです!」


 胸に手を当て何か呟きながらうずくまるリンクス氏。

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