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射行無常 ~弓道部の日常  作者: 松川由良
第二章 転入から……
8/12

第七射 道着に最適な季節が無い

容姿について


八坂(やさか) 小暮(こぐれ)

27歳


数字の八、夕暮れ。夕奈と被っているのは勘弁。

古典担当で、明のクラスの担任です。


黒髪の黒縁メガネ。優しい顔立ちは男子に飢えた女子生徒から大人気です。

身長は180cm以上と男性基準でもかなり高いです。

細身ですが弓道に使う筋肉はしっかりついています。

学校内では基本的にスーツです。私服は……さて、どうなんでしょう?



七河(ななかわ) 正子(せいこ)


数字の七、正午。1-Eです。

金髪ツインテールです。身長は朝美と真昼の間くらいの高さ。つまりは大体同じです。

見た目も結構明に似てたりします。小さい明みたいな感じかも知れないです。

基本的にどんな服でも好んで着ます。面白ければコスプレだろうと着てくれます。

胸は夕奈と朝美の間くらいですかね。多分。



六月(むつき) 深雪(みゆき)


数字の六、深夜。

銀髪のショートヘアーで、無表情なのでいつもジト目です。

朝美や真昼よりも背が低く、大瑠璃弓道部では一番背が低かったりします。

背が低く大人しいので、クラスメイトから凄く護られてます。主に正子が。

どちらかと言うと暗い色が好きなので、暗い色の服を多く着用しています。

肌の露出させる服装が苦手で、水着は特に嫌いです。夏でも極力肌を隠そうと努力しています。

実は千夜と同レベルの巨乳です。

IT'S MY 語り手→月見陽子



「羽海」


「ん?」


「こだまでしょうか」


「いいえ、だれでも」


羽海は基本的にどんなボケにでもノってきてくれる。

そう言う所が羽海の好きな所なのよ。


「そりゃどーもー」


改めて、彼女は火村羽海。我が真珠女学院弓道部の副部長。

この前の大会では負けちゃったけれど、とてもよく奮闘していたのよ。

2年生になっても着々と実力を伸ばしていて、少し羨ましい。

私からしてみれば、羽海は親友。羽海はどう思ってるか分からないけれど。


「どうしたんだよ急に」


「羽海に幼馴染がいることを知ったから不貞腐れてみたのよ」


「それを言うならアンタだっていつも千夜と夕奈と仲良くしてるじゃん」


「でも千夜と夕奈はラブラブだし」


「あー……」


羽海は納得したような声を出した。まぁ、あの2人は軽く有名だしねぇ。

大会に出ていないウチの1年生たちでも知ってるくらい。

だからもうちょっとしっかりして欲しいとは思うのだけれど、まぁ私も同じようなものかも。


「同じようなものってどう言うこと?」


「そのままの意味よ」


「そのまま……」


雑談も程々に、私と羽海は着替えを終えて道場に向かった。


「そうそう。羽海って戦車系のアニメって知ってる?」


「ん? 知ってるけど……どした?」


「いや、千夜が戦車好きみたいだから。

 流石にマニアにはなれないけれど、ちょっとだけね」


「あー。だったらガル○ンとかいいんじゃない?」


「ガ○パン? どんな話?」


「ガルパ○はいいぞ」


「はぁ……」


とにかく、○ルパンって言う作品を見れば多少戦車について知れるってこと?

千夜は同じ学校の……一ノ瀬さんだったかしら。あの子しか戦車を知らないみたいだし

同学年の同志、まぁ同志って程にはなれないけれど、一応いた方がいいと思うのよ。

べ、別に、千夜のためじゃないんだからね。


「リアルのツンデレはあまり効果ないぞ」


「あら、気に入ってもらえると思ったのだけれど」


「……まぁ可愛かったけどさ」


「ふふっ、ほら、もう道場に着くから、気を引き締めなさい」


「陽子に言われたくないよ……」


失礼ね。私はいつだって真剣よ。


道場に入ると、すでに1年生の3人が揃っていた。

……そうそう。この前新しく1人入部してきたのよ。驚いたわ。

1年生が入部するにしてはかなり遅めだしね。


でも、どうやら中学時代から弓道はやっていたみたいで

すぐに稽古にとけ込めたのは本当にありがたかったけどね。


それじゃあ、お決まりの部員紹介でも始めましょうか。


「陽子さんに羽海さん! いいところに!

 今やっちゃんが五十射チャレンジをしてるんです! まだ1本も外してないんですよ!」


ええと。この子は水菜森乃(みずなもりの)。大会の日に羽海に電話をしたのも森乃だったわね。

この子は3人の中でもムードメーカーかしら。いつでも元気で明るくて

1年生が何かをしているとき、いつも彼女が先頭に立ってる気がするわ。

弓道に関しては……まだ少し改善の余地があるかも。うん。まだ1年生だもの。しょうがないわよ。


「ふふ……外すも何もまだ2本目だけどね……」


ちょっとキザな話し方をする子は木嶋雇地代(きじまやちよ)。大会の日は狼煙を上げてたわね。

見て分かる通り、かなり大人っぽい。身長とか、胸とか。

でも優しいしいい匂いがするし、まるで女神さまみたいな子(森乃談)。

私が一番注目しているのは弓道の実力。現地点でも相当だけれど

このまま稽古を続ければ、羽海や私をあっさりと超えてしまう程になるかもしれない。

もしかしたら……明さんに匹敵するかも。それくらい上手なの。


「それにしても、木嶋さん本当に綺麗ですね……いつもからは想像できないくらい」


金子美月(かねこみつき)。中学までは京都で暮らしていて、仕事の都合でこちらに引っ越してきたらしい。

でも京都弁は完全に消えてるっぽくて、私は一度も聞いたことがない。一回聞いてみたいわね。

うーん、特徴と言っても、頭のアホ毛くらいで……。

真面目だし見た目も普通だし、成績や弓道も中の上くらいで、本当に平均的。

もちろん悪い意味じゃないのよ。緊張には強いみたいだし。

森乃と雇地代、それに美月は1年生繋がりでよく一緒にいるわね。美月はツッコミだけど。


「ねー。なんかね、弓道してるやっちゃん凄い凛々しいんだよね!」


「そうですね。いつもからは想像できないくらい」


「美月さんは普段を強調しすぎじゃないかな?」


「だって普段の木嶋さんは変人じゃないですか」


「心外だなぁ。僕はどこにでもいる普通の女子高校生じゃないか」


「木嶋さんが普通だったらブッ倒れますよ私」


雇地代は物凄く打たれ強いので美月の手厳しいツッコミにも負けない。

ボケ2人とツッコミ1人で、美月の負担が半端じゃないけれど、なんだかんだでこの3人は仲が良い。


「お、早速賑やかじゃないか。いいねぇ、若い子は元気で」


「あ、先生」


先生。つまりはウチの顧問の先生。


「せんせー、もしかしてまた書類サボりました?」


「何で分かんのよ」


「いや、なんとなく」


「火村。アンタもしかして私が普段から仕事サボってる人だと思ってる?」


「違うんですか?」


「違くないけどね」


えー……なんかこの流れで紹介するの嫌なんだけど……。

この方は土屋凛(つちやりん)先生。我が真珠女学院弓道部の顧問を務めている。

かなり若く見えるけれど32歳。32歳って若い方なのかしら。私よく分からないわ。

こんな感じで、結構面倒臭がりだしいつも気だるげだけれど、弓道の実力は確かだから尊敬してる。

まぁ適当って訳ではないから、私もやりやすい。実際何度も先生のアドバイスに救われている。


「もう、先生! そんなに仕事サボってたらいつかツケが回ってきますよ?」


「金子ぉ、お前はもうちょっと柔らかくなれよー」


「柔らかくても同じこと言いますよ」


「それより、木嶋は何してんの?」


土屋先生は逃げるように話題を切り替えた。もちろん美月が反論するが無視を貫く気でいるらしい。

……ホント、学校から追い出されないようにお願いしますよ。一応尊敬してるんですから。


「土屋先生、こんにちは」


「弓引いてるときに喋るのやめような」


「僕は今、五十射チャレンジの真っ最中なのですよ」


「弓引いてるときに喋るのやめような」


ふと羽海と森乃が気になって、道場を見回す。

一回りした辺りで、入り口付近の隅っこで遊んでいるのが見えた。

羽海は弦をくるくる回し、森乃は矢をくるくる振り回している。

完全に別空間だったので特に触れることもなく雇地代に視線を戻す。

ふむ、3本目も的中したみたい。相変わらず精度が良いわね。


「うおー! なんだか私もやりたくなってきた! やっちゃん、隣借りるよ!」


「ちょ、水菜さんまで……!」


謎の空間から脱したであろう森乃が忙しなく準備を始めた。

……しょうがない。2人はそこで固定して、他の場所で始めようかしら。


「……あーもう! 私もやります! やればいいんでしょう!?」


えっ。


「おぉ! みっちゃんやる気だね!」


「お2人にだけいい格好させませんから!」


……もう、今日の稽古は五十射チャレンジにしようかしら。


「いいんじゃない?」


土屋先生はいつも通り適当。なんだかんだで羽海もやる気みたいだし。

まぁ、たまにはこういうのも面白いかも……?


「そう言えば雇地代。この前言ってた数学の課題、大丈夫だった?」


戻ってきた雇地代に問いかけると、雇地代はただ微笑んで


「あぁ、陽子先輩のお陰で助かりました」


と言った。安心したのも束の間、美月が割って入ってきて


「でも木嶋さん、提出してませんでしたよね?」


「え?」


終わったはずよね? なにか不備でもあったの?

私と美月は雇地代に疑問の目を向けると、雇地代はいつも通りクスッと微笑んで


「……ロッカーに仕舞ってあるのを思い出してね。取りに行くのも忍びなかったからやめたんだよ」


「そこは忍びなさいよ……」


雇地代は頭はいいんだけど、何故か提出物を出そうとしない。

美月曰く、今まで提出物をしっかり提出した回数は両手で数えられる程度だとか。

どうやらすぐに取り出せる状態ならしっかり提出するらしいけれど

鞄の中に入っていたり、ロッカーに仕舞ってあったりすると、この通り提出をやめるらしい。

そのお陰で、雇地代の成績はあまり良くない。別に悪いわけでもないけれど……。

でも、雇地代だって頭良いんだから、もったいない気もする。

特に記憶力がズバ抜けていて、記憶勝負の社会などになると満点常習犯。

特技はフラッシュ暗算。数字が出揃った後に計算するらしいわ。


……あぁ。そう言えば言ってなかったっけ。


森乃はああ見えて学年トップの秀才。そう言えば前に学院史上最高の天才って言われてた。

そのため成績は過去最高。テストだって満点と1ミスくらいしか見たことがないわね。

私にはおてんばな子は勉強が苦手なイメージがあったのだけれど、森乃のお陰で考えが改まったわ。


「……雇地代。提出物ちゃんと出さないと、評価悪くなっちゃうわよ」


「授業中に席を外したり鞄をいじるのは恥ずかしいでしょう?」


それはそうかもしれないけれど。


「だったら提出物は朝の内に机に入れておきなさい。そうしないと公開するわ」


「後悔なんて……待ってくれ、漢字が違う」


「月見、お前木嶋の何を握ってるんだ?」


面白がって土屋先生が話に入ってきた。

いや、正直私もなんで覚えてるのか分からないのだけれど。


「雇地代のスリーサイズ」


「えええええええ!?」


森乃と美月と羽海は絶叫。先生は大笑い。

なんか、どこかでちらっと見えたのを、なぜか今でも覚えてる。

あぁでも、昔の話だから今は変わってるかもしれないけれど……。


ここで、私の狙い通り。雇地代の様子が一変した。


「……ぁ」


長い髪をくるくると指で巻きながら、顔を赤らめて俯いている。

黒目があちこちキョロキョロと泳いで、まさに大慌て。


そう。雇地代は、物凄くセクハラに弱い。


そして、そんな雇地代が、たまらなく可愛い。


「よ、陽子先輩……そ、その話は……」


「雇地代、スタイルいいし、恥ずかしがらなくてもいいと思うのだけれど」


「っ……」


「道着や制服からでも分かるくらい、胸もあるじゃない」


「ぁ……」


「いいにおいもするし、男子から声かけられないの?」


「そ、それは……ないけれど」


「と言うか胸触ってもいい?」


「や、やめてください……」


「セクハラには弱気になる雇地代、すごく可愛いわよ」


「ぅぅ……」


「だから……あら」


ふと振り返ると、美月が顔を手で覆って、指の隙間からこちらの様子を伺っていた。

イチゴのように真っ赤。こっちもいじりがいがありそうだなぁとか思った。

森乃は呆然としてる。まぁ、こういうのあまり関心無さそうだしね。

羽海と先生は完全に面白がってる。羽海は携帯で録画。もう、道場では携帯は禁止なんだけど。

絡めた手から雇地代の身体が火照っているのが伝わる。2人だけだったらこのまま押し倒す所だけれど

今回はそう言う目的じゃないし、きっと雇地代も懲りたわよね。

ちょっと名残惜しいけれど、私は雇地代から顔を離し、解放した。


「と言う訳で、今度美月や森乃から報告があったら、またやるからね!」


「よ、陽子先輩……いつになく元気ですね……」


「雇地代相手ならまたやりたいわ、部活終わりにでも」


「それは堪える」


「ふふ、冗談よ」


「そんな顔してませんでしたよ……」


雇地代を躾けた所で。かなり時間経っちゃったし、稽古を再開することにした。

まぁ、いつもこんなゆるーい感じだったりする。ダメかしら。ダメよね。


でもまぁ、先生がいいって言ってるし、いっか。(思考停止)


「くぅ、私に恥が無ければ木嶋さんを脅すことができるのに……」


「僕を脅してどうするのさ」


「でも提出物出さなかったらチクりますからね」


「それが十分脅迫なのだけれどね……」


ま、ウチの所だってどこかの高校に負けず劣らず賑やかなのよ。

元気な部員たちを纏める大変さ、同じ部長として非常によく分かってるつもりなのだけれど。


……向こうは今何をしているのかしら。







~一方大瑠璃~


千「くしゅん」

朝「千夜先輩、風邪ですか?」

千「いや……別に体調が悪かったりはしないのだが……」

夕「千夜のくしゃみ可愛いですね」

千「うるさいですね」

真「いいから鍋食べません?」

正「弓道場で鍋って……先生、いいんですか?」

小「まぁ、これコメディですし」

正「先生からメタ発言されるとは思ってませんでした!」

明「深雪ちゃん、おいしい?」

深「……」(こくこく)

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