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「まずは、ジュリのお家までこの荷物を運んじゃおうか、シドさんこの荷物をしまって?」

「そうだな。任せてくれ」

 シドは手際よく雑多な野菜を収納するとジュリの(てのひら)土埃(つちぼこり)を払ってやる。


「ありがとう……でも、この村の大人、特におじいさん達はお役人様も嫌いだし、皆旅人や冒険者も毛嫌いしているの。こんなのじゃダメだと思うのに……」

 浮かない顔の少女ジュリと三人で手を繋ぎ、村のメインストリートを歩いていく。

「信じてたモノに裏切られるわ、胸糞悪い出来事ばっかり起こるわで、こんなに(こじ)れちゃってるみたいだよね」


「皆が皆そんな人ばっかりじゃないって分かって貰って、……一個づつでも拗れを解消していこうかな?」

「この先の井戸がある所に家があるよ」

「あの井戸か? 了解」

 目的地が分ればあとは簡単。シドがそちらに舵を取り二人を誘導していく。もう一人の大人ミナヅキは考え中なのか、うんともすんとも言ってこない。



 大人達が距離を置く冒険者を引き連れて来てしまったジュリは恐る恐るドアをドアを開けると衝立(ついたて)の奥にいる母親を気にしている様だ。

「ただいま……お母さん、あのね……」


「ジュリなの? 後ろに誰か……、他に居るの? ダメよ危ない!」


「どうも~♪ 通りすがりのお助け屋さんでぇーっす! ジュリのお母さんこんにちは?」

 嘘臭いまでに人畜無害な微笑みで挙手しながらわざとらしくこんにちはしていくミナヅキ。

「へ? お助け? は?」

 身構えていたがお腹に卵を抱えてコミカルに挙手してくるあまりのバカらしい様相に拍子抜けしてしまった。

「お母さん、ミナヅキ達はわたしが、困っていたから助けてくれたの」


「ここに置いておいたよ? ミナヅキ」

「ありがとうございます! シドさん♪ 頼もしいです!」

 二人で台所側に振り向くとミナヅキが突拍子もなく質問する。

「あ、ジュリってお料理出来る子?」

「あ、はい作れます! ほとんど見えないのでお母さんみたいに難しいのはムリですけど……きゃ!」

 不思議なポケットから皮を剥がれているウサギ肉の包みを手渡していく。


「いいね、料理上手さん♪」

「えええ! いいんですか? ありがとうございます! 皆に食べて貰います」


「歓迎もできていないのに……何だかすいません……」

 目に異常の無い、お母さんが恐縮している。

「あー、これぐらい大丈夫です」

「あたし達ちょっとジュリにお願いして村長さんのお宅に連れていって貰って、色々な許可? お願いしてきますから……シドさんこれ持って?」

 卵を持たせて布をあれこれして極めて自然なタッチで装着させる。

「あたしこれから忙しいので、これよろしくお願いいたします。こう見ると本当にシドさんは素敵なお父さんになりますね!」

 抱っこしているのがミナヅキでなくなった事に驚愕したのか中の子が内側から殻をつつきまくっている。

「んんん? よしよし、そんなに嬉しいのか? お前は可愛いな、とりあえず大船に乗ったつもりで俺に任せてくれ! ミナヅキ」


 卵内は誤解されている事に驚き戸惑っている様だが一旦卵をシドに預けたからには、それに一切気付かぬ振りをして呑気に似非(えせ)お父さんごっこをしながら、ミナヅキは村長の家を目指す。

「お父さんもうすぐですね!」

「ああ! そうだな」

 

 ゴンゴン!

「おじさんこんにちは……」

 村長の家のドアからジュリが顔を覗かせると村長が足を重そうに引きずって出てきた。

「おやジュリか、お入り。今日はどうしたのだ? 母さんの具合でも悪いのか? まて、……お前らは何者だ?」

 ジュリの背後から姿を表したミナヅキ達を拒絶するように目付きが厄介者をみる厳しいモノになる。



「おじさん、村にお客さんがやって来たの」



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