女神様はなにげにヒドイ
女神様と直接お話しが出来るなんてまたとない機会ですよね
それなら、色々聞いてみましょう。まずは…
教えてください女神様。どうして私の願いを聞いてくださったのですか?
「あなた、一日も欠かさず私に祈りを捧げてくれてたでしょう。それも私の好物を供えて。だからよ」
えっ、それだけで?
「まあ、大体そういうもんよ。神様ってのは基本気まぐれだからね、なんか久し振りに『人間の願いでも聞いてみようかな』って気分の時にあなたの声が聞こえてきたのよ」
…… そんないいかg、ゴホゴホ!
それは、ありがとうございます
ですが、全然うまくいかなかったですけどね
「だね。これだけやり直してダメなんて珍しい」
女神様が悪ふざけをされていたわけでは…
「失礼ね! そんなこと、してないわよ」
ですよね。ということは、私が全て台無しにしているんだ
私、やっぱり恋愛にむいていないんですね。よく分かりました
女神様、お願いします。転生はもう終わりにしてくださいませ
「えっ、諦めちゃうの? 私の精神を直撃するくらいの願いだったのに…」
だって、何回やってもダメじゃないですか。さすがに心がポッキリ折れました
「えーっ! あなたのドタバタ恋愛劇、見ていて楽しかったのに」
…… (じと目)
「はっ!! えー、あー、コホン。やだなぁ、冗談よ、ジョーダン」
いえ、いいんです。私だってこれが他人事なら絶対笑い転げております
ですから、怒ってなどおりません。むしろ、私のお馬鹿行動で女神様の無聊をお慰め出来たのなら、幸いだと思っております
「ホント、ごめんて。そんな拗ねないで、機嫌直してよ。その代わりトップシークレットを教えてあげるから」
トップシークレット?
「そうよ。驚かないでね。実は今まであなたが経験してきたことは転生ではないのよ」
…… 女神様
ものすごく厳かに重大秘密を打ち明けたように仰ってますけど、私、気付いておりましたよ、こんなの転生じゃないって
そして今ハッキリしました。やっぱり私のことおもちゃにしていましたよね!
「だーかーらー。もう最後までちゃんと聞いてよね! あなたは… リーゼは今死の淵をさまよっているけど、まだ生きているのよ」
ああ、そういえばさっき聞いたような。確か、女神様の力でかろうじてこの世に繋がってるとかなんとか
「つまり、今の状態では転生出来ないけどあなたの願いがあまりに切実だったから、せめて恋愛疑似体験をさせてあげようと、私の持てる力を尽くして過去の出来事に意識だけ飛ばしてあげたのよ。すごいでしょ、私!」
それって、する必要があったんでしょうか
天に召された後、普通に転生させても良かったのでは?
結局は女神様の退屈しのぎにされったてことですかね
えっ、ちょっと待ってください。過去の出来事って、これって過去にあったことなの? 未来じゃなくて?
「そうよ。過去といっても、まだ十年くらいしか経ってないわよ。リーゼは知らなかったの? 当時すごい話題だったんだけど。王太子のお妃選び」
知らなかったです
逆算するとその時私は十歳くらいだから、まだ王宮勤めをしていません
だからその頃私はド田舎で暮してまして、王都での出来事なんてこれっぽっちも耳に入ってこない状況で…
えー!! ちょ、ちょ、ちょっと待ってください。王太子アルトゥール様って国王陛下のことですよね。そのお妃様はカタリーナ様。つまりベアトリーチェもエミーリアもダメだったってことじゃないですか。どんなに私が頑張ってもうまくいくわけないじゃない! どーゆーことですか、女神様!
「だって、リーゼが願ったんじゃない。金髪碧眼になりたいって。カタリーナは栗毛に鳶色の瞳だから対象外」
それは、そうだけど…
「それに、いくら私でも過去の出来事に介入するのは御法度。だからあれは私が作り出した仮想世界なんだよ。設定や登場人物は実在のものと一緒だけど、舞台は作り物。あの5人の候補者の内なら誰になっても恋が出来た。つまり、あなた次第でストーリーが変わっていくの。実際そうだったでしょ」
そういえば、そうでした
どの人生も私のとった行動で展開がみんな違っていった
けれど、どれもみんなバッドエンドで、結局私の願いは叶えられなかった
「あら、それはリーゼが悪いのよ。あなたが望みを叶えようとしなかったんだから、うまくいくわけないじゃない」
私のせい?
私、一生懸命頑張ったと思うけど
「だから、頑張る方向が違っているのよ。思い出してみて。あなたは何を望み、何を願ったの?」
私の望み?
私は大恋愛がしてみたいと
「そうよ、それそれ! だけど実際あなたがやっていた事は、王太子妃に選ばれるため他の候補と競うことだったでしょ。願ったことと全然違うじゃない」
そうか、私って本当に馬鹿
私の願いはお妃に選ばれることじゃなかった
そんなことなど気にせずに、私なりに王太子殿下を愛すればよかったんだ
それで、私の願いは十分果たされたんだ…
「そっ、やっと気付いてくれた。まったく世話の焼ける人ね… それでね、リーゼ。私、あなたのこととても気に入ってるの。いつも私の好きなお花を供えてくれてたし、今回は色々楽しませてくれたしね。だから、最後にもう一度だけチャンスをあげる。今度は間違えないでよ」
本当ですか、女神様
ありがとうございます。とっても嬉しい
「それと、もう一つ御節介。あなたが好きな人はアルトゥールでいいのかな」




