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 日の光が厳しさを増す中、平原を日除けになる森林のない西側へと進んでいくと、景色がどんどん開けてくるのがわかる。

「あともう少しで砂漠地帯にはいりますけれど照り返しもキツいし、ミナヅキの体力を考えてギリギリまで砂漠の外側を休みながら行きましょうか、シド?」


「ああ、そうだなリンク。……大丈夫かい? ミナヅキ」

「大丈夫ですよ♪ シドさん優しい」

 ミナヅキの体力を気にする話が出た途端、もうそっちしか向いていない。

 このバカップルめ……

 と言う目でリンクスが見たような見ないような……。


「シド……なんなら、リーダー交代しますか?」

「! そんな残念なものを見る目でこっちをみるなよ」




「ミナヅキ、これから目指すのは長らく砂漠のオアシスとして旅の商人の交流の場だったが、ここ何年か前から様変わりしてしまい立ち寄るキャラバンも無くなって、しまいには捨てられた村と呼ばれている場所だ。本当に行くのかい?」

 途中一度も噛まずに説明口調で語りきるとは、さすがリーダーである。

「はい、どうしても行ってみたくなりました。この世界は右も左もわかりませんけど、シドさんやリンクスさんに付いていったらなんとかなるか……と?」

 信頼されているのか、丸投げされているだけなのか……リンクスはミナヅキに言い聞かせる。

「ミナヅキ……知らない人にはくれぐれも付いていかない! これお約束ですよ?」

「了解でーす♪ あたし二人を心から信頼してるからそれだ、け、は守りますね!」

「だけを、やたらと強調してるのは気のせいでしょうか?」

 ふざけているのか何なのか、判断に困る無邪気さで敬礼してくるミナヅキに一抹の不安を覚える保護者の二人。



 もう景色もかなり変わって来ていた。


「午前中は早くから歩いたので、この先の泉のある辺りでちょっと休憩しましょうか」




「今日の分のおやつです。お納め下さい」

「ははー! ありがたき幸せでございます♪」

 (うやうや)しく宝物の様に受け取る。


「……なんなんですか? それ……」

「……うーんと、それぐらい喜んでいるという感謝の現れ、みたいな?」


「あなたに聞いた私がバカでしたよ……」

「リンクス!! 何? いまあたしの事バカな子なんじゃって思ったでしょ!?」

 あからさまにガッカリされてミナヅキが軽くショックを受けている。


「とっくの昔に疑いは確信に変わってますけど、それが何か?」


「うわーん! シドさんリンクスが酷いんですよー!」

「何だと!? リンクス、お前ってやつは! なんて酷い……!」



五月蝿(うるさ)いですよ? さっきから、バカをバカと言って何が悪いんですかね? そもそも私はリンクです! シドはちょいちょい間違えるし、ミナヅキに、至っては一回もちゃんと呼んで無いのも気が付いて無いでしょう?」


「やばば……シドさ~ん!」

「リンク! 初心者相手に厳しすぎるぞ?」

 ミナヅキがシドに泣きついて二人で何か(わめ)いていた。



 人々に忌避されていているのにミナヅキがそこを目指したのには訳がある。村を訪問した回復職の冒険者からの投稿がきっかけだった。


 冒険者曰く、そこは住民が温厚だがなにかと消極的であったが顔見知りも増えそこまで悪くもなかった。

 何年か前にその村をメインターゲットにした犯罪集団が現れ、民は捕らえられ村は荒らされ壊滅的な打撃戦を受けた。

 その様を見かけた商人達は止めも救いもせずにそれを避けて迂回(うかい)して行った。領主や国に保護を訴えるも、犯罪者に付け入らせる村側が悪いのであって、此方に言われてもお門違いで全てが自業自得なのだと言い放つ。話が地領のアヴァルト家にたどり着き、家の者が駆けつけて手を差し伸べた頃には、村人以外には心を開かない村の体制が出来上がっており、近頃では誰の歓迎もされなくなったという。

 そして悪いことは続くもので、近ごろでは大樹の周りで水が枯れ始め、その頃から生まれた子供の中に生まれつき目が見えない子、足が不自由な子が出てきた。どうしてそうなるのか自分達でいくら調べても一向に謎は解けない。これをこの土地に住む自分たちが何かをしでかしてしまったせいで村の守り神様を怒らせてしまったに違いない、全てが自分たちのせいなのだという結論に達する。村人達は絶望し、このまま一族共に滅びを待つのを選択した。

 新たにいらっしゃった名高い聖女ミナヅキ様のお力で障害を持って生きねばならない子供達だけでも助けられないものかと書いてあった。



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