くたばれ! ★グーチョキパーで何つくろう★
「く~た~ば~れ、く~た~ば~れ」
聞き覚えがあるような気がするのに、何の曲だろうか……電子ピアノから流れてきた曲に、首をかしげていると、来栖が物騒なことを言い出した。
「えっ、これってそんな怖い歌詞?」
「いや、舞ちゃん」
「また、意味不明歌詞か!」
まさか童謡にそんな歌詞があるとは思わなかったが、舞ちゃんならばしょうがない。
御年3歳になる来栖の姪っ子は、まだ言葉の意味もあやふやで、聞いた歌をめちゃくちゃに歌ってしまう状態だ。かわいらしいのでついつい目を細めてしまうが、今回の歌詞は、さすがにちょいと物騒だ。
「本当は、ぐ~ちょきぱ~で~だね」
「なにそれ、それも知らない」
「へ? 知らないの? グーチョキパーでグーチョキパーで、何作ろ~、何作ろ~、右手はグーで、左手はチョキで、カタツムリ~カタツムリ~」
言いながら、来栖はチョキの背中に拳をのっけてカタツムリを作る。
なるほど、かわいらしい手遊び歌か。来栖の歌を聞いて見れば、たしかに聞いたことがあるような気はするし、カタツムリ以外にも、『右手はパーで、左手はグーで』で拳の上に手のひらのっけて『ヘリコプター』だとかいうのもついでに思い出してしまったりもしたが、でも、歌がわかったところで『くたばれ』の謎は、全くもって解決していない。
「って、なんでそこでくたばれになるのよ」
「続きはもっとすごいよ」
「うっ、気になる」
聞けば絶対意味不明なわけわからん歌詞だろうと分かっているのに、舞ちゃんのかわいらしさをついつい想像してしまう。
「く~た~ば~れ、く~た~ば~れ、なにすんの~なにすんの~いぃたぁばぁにいぃたぁばぁに……のあとに、あれだ、国民的アンパンヒーローが現れるんだ」
「ヒーロー倒してどうすんのーっ」
「これでアレらしいよ」
そう言いながら、来栖はこちらを振り向いて、両方のほっぺに拳を当てて見せた。なるほど、あやつのまんまるほっぺをあらわしているのか……。
「でも、グーチョキパーがくたばれか……なにつくろがなにすんのか……めちゃくちゃにもほどがあるね」
「右手がグーで左手もグーでが一番意味不明だよ、なんだよいぃたぁばぁにって、もうっ、かわいいったらないんだから」
「本当にメロメロだねぇ」
姪っ子バカ状態の来栖に呆れてしまうものの、私も、両方のほっぺに拳をつくって歌う舞ちゃんを目の前にしたら、思わずかわいいと抱きついてしまうことだろう。




