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あぁ〜やっちゃった。

ちなみに王女の顔に書いたのは、まつ毛をイモトアヤコ風にぬり、ほっぺを赤く塗って髭を書いて、おでこに肉と書きました。そりゃーおこるよね。

「ファイヤーボール!!」


男たちがそう唱えると杖から赤い火の玉が出てくる。それが一つ一つ集まりやがて巨大な火の玉へとなる。


「いくらあなたといえどもこれ程の魔力を食らえばひとたまりもないでしょう?」


ファイヤーボール自体は初級レベルの魔法なので大したことはない。魔法学校なのでも最初あたりから習うことが多い。


暑さはというと、ご飯を温める程度くらいだが……ここまで巨大だとどうなるかわからない。


「弱ったな……こりゃー」


避けれるには避けれるんだが……なんせここは城下町の中でも生粋の住宅地でもある。よければ被害は甚大ではない。


「今なら間に合いますよ?おとなしく渡して頂くならですけど。」


笑不気味な笑みを浮かべながら交渉を持ちかけてくる。嘘に決まってる。証拠隠滅のために殺す気満々だろ。


だから……


「いいだろう。……渡してやるよ。」

「お察しが早いようで。」

「ただし!!」

「 !? 」

「こうしてな!!」


俺は手を高く上げ……


「ふん!!」


月の涙を地面になぎつけた。


パキーン!!


「何てことを!!」


その勢いで月の涙は粉々になってしまった。


すると……


ピカー!!


とんでもない量の魔力が放出され周りに閃光が走る。


「し、しまった!!全員逃げ……」


ドサドサドサドサドサ。


リーダーを含め魔術師たちは全員気絶してしまった。いわいる魔力酔いというやつだ。


魔力酔いは強い魔力によって身体が耐えきれずに気絶してしまうことだ。魔力に慣れていないものがよくなりやすい。恐らくこの魔術師たちは相当な手慣れだろうがこの月の涙は想定内の魔力だったということだ。番兵のいった通り。触るだけでも気絶するというのは嘘ではないかもしれない。


ならおれはどうして気絶しないかというと、サングラスをしているからだ。


実は魔力酔いのほとんどの原因は魔力の爆発によるものだ。魔力を閉じ込める物体が耐えきることができずに爆発することがある。それを触れるのではなく見てしまうことで魔力酔いを起こすのである。だから気持ち悪くなったりするわけではなく、気絶するのである。


今回は特別なサングラスで完全に魔力をカットしたので大丈夫である。


「とりあえず……捕縛しておくか。」


数が沢山いるので全員縛るのにかなりの時間がかかった。


それにしても…-


「こいつらは一体何者なんだ?」


自己紹介もしないまま交渉……というより脅しをしてきたのだ。断ったら襲ってきやがった。


「しゃーない。ちょっと失礼して……」


おれは懐を漁ることにした。


数分後……。


「これといった物はなさそうだな。」


何かの信者かな?と思ったが特に目立つようなものがない。信者とかなら必ず同じものを持ってたり、体になんらかの紋様が刻まれたりしてることがある。だが今回はそれがない。


「盗賊にしては……用意がよすぎるしな。」


今まで盗賊にあったことはあるが、ほとんどは道でばったり会ってしまうのがほとんどだった。


あとは使ってる武器もそうだ。杖なんて最低でも15万ルソーはする。でもこいつらが使ってるのはかなりの技ものだ。細かい装飾が施され、クリスタルまでもが付いている。盗賊にしては金持ちすぎる。


「まぁーいいか。」


これ以上考えてもあれだから無視することにした。それにしても……


「もったいないことしちゃったな……」


粉々になった月の涙を集めている。助かるためやったことなどで文句は言えない。


「これじゃー価値は無いに等しいな。」


一枚一枚集めてもミリ単位なので売ったとしてもそれほどにはならない。


「んー、これじゃー厳しいな……」


旅をするにはたくさんの金がいる。食料も尽きているから買わなくてはならない。最低でも2週間分は。


「何か売れるものは他に……お!?」


おれは気づいた。


「こいつらの着てる服……よく見たら細かいところに金箔が貼られてるな。」


黒ローブの中身は豪華な衣装だった。


「邪魔をしたからこれくらいはいいよね?」


おれは魔術師全員の服装を奪った。もちろん全員裸だ。ついでに杖を頂きました。


「これなら当分は大丈夫だろう。問題は……」


粉々になった月の涙である。捨てるにはもったいないし……


「そうだ!!」


おれはいいことを思いついたのでその場を去った。



翌日。


おれは鍛冶屋に来ていた。


「すいませーん!!」

「いらっしゃい。どのようなご用件で?」

「このダイヤを加工してほしんですが、できますか?」

「はいできますよ。どのように加工致しますか?」

「ペンダントにしてください。チェーンの部分はこの杖を使ってください。」

「かしこまりました。お時間は4時間ほどかかりますがよろしいでしょうか?」

「ああ、問題ありません。」

「ありがとうございます。加工費は10万ルソーでございます。」


おれは言われた通りの金額を出した。


「はい、確かに承りました。では4時間後にまたお越しくださいませ。その際はこちらのカードをお持ちください。」


おれはカードらしき物を渡された。証明書みたいな物か。


「わかりました。期待してます。」


こうして俺は店を出た。そして次に向かうのは……


「あいよ、いらっしゃい!!いい武器があるよ!!」


武器屋である。魔術師どもから奪った杖や服を売りに来たのだ。


「すみませーん。」

「はいよ!!どういったご用件で?」

「武器を買い取ってほしんですが……できますか?」

「買取ね。了解!!品をみせな。」


いやれた通りに俺は品を並べた。


「ほう。こりゃいい物だな。」

「できれば高く買い取ってもらいたいんだが……」

「杖は全部合わせて合計250万ルソーだな。服はおまけして120万ルソーだ。」


以外に高かった。


「この杖は一級品だからな。あとは服についてはミセスタウルスの皮でできているからな。」


ミセスタウルス。全身が黒い皮で覆われているカエルよような姿だ。魔術が通じないことで有名な動物だ。


「よし、ならそれで。」

「はいよ。合計で370万ルソーだ。受け取りな。」

「カードで受け取りたいんですができます?」

「はいよ振り込みね。いくらにする?」

「350万ルソーで。」

「はいよ、少し待ってな。」


この世界には銀行カードシステムがある。登録すればカードが配られ、支払いもこれで済ませることができる。残高などもわかる。


しかし、場所によっては使えないところもあるので現金は幾らかは必要だ。


「はいよ。残りの20万ルソーね。」


確認し、問題がなかったので受け取った。


「あと、短剣と毛布、手袋とローブをくれ。」

「はいよ。合計で1万5000ルソーね。」

「これで。」

「はいよ、ちょうどだね。あんがとよ。」


目的は果たしたので武器屋から去ることにした。


残りはまだ2時間近くある。


何か暇つぶしになりそうな物はないかと考えていると……


「映画か……」


映画館を見つけた。確かに映画なら時間を潰すことができる。


「なにがやってるのかな?」


公開中の映画を調べてみた。


アンデットルール、月の乙女と太陽の王子、

勇者ザールの大冒険、魔対戦日記その他諸々。


「お、月の乙女と太陽の王子がやってるのか!?」


こな作品は恋人と見たい作品で堂々の一位なんだよね。(恋人といないけど。)禁断の恋を描いた作品だそうだ。


「よし、これにするか。」


上映時間は2時間とちょっとだ。ちょうどいい。


「月の乙女と太陽の王子のチケットを一つ。」

「はい。合計で1750ルソーです。」


以外と安いな。


「はい、確かに受け取りました。お客様の座席は25番となっております。こちらを曲がって右の3番ホールでございます。」


言われた通りにいってみたんだが……


「ねぇ?私達結婚できるのかしら?」

「ああ、絶対に親父さんを納得させるよ。」


「わぁーすごい!!前からこの映画見たかったんだよね!!本当にありがとう!!」

「これくらいは当然さ。」


カップルばっかだ!!その中で一人の俺はというと……


「ねぇ?あいつ一人なのか?」

「しー!!そういうことは言わないの!!」


などとすっごい目立ってる。そうですよ!!私は彼女いない歴=年齢ですよ!!


一瞬、あいつらから財布スってやろうかと思ったが映画がもうすぐ始まるからやめた。運が良かったな。


ブーン


「お、始まるみたいだな。」


辺りが暗くなっていき。スクリーンが出てくる。


3、2、1、スタート!!


ムービーがながれた。


そして2時間後……


「あー面白かったな。」


映画を見終えた俺は鍛冶屋へと向かう。


「それにしても……あの女優可愛かったな……」


月の乙女役である女優オールース・ベラールの演技はすごかった。あれでまだ学生というのだから。驚きだ。


「今度会ってみようかな……」


すっかり虜になっていた。


「……て、それよりペンダントだ。」


どんな風に仕上がっているか楽しみである。


そして鍛冶屋に着いた。


「すみませーん。先ほどのものですけど。」


俺はカードを出し店員を呼び出した。


「はい!!あ、先ほどのお客様ですか……商品は出来上がってますのでこちらへ。」


店員に案内されてとある部屋へ入る。


「えっと、こちらが完成したペンダントでございます。」

「ん、どれどれ。」


箱を開けると中には月の涙をはめたペンダントができていた。とても美しい。


「言われた通り、笑顔をイメージして作らせてもらいましたが……どうでしょか?」

「ああ、問題ないくらい素晴らしいです。」

「ありがとうございます。」

「これは、おまけです。」


そう言って俺は月の涙の欠片の中で一番大きいものを店員に渡した。


「え!?いいんですか?こんなすごいものを」


店員は驚いている。当たり前か。


「これにはそれほどの価値があるってことで。」


「ありがとうございます。」


店員は深々と頭を下げた。


「んじゃ俺はこれで。」

「ありがとうございました。またお越しくださいませ。」


鍛冶屋を出た俺はとある場所へ向かっていった。辺りはもう暗く、ほとんどの店が閉まってる。


そして目的地につき、そぉーと忍び寄る。そして窓から家の中に入った。


「これはお礼です。受け取ってください。」


可愛い娘を寝かせながら寝ている母親の隣にそっとペンダントを置いた。


「……アスタお兄ちゃん……」


一瞬呼ばれたのでドッキ!!としたが寝言のようだった。


「たくさん寝て、たくさん学んで、いい子に育つんだよ。アルーラちゃん。」


そっと頭を撫でてやる。


「……えへへへ」


笑ってる。どうやら嬉しそうだ。


「また、会おうね。」


こうして俺は家から出て行った。


「待たせたなリッキー。いま出発するぞ。」


バイクである、相棒のリッキー今回は少しまたしすぎたな。


ブーンブンブン。


どうやら気にしてないようだ。


「いい子だなリッキー。」


ブロロロロ


決して話しているわけではないがエンジンの調子でなんとなくわかるのだ。


「さて…次はどうしようかな……おっ!?」


と考えている一枚の新聞が飛んできた。


「何々・・・深海国ルーペンでネプチューンの宝石ブルーシーが発見か……」


深海国ルーペンは名の通り深海にある。そのため専用の潜水艦でした行くことができない。だから逃走の時に困る。だけど……


「深海国の深海魚は美味だって言うからな〜。よし、決めた。今度の狙いはブルーシーだ!!」


そうと決まっては予告状を出さなくてはならない。


そうと決まった俺は街の看板に予告状を貼った。


「よし、これでオッケー。さて出発するか。」


ブロロロロ


バイクで勢いよく街を出た。


「いい街だったな。」


海洋国カルマス。また来れるかな?




翌日、アルーラちゃん家にて


「ママ!!見て見て!!」

「!?アルーラ、どうしたのこれ !?」

「起きたら机の上に置いてあったの……手紙をあったよ?」

「手紙!?ちょっと見せて。」

「うん!!」


言われた通り手紙を渡す。その内容は


親愛なるアルーラちゃんの両親へ


この度は流れ者の私の世話をしていただき、誠にありがとうございます。それのペンダントはせめての私からの誠意です。どうか受け取ってください。ぜひアルーラちゃんにつけてあげてください。

アスタより。


「アスタさん……」

「ママ、アスタお兄ちゃんがどうしたの?」

「そのペンダントは……あなたへのプレゼントですって。」

「私に?やったー!!」


アスタさん感謝するのはこちらですよ。娘のこんな笑顔を見れたし、何より娘が少しあかるくなったから。今度また来たら夫と一緒におもてなしすることにします。


「アスタお兄ちゃん…-また来てくれるよね?」

「ええ、そうね。旅の話をたくさん聞きましょ。」

「うん。」


ペンダントの名は月の笑顔。持ち主には笑顔と幸福を与える。







said 王宮


「悔しい!!悔しい!!」


じたんばた暴れてるのは第一王女ことアルネス。


「落ち着くのじゃ、アルネスよ。」


娘の暴走に少し困り気味の国王。


「落ち着く!?あんな卑怯な手を使って!!しかも顔に落書きまでされたのよ!?侍女達が笑うから鏡を見たら……あー!!むかつく!!」


どうやら怪盗ルーシュに一本とられたようじゃ。月の涙は取られてしまったのは残念じゃがこれに懲りて娘も反省するじゃろう。


「確か次の予告だと深海国ルーペンだそうじゃない!!お父様!!私、いまからルーペンに……」

「馬鹿者!!」

「ひぃ!!」


あまりの迫力にアルネスは尻餅をついてしまった。いかんいかんつい声を上げてしまったか。


「お主は来月かは王都へ留学するのじゃろ!!卒業するまでは怪盗ルーシュとの関わりごとは禁止する!!」

「そ、そんな〜……」


がっかりする娘。だがわしも父として言わねばならんことがある。


「お主も今回で実力がわかったじゃろう?今のままではルーシュには勝てん。じゃから王都でしっかりと学ぶんじゃ!!」

「卒業したら……奴を追いかけていいんですか?」


そうきたか。んー……


「よかろう。ただし卒業してからじゃ。」

「ありがとうございます。父上。」


はぁーなんとか説得はできたが……


「三年間私が捕まえるまで誰にも捕まるんじゃないのよ!!怪盗ルーシュ!!」


逆にこいつが捕まりそうじゃな。


余談だが、この後へそくりが盗まれたことに気づいた国王は発狂したそうだ。



とある新聞にて


怪盗ルーシュ、月の涙を盗む!!そして怪事件発生!!なぜか裸で吊られてる魔術師たち。どうやら怪盗ルーシュにやられたのこと。

そしてそしてまた怪盗ルーシュの懸賞金が上がりました。48億7000万ルソーだそうです。

そして次の予告だと深海国ルーペンのネプチューンの宝石ブルーシーだそうです。

















魔術師たちは一体何が目的なんでしょうね?次回は新章突入です。お楽しみに。

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