要塞国ラサーイ王国
「おお、さすがは要塞国ラサーイ王国だな。」
あれから数時間、目的地へ無事到達できた。
目の前に立つ城壁に圧倒されてしまった。恐らく壁全体がオリエンテルでできているだろう。いたるところに最新式の大砲や対空砲まである。
ラサーイ王国は軍事国家であり、魔族との対立時に大きな貢献をしたことからアルクネス王国との姉妹提携を結んでいる。
そしてここに住むアルサーイ族は戦闘好きな一面で有名である。若い頃から武術を嗜み、多くのSランク騎士を生み出している。ちなみに現国王もSランク騎士の資格を持っている。各国の国王親衛隊や護衛隊のほとんどがラサーイ王国の出身である。
今でも、赤い闘牛の国旗をみたら降伏しろ。なんて言葉が残ってる。
「ふぇ〜、ここで盗みをはたらくのをやめようかな。」
そもそも軍事国家なのでお宝と言ったら最新兵器や機密情報ぐらいしかない。仮に盗もうなんて考えたらそりゃー末恐ろしい。空を飛んで逃げようものなら対空砲で撃ち抜かれ、陸からはSランク騎士達が追ってくる。
「とりあえず入国して、コロシアムに申し込むか。」
やはり、軍事国家だけあって入国審査も最新式だ。おれが言ったほとんどの国は番兵が見張り証明書をみけるだけなんだが…
「指紋問題なし、網膜スキャンパス、顔本人と断定。細菌及び病原菌の感染なし。通行許可。少しお疲れでしょうからやすんでください。」
と言って勝手に確認してくれるのだ。最後のはいらんと思うけど……
ゴゴゴゴ……
分厚い扉が開いた。入国完了!!
「さぁーて、コロシアムの受付には時間があるから飯でも食べようかな。」
朝から何にも食べてないから腹が減ってしょうがない。
「どっかいいお店ないかな〜。」
入り口に置いてあった。パンフレットを広げてみた。
「えっと、ジャンク玩具店、シャルタ雑貨、天空の城、地獄門……武器屋ばっかじゃん!!」
やはり軍事国家だけあって武器屋がぞろぞろと揃ってるな。有名なチェーン店や高級玩具店が沢山揃ってる。素質も平均がAランクだから競争率が半端ない。
辺りを見回しても観光客より、冒険者、賞金稼ぎ、商人などがたくさんだ。ちょうどおれも武器が欲しいからなんか買おうかな。
「て、その前に飯屋探さないと。」
探すこと数分……
「あった!!何々……炎の番人店?辛そうな料理を出しそうだな。」
まぁーとりあえず行ってみることにした。辛いものはそこまで苦手じゃないけど……まぁー美味しければいいか。
数分後……
歩いていてきずいた事がある。
「あいつ知ってるぞ。確か……指名手配されてる……」
指名手配されてるもの達が沢山いたのだ。この国では特に犯罪者でも自国で問題を起こさなければ問題ないとされているし、場内での決闘は禁止されてるのもある。
恐らくこいつらはバトルコロシアムにエントリーしに来たのだろう。こいつらのほとんどは殺人鬼だから、コロシアムでの決闘での死亡は事故死となるからだろう。人を殺す事に甲斐感を覚えてしまったのだろう。
でもこの国はこいつらよりも強い騎士達がうようよいるからなんとかなってるだろう。そうじゃなかったら大量に虐殺されてるよ。
まぁー俺にはかなわないだろうがな。
そんな事を考えてる内に飯屋へ着いた。
カランコロン
「いらっしゃい!!」
お、かなり賑わってるな。少し期待ができてきたぞ。
俺はカウンターに座る。
「ご注文は何にする?」
そうだな……とりあえず腹が減ってるから……
「とりあえず腹が減ってるから何かオススメをください。あと、ドヘムマンゴージュースを一つ。」
「はいよ!!少し待ってーな。」
ドヘムマンゴーは暖かい地域でしか育たないのでこれまでは輸入で頼っていたが、ここの国がとある兵器を改良して、一年中栽培できる方法を見つけ出したのだ。本場とほぼ変わらない味を再現できているとか。
この国は軍事力とともに科学力もすごい。恐らく兵器の開発が科学力を発展させたのだろう。
アルサーイ族は身体能力はすごいが魔力が乏しいかったのが理由でもあるのだろう。
「はいよ!!当店自慢のアルリニンニクの炒飯だーよ!!」
ドン!!
おー!!うまそう!!量もたくさんで食べ応えがありそう。
「いただきます!!」
はむっ
「!?」
な、なんて強烈なニンニクの香りなんだ!!だけ嫌じゃない。ご飯はパラパラでお肉もしっかりと味が付いている。パンチの効いたスパイスがたまんない!!
「美味い!!」
これはかきこまずにはいられない!!そして、気づいた時には無くなっていた。
「おかわり!!あと、カリールベアーの角煮を。」
「はいよ!!」
カリールベアーは体調が5メートルはある巨大グマで肉は硬くて食えやしないのだが、数時間煮る事で格段に柔らかくなるのだ。
「はいよ!!おかわりと角煮をいっちょ!!」
「うほーー♡」
天国だ!!角煮もしっかりと味も付いていてとても柔らかい。口の中で一瞬で溶けた。これはもう飲める!!
「ふぅ、ごちそうさま!!」
あれからまたおかわりしてしまった。だって美味しんだもん!!あと、お持ち帰りもできるらしいから炒飯と角煮をもらおう。
「マスター、お勘定!!あとお土産でさっきの炒飯と角煮を頼む。」
「はいよ!!お会計5680ルソーね。あと、お土産ね。」
安い!!ここは当たりだ!!俺の行くとこはほとんどが当たりで運がいいわ。美食の神に愛されてるのかな?
「あんがとよあんちゃん。また来てやー。」
こうして俺は店を出た。
「ふぅ、腹はいっぱいになったし。さて、コロシアムの申請にでも行こうかな。」
そろそろ締め切りだから早く行かないと。
俺は急いでコロシアムへと向かった。なんかなきゃいいけど。
数分後、コロシアムへ到達。
コロシアムには長蛇の列ができていた。バトルコロシアムの開催は明日だから恐らく全員参戦者だろう。おお、ローブを被った怪しいやつや、筋肉むきむきの居館男。あ、騎士までいる。あの豪華な装飾が施された鎧は恐らくSランク騎士か。
「はーい、次の方どうぞ。」
おっと。俺の番か。
「まずこちらにサインをお願いします。」
紙を手渡されてサインを書く。何々病院送りや死んでも我々わ一切責任を取りません。なるほど。今更引き下がる訳にもいかんしな。
おれはサインした。
「はい、アスタ様ですね。では、参加費1500ルソーをいただきます。」
言われた通りの金額を渡す。
「はい、確かにお支払いを確認しました。アスタ様はエントリーナンバー258番となっております。当日はこのゼッケンをつけてお入りください。」
258番とでかい数字で書かれたゼッケンを渡された。なるほどあとで縫うか。
用が済んだので帰ろうとすると……
「おい、坊主。少し待ちな!!」
突然巨漢な男に話しかけられた。
「何ですか?」
「おめえさんも参加すんだって?チビはおとなしくママのおっぱいでもしゃぶるのが似合ってんだよ!!死にたくなければとっとと退会届けだしな!!」
はい出ましたよ。こういうウゼー糞虫が。とりあえずむしっとくか。
「無視かてめーごら !?」
相手にしない相手にしない。
すぐに出て行こうとしたら男が突然目の前に現れた。見かけによらずはえーな。
「このガキ!!少し教育をしてやるよ!!」
はぁー面倒くさいが参戦者が1人減るだけだからいいか。
おれは、覚悟を決めて男を殴ろうかと思った時……
「やめろ。ここでの戦闘は禁止されてるのを知らないのか?」
どうやら見かねた騎士が来てくれたようだ。
「け、うっせーな!!俺は教育を……」
「もう一度言わせる気か?」
騎士はこれでもかってくらいの威圧をかけてきた。
こいつ!!Sランクどころの騎士じゃない!!
あまりの威圧に男は……
「わ、わかったよ。おい、ガキ。今日のところは勘弁してやるよ。」
完全に怯えてるじゃん。
男は逃げるように立ち去ってしまった。
「大丈夫だっかい?」
「あ、はい。ありがとうございます。それとあなたは……」
「ああ、私は王族親衛隊隊長フィートだ。」
王族親衛隊隊長ときたか。ならあの威圧はおかしくない訳だ。ん?まてよこの人ゼッケン持ってるぞ?もしかして……
「はは、私もこの大会が好きでね。勧誘と暇つぶしを兼ねて参加するんだ。」
なるほどね。でも暇つぶしで来て欲しくはないな。
「見た所、君も参加するようだが…悪いことは言わないからあの男の言う通りかもしれないよ?」
「わかってます。自分の実力を確かめたくて参加しました。」
本当はルーペン行きチケットが欲しいんだけど。
「そうか。でも危なくなったら逃げるんだよ?範囲ゾーンから出ればリタイヤできるから。」
「わかりました。肝に命じます。」
「ふふ、君と戦えるといいな。おっと、私は仕事があるから戻るよ。」
「はい、頑張ってください。」
冗談じゃないよ!!下手したらこのコロシアム壊れちゃうんじゃ……まぁーいいか。弁償はしなくてもよさそうだから。
「よーし、明日は暴れるか!!」
自分に喝を入れて今日はもう寝ることにした。
「あ、宿とってなかった……」
その前にひと頑張りしないといけないようだ。
ことごとく面倒なことが増えてますね。さて、隊長相手に勝てるのでしょうか?次回大会の始まります。お楽しみ!!