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『そなたは何者ぞ? 妾はどうしてここにおるのじゃ? 卵はどこなのだ!』

「あー、こんにちは? ここに貴女の息子さ……」

 ガサガサ……


 垣根をわけいってシドが合流すべくやってくる。

「ぬぁ、(ようや)く出た! こんな所まで入り込んでいたのか?お前達」

 目の前の大きなドラゴンには気がついてない様だ。パッと見、ミナヅキを庇うように立ちはだかっているリンクスとブルードラゴンのちょうど真ん中辺りから不意に飛び出してきた訳なのだが……その様子からシドは見知った存在しか確認できていないはず。

「わっシド様! ……なんてタイミングで!!」

「なんなんだ!? この状況は!」

 シドは二人を交互に見比べて一生懸命状況を理解しようとしているが、根本的なモノを見ていない!

「シドさん! 気をつけて!」


『我が子はいづこじゃというに、次から次へと邪魔な……それにあのトカゲは!? 口惜しや……ああ、邪魔者はうせよ!』

 ブルードラゴンは苛立ちの余り、邪魔者を排除しようと激しい勢いで吼えようとする!


「はい? とかげ?」

 誰が発したかわからない言葉に反応したシドは、振り向き固まる。

「え!」


 次の瞬きをする間、シドの前に立ちはだかる者が現れた。考えるより早く、誰よりも早くにミナヅキがシドの前に動いていた。その刹那にリンクスの足は杭を打たれたように動けない。


 解き放たれる王者の咆哮!


飛び出したミナヅキ諸共に派手に吹き飛ばされていった!


「ミナヅキ!!」



 巨木を薙ぎ倒し、倒木を下敷きにする事でそれ以上にはとばされなかったが、その衝撃は如何許(いかばか)りなものか……。

 リンクスの中では最悪な事態が次々と脳裏を(よぎ)る。



「いったーぃ、あー! シドさん目を回してる! 踏ん張ったのに飛ばされちゃったじゃないですかー! ドラゴンのお母さん凄いですね」


「へあ!?」

 目が点になる。何故あの衝撃を何もなかったようにやり過ごして立ち上がる事ができるのか……と。


「ほーら、おたくのムチュコタンは無事ですよ♪ 割れた部分はあたしの魔力をちょっと足して補強しておきました! ……ほら元気そうです! でもお母さんの本気には耐えられないのでここはちょっと(こら)えてください」


 ミナヅキは卵に駆け寄るとブルードラゴンにその存在を教えてあげる。


『そなた……妾らを助けてくれたのかえ?』



「いいえ、あたしもなんとかしてあげたいと思いましたけれど、お母さんを本当に助けたのは彼の心からの願いです。本心からお母さんに生きて欲しいと願ったから、あたしの魔法がちゃんと発動したのだと思います」



 状況がようやく読み取れてきたブルードラゴンのお母さんは瀕死の我が子に手を差し伸べてくれた恩人に咆哮を食らわした事に至極しょんぼりしてオドオドしている。


『えと……そなたには……たいへんお世話になっておったというに……こっこんな……無礼を! 働いて……申し開きもないのじゃ…………許してたもれ……』



「はい、許します♪ 許しますからこの子の為に長生きしてあげてくださいね」



『妾らはあの大樹の中腹に居を構えておるのだ、礼がしたいのじゃがおぬしら、可能ならばそこまで遊びに来ぬか?』

 ドラゴンの咆哮をあっけらかんと気にも止めないゆとりの元現代っ子ミナヅキにどう扱っていいものか思慮するブルードラゴン。

「まじですか? あたし達もそこの辺りに行こうとしていたんですよ」

 

「みっミナヅキは無事か!」

 倒木の中から傷だらけになりながら立ち上がる、後から来た男シド。

『妾に飛ばされても次々立ち上がってくるとは、脆弱(ぜいじゃく)なものばかりだと鼻で笑っておったが、しばらく見ぬ間に、人とは強くなったのだな、見直したぞ!』



「うわ!」

 シドに駆け寄るとダイブする。


「ほんとシドさん強い! 流石! ……大好き……」

「ミナヅキ……」

 ミナヅキがシドを抱きしめると、シドもミナヅキを離さない。


『ん?それはそなたの(つがい)かえ?』


「つっ番!? あぅぅ……」

 新たな気恥ずかしいワードで問い掛けられ、耳まで真っ赤な茹でダコで悶絶している、そんなミナヅキを膝に乗せよしよし撫でるその頭に、愛おしそうに頬をよせる。



『おぬしの番は、頼もしいのか、しおらしいのか理解に苦しむが、……うむ、関係性は理解した。そこの雑種も自由にするが良いぞ?』



「!」

 リンクスの事を雑種と言われて、突如その姿がグレ気味のクールな野良猫に見えて身悶えるミナヅキである。



突如野良猫扱いされるリンクスです。

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