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「こど……子供が出来たらですよ!? いつか……なんです! うぅ……恥ずかしい」


 今、目の前で恥じらって頬を染める彼女が自分との子供の為に元の世界にいた頃から将来を見据えて色々練習を重ねていた事に、得も言われぬ喜びを覚えたシドはミナヅキを抱きよせると思いのままに口付ける。

「ミナヅキ……なんて可愛いらしい、俺が今すぐ君を母親にしよう!」


「ひゃ、んん……!」

 卵が気になって自由に動けないミナヅキを良いことに、耳元を指で撫でると首筋を(まさぐ)る。


「ん……あ! もう、駄目です!」

 すぱーん!

 思いっきりビンタすると、息も絶え絶えで苦しそうにぜーぜーしているミナヅキに思いっきり睨まれた。

「……痛い」


「年端も……ないというか、出生前の純真なお子様が見ているかも知れないと言うのに、このおバカさん! ……めっ!」



 コツ……コツ……

「ん? シドさんこの子、卵の中で動いてますよ?」

 撫でると中で穏やかに揺れている。

「なに? 驚かせてしまったか……」

 ビク! カッカッカッ……!


 シドが手を差し出すと驚き途端に激しく内側から卵をゴンゴンしている様だ。

「ふっ……、シドさん嫌われちゃいましたね」

「うぐっ……こんなはずでは……」


「ちょっと反省してくださいね」

 

「……はい」

 シドはいつの間にか地面に正座していた。




「そろそろ向かいますよ」

「そうだな」


 ミナヅキが手を差し伸べてシドがそれを掴んで立ち上がると、共に手を繋ぎリンクス達の後を追う。

「守ってくださいね? 未来のお父さん」

「……ああ、任せとけ!」


 愛しい妻に未来のお父さんなんて呼び掛けられて表情筋が緩みっぱなしでシドは楽しく砂漠を越えていく。



「回りが砂だらけになってきましたね、こんなに暑いと卵が茹で玉子にならないかって心配になります」

 卵の上にタオルをかけつつ温度に気を使う。

「それなら、ミナヅキの魔力で薄く覆ってやると随分マシになるのではないだろうか?」


「あー、それいいですね。じゃあ……清涼感~♪ あはは~」

 あくまでも気楽に、肩の力を抜きまくった今までにない魔力の行使に、いくばかりか肩透かしをされた感じ……暑さで余計な力が入っていないだけだったりするのだが。

「へ? それだけ? いつもの気持ちを込めるなんとかー? とかはないの?」

「え? だってこれだけの日差しを気にして魔法をつかって何かするなら清涼感でいいんじゃないですか? 暑いし省エネですし……気持ちは籠りまくっていると思いますし」


「省エネってなんだい?」


「省エネルギー? どうせ同じ事を成すのなら、より少ない仕事をする力、つまり少ない魔力で効率的に結果が得られるようにしてみよう! みたいな感じだったと思います? それを略して省エネと呼んでたと思います。難しい事はあたしは分かりません」


「大丈夫、それ以上は家に帰ってからでいい、機会があったら教えてくれ」

「はーい♪」

 ミナヅキの口から飛び出す未知のキーワードに思わず尻込みするシド。



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