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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

わがままじいさんとやさしいばあさん

作者: なな 麦

昔々あるところに


いじわるじいさんと

やさしいばあさんがいました


このじいさんとばあさんは

他人ではありましたが

いえがとなりだったため

まいにちまいにち

顔を合わせるのでした


じいさんは

ばあさんが越してきてから

まいにちまいにち

ばあさんに失礼なことばかり言っておりました


はじめはばあさんも

じいさんのことを知らないから悪いところしか見えないのだと言い聞かせていましたが

じいさんのいいところを見出しても

それ以上におもいやりがかけらもなさすぎて

まいにちまいにち疲れてしまうのでした


あるとき

ばあさんがじいさんしかできなかったことを

できるようになりました

じいさんは頭の良さを糧に生きていました


ですがちしきがなくても

じいさん以外の知ってる人にきいたり

ググればなんでもできる世の中になっていました


じいさんがほかにほこれるものは

きんべんとけいけんだけです

まいにちすこしだけほんをよみます

けいけんがあれば、すぐにおもいだしたり

ときにはすいそくをたてられたりします


しかしばあさんはそんなもの

みじんもききたくありませんでした

じいさんとはなす

りゆうにはならなかったのです


ひつようがないとおもえば

なんのかちもないものです


じいさんはばあさんにとっては

むかちのにんげんとなりました

むかちいじょうにまいにちまいにち

ふかいなきもちをひきおこすだけの害悪となりました


ですから

いつかひつようなときがきたら

そのときだけはなしをきけばよい

それまでじいさんとは金輪際縁を切ろうときめたのでした


しかしじいさんは

まいにちまいにちくちをだしてきます

聞かないといらだってものにあたっては他人の気を引こうとしたのです

うるさいのできもちよくしてあげようと聞いてあげると、こんどはひとをばかにしたものいいでさげすみます

じいさんはいつまでたっても自分勝手でした



ついにばあさんはたえかねて

じいさんがしねばいいのにとおもいました


りかいしてあげようとがんばりつづけてつかれはててしまったのです


ばあさんのかおからはえがおが消えました

まいにちまいにちつかれはてたかお

あたまのなかはじいさんへの罵詈雑言であふれています


それでもたのしいことをさがしては

かなしさやいかりやくるしみ

すべてのつらいきもちを散らしていました


そんなとき

ばあさんはツイッターで

こんなつぶやきをみつけました


僕は、机の上に鏡を置いています。特にパソコンの横。誰も見ていない無防備な個人の空間で、人の人格を否定するようなことを考えた時、人の悪口を言おうとする時、本当にイヤな顔つきをしていて、ああ、こりゃ自分は今、人に何かを発信できるような心理状態じゃないなと分かります。机に鏡はお薦めです


ばあさんは

さとりました


せっかく培ったものがなくなりかけてる、と


ばあさんはわらえなくなっていました

ばあさんはたのしみがなくなってしまいました

ばあさんはあいさつが苦痛になっていました

やさしくするのも苦痛になってしまいました


ただやさしかったばあさんは

やさしさも

しあわせも

うしなってしまったのです


ばあさんがきづくと

じいさんのゆびのけんが切れていました

じいさんはきょうふとくつうによだれとなみだにまみれていました

そのかおをみたばあさんは

しあわせになりました

もっとみたいなとおもいました


ばあさんのしあわせは

じいさんとすごしたおかげで

くつうのかおをひとにおぼえこませるのがストレス発散になりました


いたがるほどこうふんします

もれるもだえたこえをきき

じぶんからこしをふるどれいにしたくなりました


さいごには

きょうふとかいらくで

じいさんを傀儡にして

いっしょうたのしくくらしましたとさ







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