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 もう、夜も更けてきたわけだが、よく目立つ小高いところにある周りと比べてひときわ大きな家、あれが村長の家だな。俺達は、まず村長の家に今夜の事を報告に向かった。


 ドンドンドン!

 固く閉じられたドアを叩く。


 重そうな(かんぬき)が外される音がすると、重厚な扉が開かれる。


「どちら様だい? こんな夜中に」

 出迎えてくれたのは、齢80位だろうか、ローブを纏った白髪のご婦人だった。

「近頃は夜中にモンスターまで村を闊歩するってのに、アンタ達は命知らずなのかい?」

 突然やってきた俺達を渋々出迎え不審そうに観察してくる。

「その事について、村長にご報告をと、参った次第なのだが……村長は……」


 早く用件を伝え砦に帰りたい所だかとりあえず、村長への報告は大事だ。


「あいにく、十年前からこの家はアタシ一人きりだよ。死んだ亭主に……じゃないなら、それはアタシで間違いないさね」


 にゃーにゃー!


「いたい! いたい! 今大事な話の最中なんだぞ! コラ何なんだ…」

 子猫がディモニーをかじって逃げないようにしっかり咥えて連続に蹴りをヒットさせてる。成る程…、そうすれば、あのディモニーでも逃げられる事がないのか。猫……参考になるな。

「あらやだステファニー! そんなところにいたのかい!」

 にやー!!

「へ? なんだよ! ばあさんがこの子猫の飼い主の素敵な未亡人だっていうのかよ! 嘘だろ!」

「藪から棒になんだい! そうだよ、アタシがこの子猫の飼い主の素敵な未亡人のドロシーさんだよ」


「のぉーーーーっ! ありえない!!」

 ディモニーが涙を流して悔しがっている…

「俺のハニーちゃんがぁ……」

「ディモニー、これがお前の信じたものの真実だ! 目を背けるな……前を向け!」

 俺はヤツの肩にぐっと手を置き力説してやる。

「ディモニー、間違いなく彼女がお前の言ってた未亡人でハニーちゃんだ!」

「いやだぁぁぁ! 俺は信じない!!」


「いきなり来て、これは一体何の騒ぎだい? 子猫を保護してきてくれた事は感謝するが、それから先の話がちっとも入ってこないよ」

「済まない村長。こいつは生まれつき残念な(たち)でな…コイツのことは放っておいていい……」

「……そうかい?じゃあいいよ」

 呆れ眼でドロシー村長が俺達を睨み付けている。


「ごほんっ……我々は、南方の砦からこの村に出るモンスターについて調査にきたのだが、その途中で、この子猫に出くわして保護し、その後、ここら辺の騒ぎに関係ありそうな変わったモンスターを発見したのだ」

「なんだって?! そいつはどんなやつだったんだ? 倒してくれたんだろうね?」

 目の色が変わって、若干食いぎみに老人が質問してくる。


「まあまあ、これがその犯人。しおまねきさ」

「そいつは旨いって噂のやつかい? 村で食ってもいいのかい?」


「残念だが、こいつは飼われてるヤツで飼い主を探して一人でここまでやって来たみたいなんだ。できれば早く飼い主に戻してやりたいと思っている」


 にゃーーにゃーー

 老女がステファニーをチラリと見やるとぷいっと背をむけた。

「ふん! さあ、いつまでこんな所で油売ってんだい! 用が済んだならとっとと帰っとくれ!! こちとら忙しいんだよ……」

「その変なやつもうちではいらないから持って帰っとくれ。もう来るんじゃないよ!」

 にゃーん♪

 子猫が村長の足元にすり寄って甘えている。



「そうか、感謝する!」

「また、後日また何かあったら砦へ連絡をしてくれ。こちらからも何か話があったら改めて連絡がいくと思うが、今夜はこれで失礼する」


「おれの未亡人ちゃん……」

「おっと、そこの変態もわすれるんじゃないよ!」

「……ヒドイ」

「了解した」


 ディモニーの首根っこをぐっと捕まえて村長宅を後にした俺達一行は、明け方までもうじきだが、夜の平原を駆け抜けて行った。


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