パウリナ様は聖女でござる。
わたくし授業中の王子に教室の外から合図して。
無理矢理中庭に呼び出しましたの。
「アルフレド・デリウス王子!!
タチアナ殿を得るためにパウリナ・フランセンが決闘を申し込む!!
私が勝ったらタチアナ殿と婚約破棄して欲しい!!」
「ふーん……その決闘受けるよ。
タチアナは良い友人を持ったね」
か、かかか恰好いいですわ~~!!?
パウリナ様の口上も凛々しくて素敵ですわ~~~!!
わたくし『きゅん』としたしましたわ。
少年の様な中性的な面立ちが可愛らしいですわ~。
決闘を余裕で受ける王子も素敵ですわ~~~!!
お願い! わたくしの為に争わないで!!
「では王子御腰の剣を構えるでござる!!」
「パウリナ様相手に剣など必要ないよ、いつでもどうぞ?」
「このパウリナを女子と侮るかッ!!」
出ますわ、パウリナ様の光魔法が……。
何物も切り裂く光の剣に、光の鎧による絶対物理防御に絶対魔法防御。
その上で神のご加護による状態異常無視に身体能力の向上。
無敵の攻撃力に無敵の防御力ですの。
まさに生ける戦車ですわ!!
「ハァアアアアアア!!」
パウリナ様が咆哮をお上げになりましたの!
出ますわ!!
「ハァアアアアアアアアアア!!?」
すごい気迫ですわ!!
「アアァ?? アレ!? おかしいッ!? 光の剣が出ない?? 光の鎧も!!」
パウリナ様は自身の両手を見てパニックを起こしていますわ!
光魔法が発動しない?
神の力を封印するなんて嘘でしょう? 大ピンチですわ!!
「ふ、ふへ?? お、王子一体何をなされた??」
へらりと笑っていますが、完全に戦意を喪失していらっしゃいますわ!?
「さあ? ボクは何も?」
アルフレド様はとぼけ顔も堂に入っていらっしゃいますわね。
神の奇跡ですわよ? それを発動させもしないなんて……。
パウリナ様が王子から視線を移して青い顔してわたくしを見ていますわ。
さっきまでの気迫はどこへやら、情けない顔で助けを求めていますわ!?
「ストップですわ~~~!!!! わたくし達の負けです!!!!」
パウリナ様はその場でへなへなと力なく膝をつきました。
「タチアナにパウリナ様、お遊びは程々に」
王子は御髪を靡かせて颯爽とその場を去って行きましたわ。
悔しいけれど恰好良いですわ……。
「タチアナ殿~!! 拙者怖かったでござる!! うわああああん!!」
「よしよしパウリナ様、頑張りましたわね」
わたくしの胸で大声を上げて泣くパウリナ様。
「男の子は挫折を覚えて強くなるものですわよ」
でもパウリナ様は女の子でしたわね。
ごめんあそばせ。