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明後日の空模様 長遐編  作者: こく
第十九話 同胞
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 海の音は鳴り止まない。うねる波の起伏は激しかった。切り立った海食崖にぶつかり、大袈裟に白く砕けてまた戻る。それはまるで巨人の手のようで、いつかこの厳つい陸地を削り取ってやろうという妄執じみたものを感じた。


 呼気が切れる。喘鳴は闇に溶けた。足元が見えず躓きかけるも、どうにか体勢を立て直す。応急処置をした右手にずきりと痛みが走った。束の間、息が詰まった。

 なだらかな傾斜を探し、波打ち際まで滑り下りる。

 岸辺の砂利は湿っていた。長年海潮に侵食され続けた断崖は、下ばかりが削れ、見上げれば庇のように突き出た地嘴が頭上に覆い被さっている。靴が濡れるのも構わず、浅瀬を駆けた。



 苦しそうに咳き込む音が波間に響く。喉に張り付いた血を吐くように、半ば嗚咽じみている。しかしそれは、彼が生きている証拠にほかならない。

 沈みかけた月明かりに、薄ぼんやりと影が浮かぶ。ずぶ濡れの銀の髪は顔に貼り付き、着物はほとんど肌蹴ていた。速度を落とした俺は、慎重に歩み寄る。

 腹をどす黒く染め、血とも吐瀉物ともつかない何かを嘔吐しながらも、白狐さんは生きていた。



「白狐、さん……」



 名を呼ぶのすら苦労する。ぎろりとこちらを射抜く紅の隻眼は殺気立ち、俺の足は竦んだ。咄嗟に片手で隠したのは己の顔である。彼の仇敵に瓜二つの、己の顔を。

 ……ああ、皓輝くん。霜刃に似た気迫はすぐに緩められ、ただ感情の全てが抜け落ちた掠れ声が耳に届いた。海に落ちた後自力で岸辺まで這い上がった彼は、やはり思いの外根性のある男らしい。

 無論、そんな暢気なこと口が裂けても言えないが。


 俺の視線は彼の傍らに向いている。それは仰向けに倒れていた。顔を横向けているため顔は見えないが、意識がないらしい。ぐっしょりと水分を含んだ金髪は艶もなく、ただずぶ濡れの溝鼠を思わせた。

 思わず駆け寄る。翔の頬は青白く、生気がない。最悪の予感が過るが、俺が呼吸を確かめる前に白狐さんが制止した。「大丈夫です」と。


「死んではいません」


「……」


 生きている。事実をそのまま口にすれば、思わず力が抜けてその場にへたり込みそうになった。足を一歩踏み出せば途端に下肢が動けなくなる。

「皓輝くん」そう呼ばれ、膝に手をついたまま顔を上げた。未だに死闘の昂ぶり冷めやらぬ彼の瞳と、目線がばちりとぶつかった。


「……あの男は?」


「あ……コウキ、は」俺はどんな顔をするべきか分からず、視線を泳がせてしまう。彼の差しているのが俺の“主”であるとすぐに分かった。「……いなくなりました」


 そう、いなくなった。嘘ではない。そうとしか言いようがなかった。結局何がしたかったのか、俺が知りたいくらいだ。俺の右手に残された生傷だけが、あの男とのやり取りが夢でなかったという証拠である。

 白狐さんは俺の言葉にうんともすんとも言わない。何を考えているのか読めない冷徹な無表情。隻眼だけが爛々と燃えるような色を浮かべ、俺にはそれがとても薄ら寒く感じられた。


「皓輝くん」


「は、い」


「翔のこと頼めますか」


 きょとんとした俺に、ここだと寒くて、と彼は付け足す。この気温の中海に飛び込んだのだから当然と言えば当然だろう。

 どこか雨風の凌げる場所まで移動したいという意図を理解し、俺は力のない翔の身体をどうにか肩に背負った。




***




 遺跡の地下牢。半壊した天井から時折口笛のような風が吹き抜けるが、それがいい塩梅の通気口になっていた。

 こんな寂れた海岸では枝木を集めるのにも苦心し、湿った海藻や流木などを乾燥させてようやく火が熾きる。ぶすぶすと嫌な煙が上がるが、この状況では文句も言っていられない。翔や白狐さんの生死は体温をいかに保つかにかかっていた。


 橙の火影が踊り狂う。まるでここに閉じ込められた死霊の魂のようだ。不気味な妄想が過る。

 視線を横向ければ、濡れた着物を半ば脱いだ白狐さんが背を向けて座っていた。肌をさらした彼の白い背は寒気がするほど滑らかで、やや背骨が浮いている。

 影家(えいけ)の女狐、とコウキが口にした呼び名を思い出す。最初の部分は分からずとも、女狐というあだ名が白狐さんの性的倒錯な艶めかしさを揶揄しているのだと、俺でも理解出来た。


 俺は何を口にすべきか分からなかった。知りたいことは山ほどあった。今までは謎めいていると首を捻る程度で済んでいた世捨て人の主の素性と出自が、コウキとの関わりが明るみに出たことで突然鮮やかな好奇心をくすぐるものとなる。


 要するに、俺はコウキのことが知りたいのだ。更に言えば――俺自身のことが知りたい。

 思えばこんなことは初めてではなかった。翔の凄惨な過去も、コウキの従者が語った救世主のことも、俺は己と繋がりがある情報だと薄々勘付いた上で、知りたかったのではないか。

 そう考えて、俺は自分のことが分からなくなる。決して明瞭な確信をもっていた訳ではないが、自身の突発的な行動を顧みれば、俺は己がスコノスであると無意識に自覚していたときがあったのかもしれない。そんな気さえする。


「……怪我を」


「え?」


「……怪我、していますね」


 世捨て人の主がじっと見ていたのは布を巻いた俺の右手である。ああ、と結び目を押さえれば、「診てあげます」と身体の向きを変え、手を差し伸べられた。

 俺は二の足を踏む。後ろめたさはもとより、俺などよりも白狐さんや翔の方が、余程一刻を争う重傷を負っているように思えたからだ。コウキの剣の切っ先でこの目の前の人の下腹を突かれた光景が過る。常識的に考えて致命傷だろう。

 白狐さんは俺に手を伸ばしたまま、もう片方の手で内臓にも見える黒々した腹を押さえている。正視に耐えず、思わず目を逸らしてしまったが、かなりの出血量であることは間違いない。

 俺の視線の先を辿り、世捨て人の主は自虐するように嘆息した。


「そんな顔をしないで。どうせ僕は死にません」


 しかし、不老不死とは単に永続的に続く生命活動のことで、人為的にそれを妨害されたらいくら永遠の命とは言えど死に至るのではなかったか。不安を隠せない俺を安堵させようと白狐さんは頷いた。「大丈夫」と。



「こちらへ」



 優しいが有無を言わさぬ声音に逆らえず、俺は彼の傍へと膝をつく。白狐さんは迷いなく不器用な俺の結び目を解き、傷口を露わにした。じわり、滲んでたちまち滴る血にもさして気にせず、彼はそこに自らの血で汚れた手を置いた。俺の手が下に、白狐さんの手が上に重なる。

 何をするのかとびくついた俺の手首をもう片方の手で握り、動かないで、と固定された。


「目を瞑っていても構いませんよ」白狐さんの声音は穏やかで、真剣だ。「あまり気持ちの良いものではありませんから」


 俺は躊躇うよう忙しなく瞬きをして、重なり合った手を眺める。傷口からとめどなく溢れる鮮血は彼の手をも汚し、彼自身の血糊と混ざった。衛生的とは言えない光景に腰が引けるが、その内血を流すばかりだった掌に変化が訪れる。

 彼と触れ合っている表皮が痺れた。切り傷から外へ出ていくものに逆らうよう、内に入ってくるものがある。それは熱く、液体のようにも思えた。

 俺はいつしか目を閉じている。瞼の裏に、鉛色のどろりとしたものが掌から流れ出て、代わりに熱を帯びた黒いものが体内に侵入し、体液と混じる様子が朧げに浮かんだ。

 頭の芯がじんわりと融けていく。注射針とは違う手段で体内に止血剤を打ち込まれているような、どちらかといえば不快な感覚だった。意識が遠のきかけたとき、白狐さんの掌がふっと離れる。


「はい、もう楽にしていいですよ」さながら診断を終えた医者のように言われ、俺は己の傷口をしげしげ眺めた。

 先程とは明らかに異なる違和感。皺を浮き上がらせる血を指で拭えば、二筋の切り傷は目に見えて固まり、完全な止血はしていないものの、ぱっくり口を開いたそれが塞がりかけているのを感じた。


 白狐さんは手早く着物の裾を裂き、俺の掌と手首に巻く。血管を押さえて出血を押さえようとしているのだと悟った。「時間を計らないと手が腐り落ちますからね」と彼は言い聞かせ、上手に結び目をこしらえて俺を解放する。

 呆けたようになっている俺を一瞥し、世捨て人の主は気まずそうに口元を隠した。


「血売り男の血って知ってます?」


「ああ……」


 すぐに、夏の都邑抄扇(しょうせん)での出来事が脳裏を過る。天院の裏で商売していた親父から聞いた話だ。

 確かあらゆる怪我や病を治すという万能の妙薬ですよね。そう声に出す前に俺は何かに気付いて口を閉ざす。思わず信じられないような目を向ければ、血の気のない唇を噛んだ彼はやや気まずそうに視線を伏せていた。


「あれは気の流れを変えて悪いものを外に出す長命術から派生した、治療法の一種なのです。……ニィを埋め込まれた者のみに許された……」


「白狐さん……」


「僕もこの通りあまり調子が良くないので、このくらいで勘弁してください」


 それはこれ以上の追及のことか、俺にくれた“血液”の量のことか、真意を確かめる前に彼は背を向けてしまった。放っておいて欲しいのだろう。或いは、俺の顔など見たくもないのか。


「……」


 白狐さんとの沈黙に、これまでにない居心地の悪さを覚える。今の自分が何を言ったところで、気まずさに打ちのめされるのが目に見えた。どんな言葉もわざとらしく聞こえ、彼を不快にするだろうと思った。

 黙っている以外に策の思いつかぬ俺は、不意に白狐さんがため息をついたことに過剰にびくつく。



「……全く、自分の愚かしさが嫌になります」



 彼が自嘲気味に漏らしたのはそんな一言だった。無論、俺は返す言葉を知らない。彼は俺にというよりも、崩れた石壁に向かって話しているようだ。


「あの救世主は殺したいほど腹立たしいですが、あれに翔を売り渡そうとしていた己が何よりも腹立たしい……」


「……」


「……翔に死んで欲しくなかった」


 ぽつり、雨粒のように落ちる。俺は息を殺すようにして黙っていた。息苦しさを感じたのは白狐さんの想いに胸を突かれたのではなく、どちらかといえば救世主の名がその口から出たためである。


「僕は、翔に死んで欲しくなかったのです。翔はいつも死に場所ばかり探して、前を向こうとしないから」


 だから、翔が奴らに捕まったと分かっても助けることを躊躇したのか。奴らの手によって不老不死にさえなれば、翔の後悔と苦しみの呪縛は解消される、と……。

 そんな単純な話ではないことくらい、白狐さんは分かっていたはずだ。永遠の命がもたらすのは終わらない幸福ではなく、引き延ばされた死である。翔は――少なくとも表向きには――自らの延命を望んだことは一度もなかった。

 同時に、誰かの死に場所として頼られるのは、世捨て人の主にとって相当な苦痛だったのだろう。いつか死を看取ってくれと翔に頼まれ、重荷にならないはずがない。

 例えその死を引き延ばすことが如何に身勝手な親のエゴと分かっていたとしても。


 結局、俺が口に出来ることは何もなかった。俺は親でもなければ、死を待つ子どもでもない。励ますのも過ちを正すのも、当人たちで解決すべき問題である。

 ただ俺は、どちらかといえば自分も死に場所を探す方だから、どこかの優しい人間の心を痛ませていたのかもしれないなぁ、と青白い顔で横たわる翔を眺めて思考に耽っていた。


 不意に白狐さんが腰を上げる。生乾きの着物を纏い、背筋を伸ばした。「少し一人にしてください」と一瞥もくれずに言われ、俺は頷く以外に何も出来ない。

 そのまま彼の背は遺跡の牢を出て、どこかへ立ち去りかけた。ところが、数歩足を踏み出したとき、はたと思いついたように立ち止まる。


「そうだ」


 俺の身体に少しばかり緊張が走った。白狐さんの声が素なのかそうでないのか判断つかなかったからだ。



「皓輝くん。――その剣は役に立ちましたか?」



「……あ」喉が掠れる。彼の視線は俺の背に負った一振りの剣に向けられていた。無意識にその柄に触れ、「抜く暇もなくて」としどろもどろに答える。その挙動不審が気弱な自分を演出してくれていたらいいのだが。


「そうですか」


 白狐さんはあっさり引き下がった。かと思えば、意味ありげな、どこか怖いほど優しげな微笑みをその唇に浮かべる。「……怪我が少なくて何よりです」


 言葉を失くす俺を置き去りにし、今度こそ彼は牢屋を後にした。その覚束ない足取りが砦のどこかへあてどなく彷徨うのを見送り、ようやく肩の力が抜ける。寒さではない震えが駆け、背に手を伸ばして剣を鞘ごと傍らに置く。


 言えるはずがない。コウキ相手にこの刃を鞘から抜く気もなかった、などと……。


 炎が揺らめいていた。やや暖かい空気が肌を撫でる。先程の白狐さんの表情を思い出せば、再び身震いが込み上げた。

 彼の前でコウキのことを話題に出すのはよそうと心に誓う。俺はあまり、世捨て人の主を敵に回したくなかった。

 コウキとのやり取りを彼に見られなかったのは好都合である。俺があの男に抱いている感情は、迂闊にひけらかせば命にかかわる。何せ、世捨て人の主と救世主との間には、並々ならぬ因縁があるらしい。そこに俺のような小物が乱入すれば、更にややこしくなるのが目に見えた。


 先が思いやられる。


 ふうと吐いたため息。疲弊した脳から酸素が抜けていく。

 見上げた牢の天井は低く、その割に十人程度の囚人なら楽に収容できそうなだだっ広さが不自然だ。炎の明かりは壁の隅には届かず、黒々とした怨念があるように見える。人の神経を逆立てる淀んだ不気味さが、死の匂いが、壁にも床にも鉄格子にもこびり付いている。じめじめとして、あまり長居したい場所ではなかった。


 俺はそっと音を立てないよう膝を滑らせ、南向きに寝かされた翔の顔を覗き込む。翔はぐったりと目を瞑り、時折鼻の詰まった寝息を漏らしている。相も変わらず頬にある大きな青痣が痛々しい。唇も切れ、腫れていた。

 多少治りかけているように見えるので、翔も白狐さんの治療を受けたのだろう。しかし……。

 口をつぐみ、首元に結んでいた外套の紐を手早く解く。膝まですっぽり隠れるほど大きなそれを翻させ、翔の上に掛けた。裏地が付いているから毛布代わりになるだろうし、何より縦横無尽に生傷が走り痣が打ち付けられたその身体は見ていて辛い。


 その顔に被さった布の端を摘んで持ち上げた俺は、「翔」と小声で呼ぶ。「……起きているか?」


「……皓輝の服くっせえ……」


「やっぱり返せ」


「いやいやいや」


 泥臭い外套を引っ掴んでは信じられない握力で死守した翔は、自分が生きていることを確かめるように瞬きをした。思いの外意識はしっかりしているようだ。

 俺はぱちぱち爆ぜる炎に枝をくべ、温かく乾燥した空気をつくる。燻る煙に翔は目を伏せていた。


「なあ、白狐さんは……?」


「さっき、どこかへ行った。頭を冷やしてくるとか」そこまで説明して、眉を顰める。「お前、俺と白狐さんの会話聞いていただろう」


 案の定、翔はえらくばつが悪そうに、寝そべったまま首を窄めた。亀のようだった。「すごくさ……こう、俺が入りにくい話題だったよ」


「だろうな。道理で頬が緩んでいると思った」


 同情も込めて、形ばかり肩を竦める。一体いつから目覚めていたのか知らないが、あそこで狸寝入りしていた翔もさぞ肩身が狭かっただろう。

 ああ、と翔が乾燥した息をついた。傷だらけの手で顔を覆い、目を瞑っている。泣いているのかと思った。


「白狐さんに謝らなきゃ」


「すごく心配していたからな」俺は差しあたって同調するが、巻き込まれた被害者である翔が、謝る理由もないように思える。



「……皓輝にも」


「俺?」


「黙っていたから……お前がスコノスだって、俺、随分前から知っていたのに」



 あ、とか、う、とか短い呻きが出たような気がする。初耳だ、とようやく俺が人語を思い出したのは、随分経ってからだ。喉が張り付いて上手く声が出ず、唾液が足りなかった。幾度か空気を飲み、「いつから」とようやく漏れた困惑は弱々しい。


「いつからだよ……」


「いつだろう」翔は言い淀む。単に返答に困っているようだった。「お前の母親の話とか聞いたくらいかな。まあ、最初に気づいたのは俺じゃないんだけど」


「……」


 脳裏を駆ける、世捨て人の家で過ごしたこれまでの日々。翔に家族の話を打ち明けたのはいつだっただろう。気の早い蝉の鳴く、茹だるような暑い日だったように思える。あのときの翔の表情や言動を思い出そうとするが、上手くいかない。

 翔はやや気まずげに、まるで悪戯の見つかった子どものような面もちで首を捻った。


「……怒っている?」


 いや。咄嗟に否定の言葉が口をつく。しばらく逡巡するように視線を彷徨わせ、長く息を吐けば幾分動揺は鎮まった。俺はゆっくりと首を横に振る。「怒っては、いない」


「だよなぁ。……お前はスコノスだものなぁ」


 翔は含みのある言い方をした。続いたのはどこへともなく向けられた、投げやりな声だった。救世主の作戦は失敗か、と。

 反応に一拍遅れる。耳を疑う。作戦、と翔は言った。何の話だ、と焦りに駆られて声を上擦らせる。翔は流れるように続けた。まるで、今までの疲れ切った様子が嘘のように。


「あの救世主は、見誤った。お前がスコノスであることを確かめたいと言いながら、スコノスの本質を忘れるなんて。だから無理だって言ったのに……お前の“主”は意外と頑固だな」


「何を言っているんだ?」


 早口で紡ぐ翔を、慌てて引き留める。話が読めない。俺の泥臭い外套を口元まで引っ張り上げた翔は、困惑を隠せないでいる俺をじっと眺めた。



「……聞きたい?」



 息を飲む。



「何を」


「俺とイケメンで共謀していたって話」







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