俺ってつくづく運がないよね!!
「うぅぅ-」
アムーダ第1王女との激戦を乗り越えたのは良かったものの、かなりの攻撃を受けていたため、試合が終わった後、気を失ってしまった。原因は出血多量だ。
「気がつきましたか?」
目がさめると知らない光景が広がっている。じつはというと、あまり記憶がないのだ。姫様に勝ったまでは覚えているんだが……
「一時はどうなるかと思いましたが……どうやら回復したようですね。」
さっきから白い服を着た女性が話しかけてくる。結構美人だぞ!?
……て、その前に。
「あ、あなたは?」
「私は、ミリル。今回はコロシアムの看護長をやってます。」
この若さで看護長任されるとはな。よほど優秀なんだろう。
そんなことを思いつつ、俺は身体を起こそうとすると……
「が !?」
突然激しい痛みが襲ってきた。
「あ、まだ動いてはダメですよ?今日は絶対安静です!!」
よーく見れば身体中は包帯まみれだ。ミイラ男ってこんな感じかな?
「神器使い相手によく、生きてられましたね。しかもアムーダ様に勝つなんて。しかもその回復力。あなたは……」
空気が変わった。さっきまで優しい空気で包まれていが今は違う。なんというか……全身をくまなく舐め回されてる感じだ。
俺はとっさに構えを取ろうとするが……
「く !?」
激痛が邪魔をする。逃げようにも逃げられるない。こうしてる間にも彼女はどんどん迫ってくる。
「ちょっと身体を調査してもいいですか!?」
……はい?今なんて言った?
「私、気になる生物の身体をみるのが大好きなんです!!はぁ、はぁ、はぁ。」
ちょ、息が枯れてますよ!?
「俺は人間ですよ!?」
「そんなのわかってますよ。でも、あなたの実力。そして回復力!!是非解剖させてください!!」
チャリン!
どっかから取り出したのかその手にはメスが握られている。
「ひぃ!!」
激痛に耐えながらも身体を動かそうとすると
「逃がしません!!」
シュルルルバシ!!
突然ロープを取り出して俺の身体を縛り付けた。……ってか、なんかこの縛り方やらしい!!
「ふふふ、大丈夫。ちゃーんと元に戻すからね。」
シャキーン!
メスが光る。
「☆・〆々・°8>〒€!!」
恐ろしすぎて言葉になってない声がでた。
バリバリバリ!
服が破かれた!!いやー!!やめてー!!
「さぁ、さぁ、さぁ!!あなたの中身を見せて……はぅ!?」
胸にメスが入ろうとした瞬間。彼女が突然倒れてきた。よーく見ると彼女の首あたりに針が刺さっている。肝心のミリルさんは……
「ZZZZZZ……」
寝てしまっている。すると奥の方から……
「ふぅ、間に合いましたか。」
また、知らない女性が現れた。しかもその手には吹き矢らしきものを持ってる。
「あ、あなたは……」
「私は副看護長のサーリムよ。それと……ミリルの幼馴染でもあるわ。」
「幼馴染ですか。助けていただいてありがとうございます。」
危うく解剖されるところだった。麻酔なしで!!
「ミリルはね、優秀なんだけど……昔からちょっと頭の方がおかしくてね。」
「そうなんですか。」
「5歳の頃なんか、私が飼ってた犬を実験台にしようとしたり、変な物を作っては毒味させようとしたりしてきたの。今でも忘れられないわ。」
なんとまー幼馴染まで被害者だったとは。
「でもね、本当に良い子なのよ?私が風邪をひいたときなんかは「私が治す!!」なんて言って必死になって料理を作ってくれたりしたの。味はまずかったけど。」
確かに。今の俺の状態を見ると彼女はとても優秀なのかもしれない。包帯も優しく巻いてあって、感覚がなかった。
「あ、後一時間ほどで全回復するはずだから。」
「え?でもミリルさんは絶対安静って……」
「あ〜、それは嘘ね。きっとあなたに興味深々でじっくり観察したかったんでしょう。ちなみに激痛が走るのは薬の影響だから、そのうち消えるわ。」
前言撤回しよう。やっぱこの人危険だ。
「じゃ、私はミリルを連れてくわね。」
サーリムさんはミリルさんこ襟元を掴んでどこかえ行ってしまった。
「えへへ、解剖〜解剖〜。」
廊下から寝言が聞こえるがとりあえず無視しよう。
一時間後。
俺の身体は全回復して、病室を出ることができた。
これは余談だが。俺が全回復すると同時にミリルさんも目覚めたらしく、ミリルさんは監禁されてたらしくて、奇声を夜遅くまで叫んでたそうだ。
これは、のちに親が子供を夜遊びさせないための怖い女の人の話として語られていくこととなる。
久しぶりです。今回は少し短めに書きました。次回は退院ごの話を書きたいと思います。お楽しみに!!