奥の手。
「タチアナ殿、実は拙者、聖女なのでござる」
「まあ!? パウリナ様は100年に1人現れると言う聖女様でしたのね!」
わたくし実はその事を知っていますの。
流石にメインヒロインだけあって設定がお強いですわね~。
神のご加護を受けた超強力な光魔法をお使いになられますのよ。
光魔法をお使いになれば、相手がドラゴン並に強くても良い勝負ができるかも知れませんわね。
「拙者の光魔法を解禁するでござる!!」
「わたくし、素直に婚約破棄を申し込もうと思っていますのよ?」
「タチアナ殿! 拙者に最後のチャンスを下され!!
拙者、聖女なんて柄では無い故、気恥ずかしくて封印してござったが。
生まれて初めて、自分の意志で光魔法を使おうと思ったのでござる!」
「パウリナ様は良い人過ぎますわ~。
わたくしの為にそこまで! 感動いたしました!!」
わたくし涙で前が見えません!
「アルフレド王子に真正面から決闘を申し込みます!!」
――それは困りますの……。
「ええ、それはちょっとですわぁ……。
私闘は法律で禁止されていますの……。
王族と決闘だなんて末は死刑か、良くて追放ですわぁ……」
ドン引きですの。
「このパウリナ命を掛けます!!
さあアルフレド王子を呼び出してください!!」
「ええ~!? 今授業中ですわよ?」
「早くッ!!」
目が本気ですわぁ……。
フランセン家は命を軽々しく捨てるから怖いですわね。
前世でもフランセン一族は好敵手でしたわ……。
こうなると絶対に人の話を聞きませんの。
うう、二人揃って死刑になるかもですわ~。