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ミュースラントからクイップル村への旅の途中砂漠に差し掛かった辺り、この辺はもう日差しがキツい。それを避けて道を選んですすんでいく。
「砂は歩きにくいですからミナヅキは、十分注意してくださ……? ちょっ、シドはミナヅキ見て!」
「ぬぁ! どっちに向かっているんだ、待って……ぐぁ!」
ぼす!
何の予告もなくミナヅキがシドを使ってスイングバイして茂みに吸い込まれるように歩いていき、結果その反動でシドが皆で避けていた砂山方面にバイバ~イ!
「ぐぁ……げほ! 目がぁー!!」
「シドは、遊んでるんです!? ミナヅキいっちゃいましたよ、復帰したらちゃんと追い付いてきてくださいね?」
リンクスがミナヅキを追いかけてクモが巣を張る茂みに突入。女性が何の戸惑いもなく突っ込むには些か勇気のいるビジュアルだろうに……。
「あれ、何かに誘導されて……い、る!?」
茂みの中を全力疾走……
「つかまえた!」
手首を捕まえた位では何も反応せず突き進んでいこうとするミナヅキ。
「ちぃっ! こうなったら……シドと合流するまで簀巻きにしますか!」
「ミナヅキ、何を考えているのですか? 何かあったらまずこちらに教えて下さいよ……!」
ミナヅキをロープでぐるぐる巻きにするとリンクスが文句を垂れ流す。
「これだから……他所からは残念聖女なんて言われるんですよ……って聞いてないし!」
その状態でも尺取り虫の様に進んで行こうとするミナヅキに流石のリンクスも目が点になる。
「そちらに一体なにが?」
ミナヅキを小脇に抱えるとその視線が向く行きたい方向に歩いて行くと抉れた岩場に一匹の巨大な……亡骸と出会う。
「これは……ドラゴン?」
「何コレ……うぎゃあ! 顔にクモの巣!!」
「あ……戻ってきた。ほどきますから大人しくして下さいね……まったく……」
ミノムシフォルムの違和感に気付き、顔に張り付いた異物に悶絶し始めてようやく通常運転になったようでリンクスは胸を撫で下ろす。
「うぅ……気持ちわるいです」
「へあ! これなに怖い!」
解放されて漸く周りを見たミナヅキが騒ぐ。
「本来は、この様な年若いドラゴンこそがこの世界の真の王座に君臨しているはずなんですが、ふむ……この個体は雌です、ね。更に狂暴な何者かに傷つけられたのでしょうか? とても興味深い」
「ほえーっ下手な一戸建てより大きいですね。これがドラゴン……」
リンクスがドラゴンの傷に目をやる。
「本来ドラゴンとは最強種に分類される強者。普段なら少しばかり傷付いた位では死なないものなのに……」
リンクスが不思議がる。遺体は背中から腹部や羽根を無惨に切り刻まれていた。所々骨が剥き出しになっている。
「ミナヅキ、気の毒ですが、このドラゴンという生き物は骨も爪も鱗まで、その全てが立派な素材になるようですよ? 君のお友達のなんと言いましたかね、持って帰ればお友達が泣いて喜ぶ事でしょうね?可哀想だが有意義に使わせていただきましようか」
「じゃ……じゃあ怖いけどあたしのポケットにでも詰めておきますね。何だったら売ったら旅費の足しにもなりますしね……」
「……そうですね……」
ポケットに収納しようと触れた時、目の良いミナヅキにだけ見れる位の薄い絆が感じれられる。か細い今にも切れてしまいそうな糸のような何かが胴体の中から繋がっている。
「え? なに?」




