溺愛王子。
「ボクはタチアナの心がおっさんだって構わない。君に寄り添えるよう努力するよ」
「あ、ありがとうございます?」
え? わたくしこの話するの初めてですわよね?
記憶が欠落していますわ。
「話はそれだけかい? ボクは行くけど一緒に来るかい?」
「わ、わたくし一人で考え事がしたいので、後で参りますわ」
「そう。じゃあまたあとで」
「お気遣いありがとうございます。ごきげんよう」
わたくし立っていられません。
丁度良い所にベンチがございますのでお休みさせて頂きますわ。
落ち着いてくるとアルフレド様の言葉が蘇ります。
――おかしいですわ……。
今世でのわたくしの記憶も思い出せますわ。
この世界はアルフレド王子の好感度を上げ続けた、前世の続きですの。
その記憶には王子へのおっさん告白の記憶がありませんの。
しかも王子は何百回も告白を受けていて、おっさんを受け入れるですって?
意味が分かりませんの……。
何も分からないですわ~。
どうしましょう? 箇条書きで現状をまとめ今後の対策を立てますわ。
①王子に自分の中身がおっさんと言う事が普通にバレている。
②王子はおっさんを受け入れている。
③自分にはその記憶がない。
ですわね。
わたくしの目的は。
①王子との婚約を解消して、世俗を捨てシスターとして生きる。
ですわね。
アンバランスな心と体では真っ当に生きられる気がしませんわ。
男とかエイリアンですの。邪悪ですの吐き気を催しますの。
近くの目標は。
①王子との円満な婚約解消。
②現状確認。
ですわね。
記憶の欠落は考えても仕方がありませんわね。
ではこの目標で押し進めます。
よろしくってよ。