第八射 弓使いが出るアニメをまともに見れなくなる
~容姿について~
水奈 森乃
1-D 由来は水曜日から水と、四大元素の木から連想して森です。
黒に近い紫の短髪で、ちょっとボサボサ気味です。
身長はかなり低く、大瑠璃で一番背の低い深雪よりも背が低いです。
運動大好きなので褐色肌。何度も日焼けしてるのに肌はスベスベです。
動きやすい服を好むので、スカートは嫌いらしいです。恥ずかしいからではなさそう。
木嶋 雇地代
1-B 由来は木曜日から木と、四大元素の土から連想して地です。
黒に近い深緑のカールロング、ストレートなときもあったりします。
肌はけっこう白めで、日焼けなどはしづらい体質らしく、なぜかどんな時でもいい香りがします。
運動後でもなぜか汗のにおいが全くしないことが七不思議の一つ。
千夜や羽海、明よりも背が高く……あれ、もしかしたら登場人物の中で一番背が高いかも知れない。
服はあまりこだわらず、直感で選んでいます。でもなぜか毎回センスが半端ないです。
ちなみに僕はこの子と夕奈さんがお気に入りです。
金子 美月
1-B 由来は金曜日から金と……正直後からできたキャラなので名前の由来は無いです。
黒髪のショートで、アホ毛が一本あるのが唯一の特徴です。
背も朝美や真昼とほぼ同じくらいで、割と普通。でもほんの少しだけつり目です。
両親が親バカなため、いつも気合の入った服を着せられています。
でも本人はすでに慣れていますし、なにより似合っているので平気なんだと思います。
土屋 凛
2-B担任で、社会科全般を担当しています。年齢は32歳。
髪色は濃い茶色。セミロングくらいの長さで、ボッサボサです。手入れはしてません。
おまけに化粧なども全くしないくらいオシャレには無関心だったりします。
ファッションなどにも全く興味がないらしく、自宅では寝巻きのままだったり
仕事のときは嫌々スーツを着ますが、休日はシャツにジーパンです。めっちゃシンプルです。
左耳にイヤリングをしてます。一応弓道をするときに邪魔だからと言う理由だったり。
約束された勝利の語り手→二村真昼
「朝美ってさぁ……」
「んー?」
朝美が机の教科書類を仕舞いながら答える。
「いや、なんというか……」
「……なに?」
ホントふと思ったことだし、朝美には申し訳ないんだけど。
こう、何となく、言わなきゃ気がすまない。
「普通だよね」
「えっ」
読者の人も薄々気づいてるかもしれないけれど、朝美はかなり普通の女子だと思う。
いや、まぁ普通より可愛いと思うけど、劣等感を抱かないって強さもあるけど。
そうじゃないんだよ。なんと言うか、特技とか。特徴とか。
だって、これラノベなのに黒髪ロングの黒目だし、身長もちょっと平均より低いだけで割と普通だし。
勉強も運動も中の下くらいだし……あ、趣味! 趣味は!?
「え? 料理と家事かなぁ。あとは戦車見たり」
あー……戦車オタだったなぁそう言えば。
良かったな、これで戦車オタじゃなかったら死んでたぞ朝美。
「私死んでたの!?」
とにかく、それだけじゃあ弱い!
もっと朝美の特技と言うか『凄み』を皆に見せつけてやらないと!!
「今日は真昼元気だね。初めて会ったときみたい」
「結構キャラ違うってよく言われる」
でも今はそうじゃないんだよ! 朝美の『凄み』を見せないとダメだよ!
ほら早く!! なんかやって!!
「え、えぇー!? わ、私に無茶振りしても面白くないよ?」
「でも正子は基本なんでも答えてくれるよ」
「私と正子ちゃんは違うもん……」
この前部活中に「なんか面白いことやってー」って正子に言ったら
「トイレによくいるおじさんの変な声」ってネタをやってきた。しかも妙なハイクオリティ。
なんかさ「ッカァッ、コォァ」みたいなやつ。痰でも絡んでるのかねアレ。
千夜さんにも言ったら「漫才のような事は出来ないが、面白い話ならあるぞ」って言って
なんか戦車の話を始めてた。うん。もちろんよく分からなかった。
微妙な反応の私を見て千夜さんは「朝美は面白がってたんだがな」と不思議そうにしてたっけ。
すみません。戦車はわかんないです。
ちょっと意外性を狙って夕奈さんにも言ったことあるなぁ。
夕奈さんは何か凄いハイテンションで変顔してきた。めっちゃ可愛かった。
「千夜先輩の話面白かったよ! KV-2のやつでしょ?」
「あの長文の感想がそれかよ」
朝美の満面の笑みを見る限り、きっと戦車オタの間では抱腹絶倒のものだったのだろう。
あとどんどん話題がズレて行ってる気がするからそろそろ戻しとこうか。
「あー……なんだ。朝美はさ、特技とかないの?」
途端に困惑する朝美。
「料理とかは趣味だからそんなに上手じゃないし……」
朝美のオムレツめちゃくちゃ美味かったけどね。
「そもそも家事は特技とかの範囲には当てはまらないし……」
でも朝美の家凄い綺麗だよね。
「勉強も運動も微妙だし、楽器とかやってた訳でもないし……」
……うん。
「そこだけフォローしないって事は勉強と運動はホントに微妙なんだね」
や、まぁ……それは置いといて。
んー。でも、今の世の中『普通』の定義が大分乱れてるし
絶対何か持ってると思うんだけどなぁ。
いや、もしかしたら今までの生活の中で何かヒントになりそうな言動があったかもしれない。
ちょっと思い返してみようかな。
「ちょ、ちょっと真昼。見つめすぎだよ……。
あ、もしかしてキス? いいよ! 私目瞑るから……」
「ダメだ、無いわ」
「私とのキスが!?」
え、待って、何の話?
なんで朝美が普通だーって話からキスが出てくんの?
ウチが特技探しの旅に出てる間に何があったのだろう。
「お、みーちゃんとまひるん! 今から帰り?」
「あ、正子ちゃん! うん、ちょっと真昼と話してて……」
廊下から見えたのか、正子が手を振りながら教室に入ってくる。
一応転校生のことは多少話題になってたから、少し教室がざわついた。
そりゃあ、この時期に転校してきたら目立つよなぁ。
でも正子は全く気にする素振りを見せずに笑顔を保っていた。
「なになにー? 何の話してたの?」
「あんにゃ、朝美って普通だなーって」
「普通って言うと?」
「特徴がない」
「あー」
「あー、じゃないよ!!」
転校してきた正子にまで納得されるのはもう相当だよ。
……いや、もう普通なのが特徴?
それって特徴が無いって事だよね?
ん? 特徴が無いのが特徴?
……は?
「待って、ウチの中で朝美が分からなくなってきた」
「一体なにを考えてたの……?」
会議が滞る中、気づけば時間は4時半を過ぎていた。
正直帰ってもやることなんて何もないけれど、折角部活がない日だし
早めに帰って家でダラダラするのもアリかもね。
仕方がないので、この話題は一旦持ち越しすることにした。
喋るのに夢中で支度を何もしていなかったウチは、適当に教科書を詰めて鞄を背負う。
世界史の教科書ってなんでこう無駄に重いのかね。大きいからかさばるんだよ。
2人に合図を送って教室を出ようとしたとき……。
「ま、待ってえええええ!」
「どうしたの朝美」
「え、私じゃないよ?」
「うん、知ってる」
「え」
教室の外から聞こえてきたし。あとこの声の主はクラスメイトだし。
ドタドタと教室に入ってきたと思えば、息を切らしながらウチの手を掴む。
うん。この忙しなさは相変わらず。
「はぁ……はぁ……待って……ホント待って……」
「手掴まれてるから逃げられないよ」
この子は中野だったかな。少し話したことがあるくらいだからよく覚えていない。
ただいつもアクシデントに見舞われてることくらいしか知らない。
部活は演劇部だったっけ。あれ、演劇部って今日活動あるんじゃないの?
「あるよ……だから今ジャージなのよ……」
「あらホント」
「えっと……中野ちゃん、どうしたの?」
朝美の問いかけにハッとした中野は私の手をぶんぶん上下に振る。
「そう! ちょっと助けて欲しいんだけど!!」
「まず離してくれない?」
「うん。えっと、今演劇部では……」
「トークじゃなくてリリース」
「あ、ごめん」
深呼吸で少し落ち着きを取り戻した中野は、さっきよりも穏やかな声で続けた。
「えっと、今演劇部で来月の公演に向けたPR動画を作ってるんだけど……
その動画でナレーターをする2人が今日学校を休んでて!
でもその動画、提出の期限が明日までだから、このままじゃ間に合わないの!」
そりゃあ大変。でもナレーターなら部から代理出せなかったの?
「実は、この動画のナレーター、男性パートと女性パートがあるんだけど……」
「待って、ここ女子高だよね? 男子いなくない?」
ウチが言いたかった事を朝美が言ってくれた。
もしかして、演劇部に変態が紛れ込んでる?
「違う!! 男性パートって言っても、男の子っぽい声ってだけ! 宝塚!!
それで、演劇部に唯一男声を出せる子がいたんだけど、休んじゃって!」
中野のボルテージが上がっている。興奮しているので顔がちょっと赤い。
声も大きくなってきてるし、話すスピードもグングン上がってる。
「役をやってる人はナレーターにはなれなくて……。
その、部長のこだわりなんだけど、最悪妥協するとは言ってたけど
できれば私も役者以外がよかったから……」
さて、そろそろ本題に入ろう。
「だから、その、女性パートは私がやることになったんだけど
二村さんとか、男性パートできないかな……?」
「ウチそんなに低い声出せないよ……」
「長らく空気だったけど、私も無理だよ」
「わ、あなたもしかして転校生の……」
「七河正子! よろしく!」
「あ、よろしくね……って! それどころじゃなくて!!」
うわぁ、慌ててるなぁ。
うーん……。まぁでも、一応台本だけでも見ておきたいな。
もしかしたら、ホントもしかしたらできるかもしれない。
それを中野に言うと、分かりやすく表情が輝いた。
「じゃ、じゃあ! 今すぐ案内するから! こっち!!」
中野は案内すると言っておいて全力疾走だった。
慌てすぎだよ……。
ちなみに、結構足遅かった。
・
・
・
「木下先輩! 連れてきました!!」
体育館の扉をバァーンと勢いよく開ける。
珍しく、バスケ部やバドミントン部の姿はなく、ステージ付近に演劇部が何人かいるくらいで
体育館はかなりがらんとしていた。放課後でここまで人がいない体育館も中々ないよね。
中野の声を聞いて、ステージに立っていた人が1人こちらに向かって走ってくる。
……ちょっと待て。なんだあの衣装。
何がどうなって甲冑に翼が生えてるんだ。
「おう……そこの3人?」
「はい! いや、決まったわけじゃないんですけど、台本を見せようと思って……」
「あー、なるほど。ごめんね、持たせておけばよかった」
声がくぐもってて聞こえづらい。
甲冑の戦士は顔に手を突っ込むと、台本を取り出して中野に渡した。
待って、どこから出したのそれ。
「はい、二村さん。どう?」
ツッコミは無しかよ!?
「……初めまして。私は演劇部で部長してます、木下です。
えー、できそう?」
木下さんは甲冑を外さないで自己紹介をした。
名前は分かりましたけど……。
「……すみません。やっぱ難しそうですわ」
「そっか……えっと、七河さんも?」
「私は低い声自体が難しいかな……」
中野は漫画みたいにがっくりした表情になった。
木下さんも手詰まりと言わんばかりに腕を組んで唸っている。
多分、最悪木下さんがナレーターをするんだと思う。声がちょっと男性っぽいし。
誰もが諦めかけていたそのとき。
希望は突然やってきた。
「あのー……」
「え?」
「わ、私……やってみていいかな?」
申し訳なさそうに立候補したのは、ビバ普通の朝美だった。
ちょ、待て待て。普通の女子の朝美には無理だって。
「そのくだりまだ続いてたんだ……」
「えっと、朝美……さん? 大丈夫なの?」
木下さんも驚きを隠せない様子だった。顔見えないけど。
「はい! えっと、中学の時に友達から声低いねーって言われたことがあるので!」
それだけかよ!! くそ、可愛いなこいつ!!
無邪気な朝美の笑顔が返って怖い!!
「ホント!? なら安心だね!!」
中野は見境がなくなっている!!!
「まぁ……とりあえず、やってみるか!
ある程度ならボイスチェンジャーで誤魔化せるし、平気だろ!」
木下さんは思い切りが良すぎる!! もうなんだよこれ!!
「じゃあ、はい! これ台本」
「ありがとう! じゃ、行ってくるね!」
もうウチと正子は手を振って見送るしかなかった。
朝美のナレーション(中学時代の友人お墨付き)で、この現場はどんな空気になるだろう。
どうやら、ステージで実際に演技をしながらナレーションを挟むらしい。
そうか。だから役者以外を希望してたんだね。納得。
ちょうどその後、朝美と中野がマイクを持って放送室へと入っていくのが見えた。
うーん。なんかちょっと緊張してきたぞ。
衣装を着た役者たちがステージに上がり、準備を始める。
「あー、あー、マイクテス、マイクテス」
中野の声がスピーカー越しに聞こえてきた。はーい、良好ですよー。
「マイクテス、マイクテッ……ガタッ、ゴンッ!!」
朝美の声がスピーカー越しに聞こえてきた。 With雑音。
「ご、ごめん中野さん。落としちゃった……」
「だ、大丈夫?」
マイクが会話拾っちゃってるよ……。
「なんか、不安になってきた……」
「大丈夫でしょ! ボイスチェンジャー使えるなら行けるって!」
正子は楽観的に言うけどね。ボイスチェンジャーって違和感凄いじゃん。
こう、不自然なくらい高くなったり低くなったりするし……。
演劇のことは分からないけど、そういうのってバレない?
こう、この道40年!! 的な人とかが出てきて
「この声は人間じゃねぇ!」とか言い出すんじゃないの?
「うーん、でも、物音とか出さなければ案外分からないらしいよ?」
「そうなん?」
「深雪にやってもらったけど違和感あまり無かったよ。
まぁ調整次第って感じかも。極端に下げたら違和感あると思うし……。
ほら、女性特有の喋り方とかあるじゃん?」
納得できる意見だったけれど、ウチはどっちかと言うと
深雪にボイスチェンジャー使った事の方が興味あるよ。
「はーい! じゃあ始めるよー!」
木下さんの声は入口付近にいた私と正子のところまでハッキリ聞こえた。
せっかくだから収録現場を見ていこうかな。
正子も同じことを考えていたらしく、2人でカメラに映らない所まで近づいた。
うん。ここなら役者1人1人の顔が見える。
「いきまーす! 3……2……1……はい!」
カメラ係の子が大きな声で合図を送る。
すると、ステージに立っていた人全員の目つきが変わった。
サバサバしたボーイッシュ女子から、一瞬で英国の王子様へと早変わり。
……いや、これ英国って設定なのかも分からないけど。
と言うかそもそも木下さん兜のせいで顔見えないんだけど。
お姫様のような衣装を着た女子がステージの端から登場すると
「湖の畔で姫は怪我をした王子を見つけました。
顔を見せない王子に、姫は疑問を抱きます」
いよいよナレーションが始まった。この声は中野だな。
ステージの上の2人はナレーションに合わせてセリフを言い始める。
凄いなぁ……素人からしたら相当上手に見えるよ。
木下さんの声は先ほどよりも低く、完全に宝塚状態。
姫様の方も役とは思えない程に気品が溢れる立ち居振る舞い。
ウチの知らない所でこんなことが……。
「あれ、まひるん知らない? 大瑠璃の演劇部ってかなり有名なんだよ」
「うっそ」
カメラが拾わないように正子は小声で衝撃の事実を言う。
まぁBGMとかセリフとかがあるからよほど大声じゃないと拾わないと思うけど。
「私が前いた高校でも話題になってたんだよー。
部員少ないのにクオリティが高いって」
まぁ……確かに部員は少ないかも。チラホラとしか人がいないし。
でもその割に機械類とか小道具のクオリティが高い気がするんだけど……。
ウチの学校そんなにお金あったっけ?
「あ、まひるん。そろそろ朝美パートだよ」
「なんで台本持ってんの?」
「あちらのお客様から」
正子の視線の先にいたのはカメラ係の子。こちらを見て優しく手を振ってくれている。
馴染んでるなぁ正子さん。とりあえず手は振り返しておこう。
「えっと……ほらここ、木下さんと姫さんがフェードアウトしたらすぐ」
おお。ホントだ。とか話している間にステージの2人は端に消えていた。
背景の湖が……ってか凄いな。背景映像じゃん。その映像を切り替えると
そこは荒野になっていた。BGMも人々の叫び声に変わる。戦争の場面だろうか。
端から甲冑を身にまとった騎士が3人、勢いよく登場する。反対からは1人の騎士。
顔が見えないけれどさっきと同じ鎧だし、多分木下さん。ってか王子。
暫く3対1の戦闘が続いていたが、3人の中の1人が、王子の鎧の隙間から剣で刺す。
うっわ、アレ大丈夫? 貫いてはいないけど、傍から見たら普通に殺されてる絵面なんだけど。
って、ちょっとハラハラしていると、次の声で忘れかけていた事を思い出した。
「王子は……無事だった!
姫からもらったペンダントが、ちょうど盾となり護っていたのだ!」
と言う。全く違和感を感じない『男性』のナレーション。
そう。これは朝美が担当しているパートだったのだ。
「おお!? 今完璧に男の子だったよね!?」
「……凄いな、違和感が全くなかった。正子の言うことは本当だったんだね」
カメラから離れて話す。正子は頷きながらステージを見る。
「でも、みーちゃんも凄いねぇ。ぶっつけなのにしっかり対応してる」
「そう言えば……。朝美の特技、これかもね」
「ナレーション?」
「と言うか、順応力かな」
「なるほどー……」
その後は収録が終わるまで、2人で何となく演劇を見ていた。
あまり演劇は見ないけど、こう言うのも良いなって思ったね。
ドラマとかとは違う迫力があって、凄い面白かった。
王子の最後のセリフが終わり、ナレーションのまとめが終わると
迫真の演技を見せてくれた役者たちがステージに並び、お辞儀をする。
それに合わせてゆっくりと垂れ幕が下がり、カメラの子が録画を終了する。
その瞬間、体育館の雰囲気は一気にゆるくなった。
「お疲れ様~。ちゃんと撮れてる?」
姫様役の女の子がカメラの子と一緒に映像を確認する。
そして顔を見合わせると、カメラの子が笑顔で
「無事に撮れました! お疲れ様でしたー!」
体育館は部員たちの歓声で包まれた。声量ハンパない。
放送室からは朝美と中野が出てくる。2人もお疲れ様、だね。
「真昼! 正子ちゃん! 私どうだった!?」
「うん。よく出来てたよ」
「みーちゃん凄い順応力だねーって話してたんだよ~」
「ホント? 嬉しい!」
普段からこんな感じならなぁ。今の朝美は人気投票とかで
ほぼ必ず1位になるパターンのヒロインみたいだよ。
「中野もお疲れ様。やっぱり凄いねー」
「あ、ありがと! でも一ノ瀬さん凄いね! だって……」
「おー! 2人とも! お疲れ、良かったよ!」
1人の女性が鎧を着たままこちらに走ってくる。
あれ、この人、もしかして……。
「うん。そう言えば顔見せてなかったっけ。木下だよ!」
うわぁ……声から想像してた以上のイケメン。
ホントにいるんだなぁこう言う人。
「朝美だっけ? 君凄いね! おかげで助かったよ!」
「いやそんな……ふへぇえ……」
朝美は顔を真っ赤にしてウチの背中に隠れる。
あぁ。照れの限界来ちゃった。
「いやー。でも凄いですね。ボイスチェンジャー感全く無かったですよ」
「な! 私も演技しながら驚いたよ! 実は使ってないんじゃないの~?」
「ははは、またまたー。朝美はそんな低い声出せませんって」
「いや……一ノ瀬さんボイスチェンジャー使ってませんよ」
1分くらいの間。
は?
「結。冗談?」
「ノー冗談、です」
全員が朝美を見る。朝美はとぼけた顔をする。ウチチョップ。
「あいたぁ!?」
「朝美……ホントにあれ自分で出したの?」
「いてて……だから、最初に言ったじゃん……」
いや、レベルが違いすぎるわ……。
「……凄いな。ねぇ朝美。君演劇部入らない? どう?」
木下さんは目の色を変えてスカウトし始める。
でも朝美は遠慮がちに首を横に振った。
「ごめんなさい……弓道部に入ってて……」
「そっかぁ……物凄い逸材だったんだけど、残念!」
木下さんは軽く伸びをすると、ウチらの方に向き直って
「とにかく! ホントにありがとう! 君たちは大瑠璃演劇部の救世主だよ!」
「あ、ありがとう!」
2人から改めてお礼を言われる。ウチと正子は何もしてないけど……。
まぁ、有名な大瑠璃演劇部の助けになったなら、ウチとしても光栄だね。
「もしまた何かあったら……お願いしていいかな?」
「はい! 私も楽しかったので……!」
木下さんと朝美は何かの同盟を結んだっぽい。
片付けなら手伝おうと思ったけど、このあとは会議をするらしいので
邪魔にならないように帰ることにした。あ、朝美も一緒ね。
「しかし、朝美にあんな特技があったとは……言ってくれれば良かったのに……」
「えへへ……自分だとわかりづらいんだよ?」
「でも、みーちゃんの新しい一面が見れて良かった!
私まだみーちゃんのことよく知らないから、もっと知りたいなー」
「わ、私のことって言っても、何もないよ?」
「朝美は普通だもんね」
「まだ言うのそれ!?」
そんな、放課後。
【モブ図鑑Vol.1】
中野 結
D組 1年生
演劇部。朝美や真昼と同じクラス。裏方や道具制作をしている。
いつもアクシデントに見舞われるけど懸命に生きてる。
木下 泉
D組 2年生
演劇部部長。ボーイッシュで思い立ったらすぐ行動する。
だが女役も男役もしっかり分けてこなせるので役の幅はとても広い。




