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俺がエルフ嫁(ドレイ)を買った件について  作者: 木場貴志
第5章~仕事の合間に秘書と一緒に出かけた件について
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第5章~仕事の合間に秘書と一緒に出かけた件について その1

登場人物


マサユキ

王族にも繋がる貴族の家の末息子

妾腹で末子ということもあり、継承権はなく、その代わり特に縛りもなく自由な身分

現在は家を出て、与えられた資産を元に交易商の仕事をしている

頭は切れるが性格は大らかでのんびりなところがある

貴族の家暮らしよりも、現在の気ままな生活が気に入っている


エミリア

エルフ王国の中級貴族の娘

貴族の子女の義務として、士官として軍務に就き、捕虜となった

それをマサユキが奴隷として買い取り、屋敷にやって来る

几帳面でキッチリとした性格と細やかな気遣いで、秘書役や生活管理を懸命にこなす


 翌日。

 朝、棟梁を伴って、3人で急ごしらえの試射場に向かう。

 入口で番兵に許可証を渡すが、番兵はそれも見ずにあっさりと通された。

 まあ、昨日、営内を案内してくれた兵隊だったからな。

 昨日の一部始終を見ていて事情は知ってるしな。

 あんまり素直に通されたもんだから、エミリアは思いっ切り拍子抜けした顔していた。

「本当に通されてしまいましたね……」

「な? だから言ったろ」

 そのまま俺達は射場の後ろ側の山の上に案内された。

 棟梁は発射地点の砲の後ろ側で待機しているので、ここにいるのは俺とエミリアと、案内してきた担当の兵だけだ。

 発射地点から着弾点として設定されている向こう側の斜面まで、全てが見渡せる。

「さて、時間だ……」

 懐中時計が開始の時間を示していた。

 固唾を呑んで、試射を見守る。

 発射地点では、砲弾の装填作業が始まっている。

 次々と砲弾が砲身に押し込まれていく。

 そして、装填要員が後ろに退避し、指揮官の手が上がる。

 その手が前方へ振り下ろされた刹那、ものすごい轟音と共に10門の大砲の指揮官側から順に火を噴く。

 ズドーン! ズドーン! ズドーン!

 次々と撃ち出された弾は、ひゅるるるる……という尾を曳くような飛翔音を引きながら、向こう側の斜面に向かって飛んでいく。

 そして、着弾。

 ズシーン! ズシーン!

 地震のような震動と共に、向こう側の斜面、山の5合目辺りが大きく抉られるように破裂する。

「話には聞いてたけど、コイツは凄まじいねぇ……。あの高さまで届くとなると、平坦な戦場なら、5~6キロは余裕で届くかな」

「そうですね……」

「となると、ざっくり有効射程は既存の大砲の倍ってとこか……」

「…………」

 エミリアは目の前の光景に息を飲んでいる様子だった。

「城攻めの様相が変わるな。弓や既存の大砲の射程外から城の中へ撃ち込める」

「……そうですね……。それに、たった1斉射であんなに岩肌が抉れて……あんなモノを撃ち込まれては、堅固な要塞でもひとたまりもありません」

「だろうな」

 砲はやや向きを変え、次の弾を込めて、再び発射される。

 今度は10門、全て同じ場所をめがけて撃ち込む。

 さっきの斜面の隣の、小さめの山、頂上のすぐ下あたり。

 ズシン、ズシン、ズシン!

 今度は正確に全弾が目標地点を捕らえる。

 ドカーン!!

 山頂部分が完全に粉砕された。

「うわ~……エグいな~……」

「そうですね……」

「エミリア。おまえが拠点を守る側ならあれ、どうする?」

「今、私にそれを聞きますか」

「ああ。実際に敵軍を指揮してたエミリアだからこそ、聞いてみたくなってね。それに、この戦争では、もうおまえの出番はないだろうし、そのくらい、俺に一般論として話してくれても問題はないだろう? エミリアならどうする?」

「そうですね……恐らく、周辺で兵を隠して近づけそうな場所でもない限り、発射におあつらえ向きな地点に布陣された時点で終わりでしょうね。むしろ、その前、布陣地点を取られないように戦うしかないでしょうね」

「まあ、そんなとこだろうな……。周りの地形にもよるけど、場所によっては城の意味が薄くなるとこ、結構あるだろうな」

「そうですね……」

 2斉射目が終わって、また砲身の冷却と点検。

 それが終わると、再び砲列は向きを変え始める。

 今度は砲の向きが高めにセットされた。

 そして、発射。

 これまでは、全ての砲が同じ目標地点へ撃ち込んでいったが、今回は広い範囲にばらまくように打ち出していく。

 そして、最初に撃ち込んだ山のやや上の方に、広く着弾していく。

 バーン、バーン、バーン………!

 着弾点を中心に弾け飛ぶような閃光が。

 大きく抉られるみたいに、山肌の木々が吹き飛ばされ、薙ぎ倒されていく。

 あっという間に山の頂上近くは丸々禿山にされてしまった。

「随分と派手に破裂するんだな……。これ、さっきのと弾が違うだろ?」

 案内してきた兵隊に尋ねると。

「ご覧の通り……とだけお答え致します。それ以上は機密により、お答えできかねます」

「なるほどね」

「はっ」

 兵隊は敬礼して再び一歩下がった。

 エミリアは、息を飲んで立ちすくんでいる……といった様子だった。

 射場では、発車後の点検の後、順次砲身が水平に戻されていく。

 どうやら、これで試射は終わりのようだ。

「よし、エミリア、帰るぞ」

「はい……」

 案内してきた兵士にまた道案内されて、宿営地に戻ってきた。

 エミリアはさっきから口数が極端に少なくなった。


次回投稿は8/15(水)12:00の予定。

大砲の試射を見届けて、二人は空いた時間に山の中へ登っていく。

そこは……。

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