4話 過去[壮年]
過去編ラスト
魔物の駆逐を誓っていた俺だが、王都を訪れるようになって考え方は変わっていた。
魔物は経済の1部であり、生活の1部であるからだ。
駆逐してしまうと生活基盤が変わってしまう。
それは良くないと考えた。
シンにも話し、納得してもらった。
俺に忠誠を誓っている時点で反対するなんて考えはなかったらしいが…。
だが、街を襲われているにも関わらず放っておくわけにもいかない。そこで俺はその区域から出ていかないようにする方法を研究すること次の目標に決めた。当たり前だが冒険者など自ら領域に入る奴は自己責任となる。
そして32歳の時、やっと理論上の不老の魔術を手に入れた。不死は無理だということがわかった。だがこれでもう衰弱死はない。寿命という概念が無くなり、殺されない限り死ぬことはなくなった。この魔術はとりあえず実験も兼ねて自分の身で試す。俺自身で試すことにシンがいい顔をしなかったが、意思が固いと見て、シンにも施すことを条件で納得してもらった。
38歳の時、不老の魔術は誰の目から見ても成功していた。これを受け、少なくない領民が志願したが、魔術の才能がなければこの魔術は成功しない。よって、志願した領民の4分の1ほどの民が不老となった。
ちなみに魔術の才能がないと言っていたシンだが、実は射程距離がゼロなだけで魔術の才能はあり、自分にかける魔術についてのみハイレベルだということがわかったので、不老の魔術は余裕で発動できた。その事がわかった瞬間、自分はまだ高みに行ける。といって、身体能力増加の魔術など自分に作用する魔術を俺が書いた研究成果をまとめた本を頼りに訓練しだした。
不老を得た人同士で生まれた子は魔力量が多く、ハーフでも親並みの魔力を持っていた。これが繰り返され、500年経った今では魔力量の多い者の象徴としてツノが生えることとなる。
58歳の時に魔核を合成し魔術を組み込み、魔力を込めることで魔物に縄張りを意識させ、基本的に縄張りから出ないようにする魔術具を開発した。
とりあえずシンと一緒にこれを領地から遠い方の高い山の頂上に置くために出かけた。
ここでも色々とあったが、無事、置くことができた。それから10年かけて地方を周り、全ての魔物の巣窟に設置した。魔力を定期的に補うため、王都を中心として、東西南北に1人担当を決めた。
俺の両親から祖父、叔父、従兄弟と受け継がれてきた領主を70歳の時に引き継いだ。それから500年、俺は領主と研究をしながら過ごし、今、魔王と呼ばれている。
〇〇〇
簡単にまとめると
6歳・領主の勉強開始
9歳・両親の死→復讐の決意→魔術の勉強開始
15歳・初の魔物討伐→山①へ→断念→研究開始
20歳・破壊と再生魔術の完成→初の王都
25歳・祖父と師匠の死
26歳・流行病→シンとの出会い→山①殲滅完了
32歳・不老の魔術完成→自身とシンへ
38歳・領民の1部不老へ
58歳・魔物の縄張り意識を持たせる魔術具完成
68歳・各地に配置完了
70歳・領主引き継ぐ
自己満足さえできないレベル…
もっと頑張ります…




