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Black Roar (ブラック・ローア) Vol.1 -煉獄の無法者たち-  作者: 壊れた男
1. Not So Great Hotel Robbery
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(2)

「おーい、セニョリータ!先ほどラファエルからの信号が来た。遅れないように急いでくれ。」

「もう準備しているから心配しないで。そのほかの連絡は?」

「特にない。思ったより今回の仕事は順調だな。アーロンという奴 、この都市の闇市場のボスだと聞いて少しは緊張したが、あまりにも隙だらけじゃないか。」

「ただのチンピラなのに何を期待したの?おそらくお尻で椅子を磨くのが毎日の仕事である奴だろう。」

「ブルーガーゴイル」の近くに建てられた建物の屋上。非常口を開け入ってきた一人の女性は、望遠鏡でホテルのスイートルームを見ながら誰かと話しした。

夜の風にゆられるブロンドの髪。彼女の目は、それぞれ緑と青であるオッドアイ。よく鍛えられた彼女の体はネコ科の肉食動物を連想させた。耳に付けている小型のトランシーバーを直した彼女は仲間と話をつづけた。

「作戦内容をまた確認するわ。ラファエルがアーロンから麻薬を盗めば私がそれを屋上の通気管で回収して脱出。でしょ?今部屋の中にある用心棒たちは何人なの?」

「全部5人。第2次ベトナム戦争の退役兵だ。PTSDのため少し頭がおかしくなったがよく訓練されているやつらだ。戦うなら気をつけて。」

「あら、 第2次ベトナム戦争ならもしかして私の戦友かも?」

「感情的になったらだめだ、ローラ。もし、そこで目にあった顔を発見したとして仕事を無駄にするんじゃないだろう?」

「そんな心配はしないで。私はまだアームチェアに座ってビンゴゲームなんかをする年ではないよ。」

ローラという名前で呼ばれた女性は、足元のバッグを開いた。その中にはケブラーとスパンデックスで作られた全身スーツとレベルIII級の防弾ジャケットが入っていた。ローラは、体を隠すところもないのに服を全部脱いて全身スーツと防弾ジャケットを身に着けた。そしてワイヤーが付いたベルトとベレッタ自動拳銃、ドラム弾倉が付いたトミーガン、大きなフックが装着されたロープランチャーを順番に装備した。準備を終えたローラは、トランシーバーで仲間に連絡した。

「ところで、ガルシア。君は今どこ?まさかまだ到着しなかったのではないでしょう?」

「すぐ到着だ。5分後で。」

「常識的にドライバーであるあなたが先に届いてくれればならないの?もし任務を失敗した場合、誰が私たちを脱出させてくれるのよ。」

[それは俺のせいではない。俺たちのハッカーガキが時間になっても出る準備もしなかったからだ。それでも時間内には到着するから心配するな。]

ガルシアと言う名前で呼ばれた男は、南米のアクセントが強い英語で答えた。彼は今運転していせいでトランシーバーからエンジンの音が聞こえてきた。

準備が終わったローラは屋上の手すりに近づいた。「ブルーガーゴイル」に向かってロープランチャーを向けた。冷静に息を選んだ彼女はトリガーを引いた。

- プシュク!

建物の間を横切るフックの後ろにロープがバネ状に波ながら追いついた。フックは「ブルーガーゴイル」の屋上に設置されているガーゴイル形の像にかかった。反対側のロープを手すりにしっかりと結んだローラは、ベルトと接続されているリングをロープにかけた後、屋上から飛び降りた。繊維が摩擦する音とともにローラは建物の間を滑った。「ブルーガーゴイル」の屋上に着地した彼女はリングをロープから分離した後、ガルシアに報告した。

「ここはローラ。今Bポイントに到着。ラファエルがものを送れるようにロープを降りとくわ。スイートルームの状況はどう?」

「取引はほとんど終わった。そして ラファエルの正体は 誰にもばれなかった。このままじゃ君が活躍する時は来ないようだな。」

「油断はしないで。この前のヤクザたちとの事件、忘れたの?」

「不安になる話はしないでくれよ。 俺のトラックが引き裂かれたチミチャンガ (メキシコの伝統料理)のようになったのが今月だけで2回だ。新たにトラックを買うのはもううんざり……。」

「?」

トランシーバーからガルシアの声が突然切れた。通気管を開けていたローラはあわただしく聞いた。

「どうしたの?何かあったの?」

「Carajo!(クソ!)今ホテルに電話が来た!暗号化された番号だ!]

「何?いったいどんな話よ?」

「この回線を使う奴なら、元々アーロンから商品を受け取る予定であったそのブラトヴァだ!奴らがすでに気づいたのだ!今すぐラファエルに連絡して避けるとしろ!」


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