日本人の人口減少? いやいや、増えているところも見てみようか
(* ̄∇ ̄)ノ 奇才ノマが極論を述べる。
日本人の人口が減少している。
人口減少数も5年連続最多更新。
日本人の人口は平成21年をピークに10年連続で減少。
厚生労働省の人口動態統計によると、2019年に国内で生まれた日本人の子どもの数が86万4000人。1899年の統計開始以来、初めて90万人を割り込む見通しに。子どもの数は2016年から3年連続で100万人を割り込み、2018年の確定値は91万8400人。
また、高齢化が進んでいることから、死亡数は戦後最大の137万6000人に。このため死亡数から出生数を差し引いた人口の自然減は51万2000人と初めて50万人を突破する見通し。自然減は2007年から13年連続となるが、毎年、マイナスが大きくなって、少子高齢化から本格的な人口減社会に突入する時代へと。
人口が少なくなれば経済も減少し、デフレも続くと言われていて、先行きの暗い話に。
ところが世界を見れば日本人の数が増えているところもあったりする。
外務省の『海外在留邦人数調査統計』2019年版。
2018年の国別在留邦人数推計
1位 アメリカ合衆国/446,925人 前年比+4.9%
2位 中華人民共和国/120,076人 前年比-3.3%
3位 オーストラリア/98,436人 前年比+1.2%
4位 タイ/75,647人 前年比+4.0%
5位 カナダ/73,571人 前年比+5.1%
6位 英国/60,620人 前年比-3.6%
7位 ブラジル/51,307人 前年比-2.1%
8位 ドイツ/45,416人 前年比-0.8%
9位 フランス/44,261人 前年比+3.6%
10位 大韓民国/39,403人 前年比-0.9%
11位 シンガポール/36,624人 前年比+0.6%
12位 マレーシア/26,555人 前年比+8.8%
13位 台湾/24,280人 前年比+15.3%
14位 ベトナム/22,125人 前年比+28.1%
15位 ニュージーランド/20,822人 前年比+5.9%
16位 インドネシア/19,612人 前年比-0.5%
17位 フィリピン /16,894人 前年比+2.0%
18位 イタリア/14,600人 前年比+3.2%
19位 メキシコ/11,775人 前年比+5.0%
20位 アルゼンチン/11,561人 前年比+0.9%
全体として、2017年には135万だった海外に暮らす日本人は、2018年には139万人に増加。
長期滞在者が1万人近く増えて88万人、永住者が3万人増えて51万人に。ここ7年ほどは永住者の伸び率が上昇傾向。
日本人が増加した国をちょっと調べてみよう。
■メキシコ
日系企業の進出で日本人の求人が増えており、日本人の活躍の場が広がっているメキシコ。
2014年以降、バヒオ地区と呼ばれる中央高原に位置するグアナファト州へ、自動車メーカーを中心とした日系企業の進出が増加。今では700社を超えている。
2050年にはメキシコがGDPで日本を抜いて世界7位となるとの見込みもあり、メキシコの経済は上昇傾向。そして人材不足。
管理職、現地責任者の現地化が困難である、というメキシコ。日本人駐在員のコストはブラジルに次いで高い割合。
このことから、メキシコでは現在日本人の求人が増加中。営業職や技術職といった職種はもちろん、特に需要が高まっているのはスペイン語通訳。
勢いよく進出する日系企業と反比例する形で通訳不足が発生しており、スペイン語を使える日本人の求人が高まっている。
また、メキシコには日本人の血を引きながらも、メキシコで暮らしている日系メキシコ人がいる。1987年に、日本の政治家であり外交官でもあった榎本武揚の移民団によって、35人の日本人が入植したことが日系メキシコ人のルーツ。約20,000人の日系メキシコ人が暮らしている。
メキシコ日本人学校もあり、メキシコ日本人学校では日本の文部科学省から派遣された日本人教員が指導を担当。スペイン語ができなくても、急な転入や転出にも対応できるように、カリキュラムや教材も日本と同じとなっているという。
日系企業が増え日本人が暮らしやすい状況ができつつある。
■ベトナム
ベトナム社会主義共和国。世界でも少なくなった社会主義の国。
日系企業がベトナムに増えたことがベトナムでの日本人増加の要因。
またベトナムには新日家が多いことも日系企業が増える理由のひとつ。そこからベトナムから日本に来る技能実習生も増えている。
一方で、2017年に厚生労働省が日本国内約6000件の技能実習生受け入れ先事業者を指導した結果、約70%の事業者が長時間労働や賃金不払い、さらには暴力などの不正を行っていることが判明した。
少し脱線するが、日本で働くベトナム人のアンケートをひとつ紹介しよう。ベトナム人の8割が技能実習、資格外活動(留学生)として日本で就労している。日本で働くことについてのアンケートの中のひとつがこれだ。
『日本より貧しい国から来たかもしれませんが、私たちなりに努力してきました。
日本に来てたくさんの苦労に耐えながら将来のために仕事をしていることが、その証明です。
どうか私たちを平等に評価してください。私たちを下に見ないでください。日本人に対する印象をもう悪くさせないでください。
生き方は人それぞれなので、私が無理に他人を変えることはできないとは思いますが、一人ひとりがもう少し優しい気持ちを持って、お互いに思い合って対応すれば、生活はもっともっと充実するのではないでしょうか。
私たちの努力を認めてください。私たちの日本に対する希望や愛情をつぶさないでください』
日本が海外からの移民を受け入れる為には、まだまだ課題が多いことを感じさせられる。
■ベトナム人の気質
ベトナム人の国民性と言われるものに4Kと呼ばれる特徴がある。
『器用』
『勤勉、向学心旺盛』
『近視眼』
『カカア天下』
また、ベトナムでは7割以上の人が無宗教であり、特定の宗教を強く信じている訳では無い。宗教の関わり方も日本人とよく似ており、クリスマスやハロウィンなど別の宗教のイベントごとも進んで受け入れる文化がある。
宗教上の理由で衝突をすることがほとんどないという。
『勤勉』『家族思い』『器用』そして何より『親日』といったイメージが強いベトナム。
日本人のパーソナリティとも似ている部分が多いことは、ベトナムに進出している多くの日系企業が進出理由として挙げている。
親切で世話好きなところもあり、外国人が困っていると親切にしてくれる人は多いという。
昭和の日本の人情あふれる近所の人、という雰囲気を持つのもベトナムらしさ。
もともと日本は、資本主義の皮を被った理想的な社会主義国家とも呼ばれている。そんな日本人から見て社会主義国のベトナムとは、昭和の日本を思わせるものがあり、これが日本からのベトナムへの移住が増える理由のひとつだという。
■台湾
台北市においては、幼稚園や保育園、託児所の数が充分にあり、日本の待機児童の問題が無いという。私立の保育園や幼稚園は公立に比べて高いため、公立に応募者が殺到し抽選が行われている。
女性の社会進出がアジアでもトップレベルの台湾。育児をしながら働く女性にとって台湾はアジアの中で理想とも言える。
新日家が多く治安が良いことも、日本からの移住者にとって魅力がある。
■観光公害
一方で日本からの移住者、観光客が増える中で、マナーの悪い日本人の迷惑行為も増えている。台湾における日本人の迷惑行為や犯罪に関する報道が増加傾向。
2017年、台湾の航空機内で日本人観光客3人が泥酔し、タバコに火をつけ、他の乗客に迷惑行為を行った。運航上危険があるとして、航空機は出発した空港に引き返すトラブルがあった。
他にも日本人男性が台北市内の駐車場で女性とわいせつ行為におよび、公然猥褻で送検される。
台南市内でバスに乗車した日本人の中年女性が、運転手を蹴る、物を投げるなどして怪我をさせるなど。
また、犯罪には至らぬものの、日本人のひとりよがりなマナー違反行為が、台湾人に迷惑をかけるケースも増えている。
マナーの悪い日本人の観光客と移民の増加から、現地では眉を顰められることも。
■フィリピン
フィリピンは世界の中でもリタイアメントビザが取得しやすい国と言われている。
そのため将来の移住先としてフィリピンを選ぶ人は多い。
リタイアメントビザは正式には『特別居住退職者ビザ』
外貨誘致政策の一環として、特別居住退職者ビザ、通称SRRV:Special Resident Retiree’s Visa、という制度。
管轄は、1985年に設立されたフィリピン退職庁(通称PRA:Philippines retirement Authority)であり、各国からの退職者を誘致し、フィリピンでの個人投資の促進を目的としている。
SRRVは、基本的に35歳以上の外国人を対象に、有効期限が無制限、かつフィリピンへの出入国が何度で出来る為、実質的にフィリピンへの永住が可能となる。
『リタイアメント』と呼ばれるのは年金受給者を対象にしていることから。
金融庁の報告書に、夫婦の老後資金に『2000万円が必要』という試算が盛り込まれていた。この報告書が受け取りを拒否されたことがニュースになった。その後に3000万円が必要とする経産省の試算も明らかになったことで、老後への不安が高まった。
リタイヤメントビザの取得が容易なフィリピンは、定年退職者の終の住み処として人気を高めた。
物価に家賃の安いフィリピンで年金暮らしをしよう、という日本人が増えた。
日本の年金がフィリピンで暮らす年金生活者へと送られ、現地の日本人からフィリピンへと。リタイヤメントビザによる外貨獲得手段。日本の年金はフィリピンを少し豊かにすることに役だっている。
またフィリピンでは留学からセブ島に残り、起業する若い日本人も増えている。業種は、英会話学校やIT企業、システム開発会社、レストランなど多種多様。
起業コストの安さがフィリピンの魅力。日本よりも、遥かに少ない資本で起業しビジネスを軌道に乗せられる。
2015年には、海外で起業する人のネットワークである「WAOJE(World Association of Overseas Japanese Entrepreneurs)」のセブ島支部が発足。
日本人経営者たちが集まって定期的に勉強会やセミナーを開いている。若者のビジネスチャンスが経済成長する国にある。
それぞれの国に特色があり、移住の魅力もまた様々。日本からの移民が世界に増え続けている。
■結婚
中には結婚が目的というものもある。
フィリピンでは貧富の差が激しく、また日本人というだけでお金持ちと見られることも。
年金生活で40歳年下のフィリピン妻と結婚する人など。
一方で海外で暮らすことを甘く見て、フィリピン女性を追いかけ散財し無一文となり帰国する人。帰国することもできず、現地でホームレスとなる困窮邦人も増えている。
日本人女性が海外でモテるケースも。
日本人女性は人に合わせる、男性を立てる人が多いという印象を持たれがちに。アジアの中でも女性が控えめな民族性と見られるようだ。これには『大和撫子』に過剰な憧れを持つ海外男性の期待もあると思われる。
自己主張の強い女性に疲れた男性が、控えめで男を支えるタイプの『大和撫子』を求めている。
日本国内で未婚率が高まり、日本は結婚できない社会となりつつある。結婚願望のある人が海外に相手を求めるケースが地味に増えている。
■逃散、立ち去り型サボタージュ
百姓などが集団で荘園から退去して一時的に他の土地へ逃げ込み、領主に対して年貢軽減や代官の罷免などを求めるのが逃散。
1300年代、南北朝期からある日本人の伝統的な行政への抗議手段。
医療崩壊を描いた小松秀樹の著書、『医療崩壊―『立ち去り型サボタージュ』とは何か』では、『逃散』に相当する現象は『立ち去り型サボタージュ』と呼びかえられており、この本が出てからは、立ち去り型サボタージュが現代の逃散と呼ばれるようになる。
日本国内では今後、労働世代の減少から制度を維持するための個人負担が増えるだろう。年金、介護保険、健康保険、雇用保険、いずれもシステムを維持する為には値が上がる。
負担する人数が多ければ一人当たりの負担が少ない。年金受給者一人当たりを支える労働人口の減少から、年金を維持する為には個人負担の増加が必要になる。
社会保証を維持するには消費税の増税が考えられる。
電気や水道などの設備も維持しようとすれば値上げが必要となる。支える人口が少なくなれば個人負担を増やすしかないからだ。もしくは、画期的なランニングコストの低下の開発か、設備そのものを廃棄していくか。
日本から海外への移民の増加とは、今の日本の政策に対する民衆の逃散にあたるのではなかろうか?
これから電気代に水道代、生活に必要なコストは値上がりはしても値下がりするとは思えない。社会保証維持の為に増税に加え、年金、保険など国に徴収される額は更に増えていくだろう。
グローバル化が進み、国のショッピングモール化が始まる時代、誰もが自分の資産と相談しながら住みやすい国を探すようになるのかもしれない。
世界第八位の治安の良さを誇る日本。しかし、暮らしやすさ、仕事のしやすさ、この辺りが改善できなければ国外に移住しようという人は増え続けるだろう。
■これからの問題点
日本国内の日本人の数は減少し、世界で見ると国外に出た日本人の数は増えている。
ここで問題になるのは、外国人に対し偏見の無い人ほど国外に出て行くということ。
逆の面から見ると、外国で暮らすことに不安を感じる人、日本が好きという人が国内に残る。外国人に偏見を持つ人が国内に残ることになる。
結果的に日本国内のナショナリズムの濃度が高まることになるのではないか?
オリンピックを前に『日本人賛美論』が高まりつつある日本。そして日本人にはアジア人を侮蔑する人が多い。
技能実習生を受け入れた事業者の約70%が、不当労働に賃金不払い、暴行などを行う根底には、日本人のアジア人に対する差別意識が根底にあるのではないか。
日本から国外への移民が増える程に、日本国内のナショナリズムは濃度を増す。
これから先、国内での嫌韓意識、嫌中意識がさらに高まることが予想される。今後は国内で人種間トラブルが増加するのだろう。
■これからの海外移住
日本のハローワークでも、製造業で真面目に働くならフィリピンか中国を進められる現代。
タイ現地採用は、タイ政府によって最低給与が定められており、その額は月約5万バーツ。日本円にして約17万5000円と日本より最低給与は高い。
また働く環境でもサービス残業もパワハラも圧倒的に日本より少ないという。
日本で社蓄として使われ、疲れ果てていたところで、タイに来てやっと人として生きられる場を見つけた、という声もある。
アジアでもとくに現地採用が多いとされるタイ。タイで暮らす日本人は2002年は約2万5000人、これが2018年には7万2000人と約3倍に増加している。
日本がタイよりも働きやすい環境を作ることができていれば、国内の人手不足も緩和されたのかもしれない。
海外での就職は、日本社会に適応できない人の逃げ場所と揶揄されることもある。だが、日本国内の引きこもりの問題など、海外への出稼ぎなどをサポートすることで解決の糸口となるかもしれない。
日本国内で日本人の人口は減り続けているが、世界を見れば日本人が増えている国がある。
だから日本で何かあっても、日本人は絶滅しないのではないか?
原発が爆発し、世界の先進国の中で唯一ガン患者が増加している国、日本。
これからも国外への移住者は増え続けていくことだろう。