おまけ② 1年で最も殺伐とした日
①
明「バレンタインだけど、皆は誰に渡したのかな?
あ、私たちは考えないとして」
朝「中学の友達(女)に……」
真「うみ姉に……」
千「弟と陽子、羽海に……」
夕「私もそのお二人に……」
正「兄妹に……」
深「……」
明「こうなると思った!!!!」
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②
明「あ、八坂さんは? 貰いました?」
小「これ僕にも振られるんですか?」
明「うん、皆気になるよね?」
朝「ちょ、ちょっと気になります……」
真「面白そうだし気になるってことで!」
千「興味あります」
夕「あります」
正「あ、わ、私も……」
深「……(こく)」
明「人数が増えたから多数決の圧力も強くなったね!」
小「……大学時代の友人から、1つ。
でも友チョコと言う物ですし、本当にそれだけですよ?」
明「おお!? それってもしかして女性ですか?」
小「……女性ですね」
明「おおおーっ!!」
小「……心は」
明「おおおーっ!?」
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③
森「やっちゃん! これチョコ! 自信作!」
雇「おや、ありがとう。ハート型?」
森「そう……ってその紙袋、もしかして全部チョコ?」
雇「そうだね。なんだかいっぱい貰ってしまったよ。女子高なのにね」
森「すごーい! やっちゃんはモテモテなフレンズなんだね!」
雇「うん……?」
美「き、木嶋さん」
雇「おや美月さん。なんだい?」
美「えっと、あの……今日って、バ、バレンタイン、じゃないですか」
雇「そうだね」
美「聖ウァレンティヌスの殉職した日に……チョ、チョコを渡す意味が分かりませんが……」
雇「でも世界でも愛を誓う日って言われているじゃないか。
日本ではその愛を具現化したものがチョコなんじゃないかな?
友達や家族に送るチョコだって一種の愛だよ」
美「あ、いや、否定している訳では……ううん」
森「いっけーみっちゃん!!」
美「水菜さんは黙っててください!」
雇「美月さん、用事は済んだのかな?」
美「済んでませんよ!! もう!」
雇「なぜ僕は怒られたんだろう……」
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④
美「だからですね! その……」
森「えーい! じれったいぞみっちゃん!」
美「うるさい!!!!」
美「バ、バレンタインは! お世話になった人とかにチョコをあげる日でもあります!」
雇「愛だね」
美「あ、愛を強調しないでください! べ、別に愛とかじゃないです!」
雇「なんのことだい……?」
美「だからその、こ……これっ!!」
雇「……チョコだね。気合が入ったラッピングに見えるけど」
美「べべべべべべべべ別に!
木嶋さんには色々ひどい事言っちゃったからとかじゃないんで!!
人見知りで友達が出来なかったときに話しかけてくれたのが嬉しかったとかじゃないんで!!」
雇「随分昔の事を……」
美「昔でも関係ないんです!! まだちゃんとお礼言ってませんでしたし!
そうやっていつも優しく包み込んでくれる木嶋さんが大好きですし!!」
森(ムキになりすぎて本音が出てる……)
美「だから!! 決して!! これは愛が籠ったチョコじゃないんです!!
早く受け取って噛み砕いてください!! もう帰りますから!!」
雇「ありが……あぁ、もういない。今日の美月さんは嵐みたいだったなぁ」
森(平然を保っている……)
雇「ふふ、チョコを貰うことは中学校でもあったけれど、今年は特別だね」
森(……ように見えたけどちょっと顔が赤い!!)
雇「ところで、森乃さんは美月さんからチョコを貰ったのかな?」
森(貰ってない……!)
美(必死すぎて水菜さんの分を渡し損ねた……!)
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⑤
陽「若い子は青春してるわね……」
羽「アタシらも若いと思うよ……」
凛「いや私はもう年だよ……」
羽「土屋先生には言ってませんよ……」
陽「あ、羽海。先生も。はいチョコ」
羽「うっわ唐突。まぁアタシもあるけど。ほい」
凛「……2人の歴史の評価1つずつ上げるよ」
陽「それ聞いちゃうと次の成績を見ても素直に喜べなくなるのですけれど……」
羽「いやぁ、でも友達っていいね。チョコ貰えない結末は回避できるし」
陽「でも、羽海には特別なチョコをあげたかったわ……」
羽「そんな、気遣わなくていいよ?」
陽「チョコじゃなくても、例えば……」
羽「例えば?」
陽「羽海の唇を奪うとか……」
羽「おい正月とオチが同じだぞ」
バレンタイン後も射行無常 ~弓道部の日常 を、どうかよろしくお願いします!!