（１）
「特異点」のおかげで、人類は何世紀を超える高度な文明を手に入れた。しかし、その返りとして「能力者」と「改造人間」という新人類の登場を受け入れなければならならなかった。
まだ多くの人々がこの超人たちの存在を恐れているが、実際は、彼らは私たちが家の中に引きこもっている理由にもならない。全世界が核兵器で満ちているこの時代で 世界の終末は あまり遠いところにいないからだ。
著名な科学者である反転活動家、 Albert E■■■■■■■
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「リンボーシティ」の繁華街に建てられているカジノホテル、[ブルーガーゴイル]は安い喜びを求める者から豊富な遊戯を楽しもうとする人まで集まる最高の賭博場だ。
輝くシャンデリア。興奮した相場師たちの汗の臭い。休まずコインを食べ吐き出すスロットマシン。ポーカーテーブルの上では悲鳴と歓喜が交差する。
このホテルにある人々にとって路上に見える失業者たちのデモや戦争に反対するヒッピーたちの声は、あなたの隣人が共産主義者かもしらないと叫ぶ陰謀者なんて、他の世界の話だろう。
「言い換えれば、このホテルは、巨体な城だと考えても構いません。城壁の外の混乱から抜け出し、無限の自由を楽しむことができる、私の愛らしい王国であるわけです。」
「ブルーガーゴイル」の最上階にあるスイートルーム。このホテルの所有者であり、独立独行した事業家として知られているアーロンスタークはビリヤードキューに粉を付けながら語った。
彼は外見だけで見ると週末に裏庭でバーベキューを料理しながら日光浴をしているようなホワイトカラーように見える。しかし、彼がこの都市で主目されている密輸組織のボス、「アーロン・ザ・キングピン」であることを知っている人はあまりいない。
アーロンはカモラマフィアの密輸ルートを応用して様々な密輸品を売り、「ブルーガーゴイル」の賭博場でマネーロンダリングしながら自分の組織を育ててきた。原罪の都市という異名で呼ばれるこの「リンボーシティ」じゃなかったならば、彼は今のような富を手に入れることはできなかっただろう。
「その話は、自分がこの街の帝王だと主張するように聞こえるが？すばらしい自信が、本当にその資格があるかは分からないな。」
「……。」
「今この時代は、ゴールドラッシュと同じだ。道に落ちている砂金をより早く取る奴がより多くのお金を得る。ただそれだけの話だ。誇るべきものがせいぜい瞬発力だけなら、このような贅沢なホテルは豚の頭に被せた冠だ。」
アーロンがビリヤードテーブルの上にボールを置く間、 応接室で重低音の声が聞こえてきた。靴に入った石のようにプライドを傷つける言葉でアーロンの表情が歪んだ。表情を戻したアーロンは応接室に向かって頭を回した。
応接室には「死神のように黒い服を着た男」がアーロンの用心棒たちの監視を受けながらソファに座っていた。
肩まで降りてくる黒い髪と銀メッキの拍車が付いたブーツ。腰のホルスターに刺さっている二本のSAAリボルバー。彼の黒いロングコートは濃い葉巻のにおいが染められていた 。まるで西部劇の映画から飛び出したような姿だった。
この奇妙な装いの男は、今日アーロンとの取引することにしたブラトヴァ（ソルンツェフスカヤ・ブラトヴァ。国際的な規模のロシアの系マフィア）が送った代理人だった。常識的に、このような時代錯誤的な装いをした人が取引場所に来たら疑い視線を送くしかないだろう。しかし、アーロンは確かな商人であった。十分なお金をくれれば相手がカウボーイ姿をしても、チャーリーチャップリンの装いをして来ても気にしなかった。ウイスキーグラスをビリヤードテーブルに置いたアーロンは応接室に入りながら語った。
「私は自信感と傲慢を区別できないほど愚かな人ではありません。少なくともこの都市で、あなたが望んでいるものを売ってくれる人は、私しかいないと思いますね。ミスター……。」
「……アレクセイ カラマーゾフ。」
黒い服の男はコートから 取り出した葉巻に火をつけた。
「自己紹介が終わったらそろそろ商品を見せてくれないか？このような意味のない会話で時間を引くのには今夜は短すぎたから。」
黒い服の男は葉巻の煙を吐き出した。アーロンは手に持っていたキューを用心棒に渡してソファに座った。
「良い、ミスターアレクセイ。取引方がさっぱりでいいですね。」
「俺の組織は、お前が扱うその商品に大きな期待をしている。 俺を待たせたくらい良い品質であることを望んでみる。」
「心配しないで下さいね。私の商品はすべて上物です。特に、今回のものは、あなたのために大きな苦労をしました 。」
アーロンはキャメルタバコを噛みながら弾指した。横にいた用心棒は、金属でできた大きなケースをテーブルの上に置いた。アーロンが金属ケースを開けて見せたら白い液体が入ったアンプルがいっぱい入っているのが見えた。
「…….」
「これがあなたの組織が手に入れたかった最新の麻薬、『ホワイトマーキュリー』でございます。このケースに入っただけで、カリフォルニア州を麻薬中毒者たちの巣窟にすることができますので、注意して使って下さい 。」
アンプルをいくつか手に持って見つめていた黒服の男は足元に置いていたバッグをテーブルの上に乗せた。バッグを開けると、その中に入っている100ドルの束が緑色の光沢を噴いた。
「約束したお金だ。追跡できない 安全な紙幣だから問題ないはずだ。チェックしてみろ。」
黒い服の男は紙幣の束をアーロンに投げた。アーロンは懐から拡大鏡を取り出し紙幣を慎重に点検した。
取引が問題なく進行されて行くと黒服の男は安心しながら葉巻を吸った。
まだアーロンは気づいていなかった。元々彼と会う予定だったブラトヴァの代理人は、すでに死体になって下水道から腐っていることを。そして彼の身分を盗んだラファエルが今夜の取引で出たことを知らずにいた。
アーロンの視線が紙幣に集まっている間、ラファエルは手に持っている懐中時計を一定のリズムで叩いた。彼が送ったモールス符号は懐中時計の中に装着された信号機を介して誰かにメッセージを送信しました。
「ここはラファエル。現在、貨物を包装中。全員、回収位置に。」
