表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『でも、できるんです!』  作者: さやそばらすか
8/21

問題2:『上半期ボーナスの、考課適格性判断』《起》

取り急ぎ、

問題2:『上半期ボーナスの、考課適格性判断』《起》

を投稿いたします。

7月に入ると、課長が今野の席に来て、業務指示を出してきた。



向かいの席からは、里山がパソコンの上から、目から上の部分だけを出して聞き耳を立てている。



課長「今野さん、じゃあ、今月中にやってほしい仕事を振るね?」



今野「はい。」



課長は、いくつかの書類を今野の席に出して言った。



その一部は、昔あった『タウンページ』なみの1000ページはあろうかという資料だった。



課長は、その1000ページはあろうかという資料から説明を始めた。



課長「これはね、珍しい書類ではあるんだけど、うちの会社のね、課別のメール送信頻度がまとめてある資料だ。」



今野「…。」



見たこともない資料だった。



課長「これは『技術課』からもらったんだけどね、これを見れば、どこの課からどこの課にそういったタイトルのメールが飛んでいるのかとかが分かるようになっている。」



今野「…。」



課長「見ての通り役職分類と、課長より下の階級の社員については番号で整理されている。」



今野は、《何だこれは》としか反応のしようがなかった。




課長は別の資料を見せた。



課長「そして、これは、それぞれの課の、重点項目、まぁ、考課をつける際に重きを置きたい項目だ。こうやって、コメントだとかそういったことと一緒に書かれている。そして、これは、それぞれの社員の、ボーナス内訳。」



今野「え?」



課長「そして、これが、うちの会社の『ボーナス』支出総額と、課別の内訳。」



今野「は?」



課長「これを使ってね。ボーナスが正しい判断で行われているかを判断してほしい。」



今野「えええええ…。」



課長「杓子定規しゃくしじょうぎってわかる?」



今野「はい。」


課長「そのやり方でいい。別に、払い戻しを要求するとかそういう話じゃないもんだから。」



今野は幾分安堵の表情を浮かべて答えた。



今野「分かりました。」



課長「それを、今月中にしてもらいたい。とくに、理路整然としてれば突き返す事は無いと思うんだけど。」



今野「はい。」



里山が引き続きこっちを見ている。



課長「何か分からないことがあれば、里山さんとか僕に聞いてくれればいいから。」



今野「はい。」



課長「でも、できるだけ、自分一人でやってね?」



里山が課長の方を見た。



里山「…。」




課長「じゃあ、よろしく、頼んでおくからね?」



そういうと、課長は自席に戻っていった。



里山が、今野の席の横に来て資料を見た。



今野は、1000ページはあろうかという資料を見ている。



『件名』、所属情報付きの『送信者』と『受信者』、『本文の文字数』が不親切にも一通のメールごとに並べたてられている。



里山「大変そうでしょ?」



今野「はい。」



一条司も今野の方を見ている。



里山「『杓子定規』でいいからね?私みたいなのがするとさー、どこから聞いてか、同期とか使って文句言ってくる人がいるのよー。」



今野「ああ、なるほど。」



周りを見ると、江ノ口が怪訝そうな表情で仕事をしていた。




里山「とりあえず、何でも、分からないことは聞いてくれていいから。」



今野「分かりました。ありがとうございます。」



今野は、里山が席に戻った後、1000ページはあろうかというメールのリストを見ながら、課別の『重点項目』を照らし合わせながら見ていった。



不親切極まる資料で、メールの件名別に並べられているわけでもなく、時折別件が入っているなどしていた。



今野は『まじかぁ』と思いながら、その1000ページはあろうかという資料を、その日中に一通り目を通した。

引き続き、ご愛読の程、よろしくお願いいたします。


さやそばらすか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ