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魔王と呼ばれた者  作者: 椎田 景
序章
2/4

2話 過去 [少年]

いきなり過去編入ります。

4話の最後に簡単に過去をまとめてあるので読み飛ばしたい方はそちらへ。



俺はピーキンス領の領主の息子として生まれた。

父はとても優秀な領主で、全ての領民から愛されていた。母はそんな父をいつも支えていた。

俺は幼いながらも両親を誇りに思っており、将来は父のような領主になると心に決めていた。



6歳になった時、俺は領主の勉強をしたいと父に申し出た。父は驚き、そして困ったようにまだ早いよ。と俺を諭した。俺は諦めることなく父に会う度に伝えると3日目にして許可を貰えた。所詮6歳なので比較的簡単なことから1日1時間ほど勉強した。そこで当たり前なのだが、領主の仕事以前に語彙力や計算力が全く足りないことを自覚した。そして俺は自由時間を使い勉強した。7歳になる頃には生活に必要な語彙や計算を身につけることができた。知識が増えることに楽しさを覚えた俺はもっと難しい問題や、地理や歴史、経済学など様々な分野に手を出し、沢山の本を読んだ。今思うと我ながら子供らしくないことをしていたなと思う。



9歳の時、俺の生活に転機があった。

そのきっかけは、王都に向かっていた両親の訃報が届いたことだ。この頃は隣町や王都とも交流があり、頻度は年に2回程だが両親は王都を訪れていた。死因は魔物に襲われたことらしい。ピーキンス領は隣町との間に魔物の住む山が2つあり、年に数回しか通らないため、道もあまり整備されていなかった。もちろん遠回りであっても魔物の少ない部分を通って行くのだがゼロではない。魔物は一般的に山頂に近づくにつれて強くなっていくので麓を通るルートを使うのだが、弱い魔物しか出ないかというと絶対ではない。もちろん護衛も付けていた。弱い魔物が大量発生して不覚を取ったのか、強い魔物がたまたま麓まで来ていたのかは分からなかった。もしかすると分かっていて幼い俺には伝えなかったのかもしれないが…


伝えられた俺は衝撃が大きくその時の事はあまり覚えていない。1週間〜2週間ほど引きこもっていたように思う。そしてそれからは復讐することを心に決めた。夢は領主から魔物を駆逐することに変わったのだった。ちなみに領主は以前領主をしていた祖父が行うことになった。


魔物が大量にいることはわかっていたので、俺が選んだのは剣術ではなく魔術だった。単純に全ての魔術を使えるようにし、範囲の広い魔法で次々と殲滅しようと考えた。そんな魔術があるかは知らなかったが…。そして家にある魔術の本を全て読み覚えた。だが知っていても使えるわけではなかった。そこで俺は弟子入りする事に決めた。

運のいいことにピーキンス領には元王宮お抱えの魔術師だったオリエ・シーチャという人がいた。復讐に燃える俺に少し顔を顰めながらも、必死の説得と祖父と親しかった事もあり、魔術を教えて貰えるようになった。今思うと、両親は愛されていたので、顔は顰めたが心の中では俺と同じ気持ちだったのかもしれない。


幸い俺には魔術の才能があったらしくすぐにコツを掴み、覚えた魔術は全て使えるようになった。だが、家にあった魔術の本は両親が魔術を使わない人間であったため基本的な物が多く、俺の望むような魔術はなかった。俺の才能を気付いたオリエ師匠は自分の持つ本や知識をくれた。



そして、全ての魔術を習得した15歳の時に初めてピーキンス領を襲う魔物の討伐に参加した。山に面している所では月に3回ほど数体の魔物が襲いにくるのだ。その時には既に王宮お抱えの魔術師レベルの力を手に入れていた俺はすぐに倒し、物足りなさを感じつつも確かな手応えを感じていた。それからは1人で自ら山に入り魔物を倒していった。2つある山の内ピーキンス領側にある山は大して高くない。だが山頂の付近に行くと中々倒せなくなっていった。1度山頂にいる魔物を見たのだが戦う前にこれには勝てないと感じた。中腹や麓にいる魔物も倒しても1ヶ月もするとまた現れた。


範囲内━今回は山1つ━の魔物を1ヶ月以内に全て倒さないと滅ぼした事にならない事は以前読んだ本に書いてあったので知っていたが、ここまで難しいとは思わなかった。強くなった自覚はあったし、できると思っていたのだが、今の自分では魔物を駆逐することなんて絶対にできないことを思い知った。だからと言って既存の魔術は全て身に付けている。そもそも魔術師1人でやる事ではないのだ。魔術師は基本的に後衛である事も理由であるし、職は何であれ、1人でやるなんて前代未聞である。


だが、俺は誰も巻き込むつもりはなかった。

これは俺のわがままでやっている復讐だったからだ。


この無理だと悟った時というのは山に行きだして半年たった頃だった。

1ヶ月目は山の中の土地勘がなかったことや戦い慣れしていなかったために1ヶ月では中腹の途中で終わっていたのが、この時にはは庭のように感じるほど把握しており、戦いにも慣れてきて、上層の魔物にも多少時間はかかるが倒せるようになっていた。だが山頂は先に述べた通り無理だった。


そこから俺は新しい魔術を開発するために研究を始めた。腕が鈍らないようにする事も兼ねて魔術の実験のためにも、週に2日は中腹あたりの魔物を倒しに行くことにした。


まず魔術を研究するのには時間がかかるので一生では間に合わないと思い、不老不死の魔術を第1段階の目標として掲げた。今まで読んできた本や自分の感覚的に規則性とまでは言わないがそのようなものを何となく掴んでいたので滑り出しはかなり順調であった。元々ある魔術の威力や範囲の拡大を自由に変えれるようになり、そこから無詠唱による魔術の執行を2年程で手に入れた。

だがその後は滞り3年ほど何も結果が出なかった。



まだマシ…?

基本的に毎日18時更新の予定です

※多少前後あり

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